「田舎暮らし」や「家庭菜園」にあこがれを抱く方が増えた近年においては、農地付きの空き家が人気なことはご存じですか。
実際に、平成29年3月の総務省の調査によると、都市部の住民における農山漁村に移住してみたいという意向は3割を超えるとの結果が出ています。
また、農地付きの空き家を購入すれば、別で農地を探す手間が省けるため、これから農業を始めたい方には最適です。
この記事では、農地付き空き家の特徴やメリット、農地付き空き家の普及に取り組んでいる市町村をご紹介します。
ぜひ、参考までにご覧ください。
農地付き空き家とは?どんな特徴がある?
農地付き空き家とは、空き家バンクにおいて農地と空き家がセットになって売られている物件のことを指します。
農地付き空き家が売られるようになったのは、平成25年ごろからです。
その後、需要が高いことから平成30年に国土交通省がガイドラインを制定し、さらに注目を浴びるようになりました。
農地付き空き家の主な特徴は以下の3つです。
広い敷地面積
農地付き空き家は、敷地面積が広い物件が多い点が特徴的です。
とくに、地方の自然豊かな場所にある農地付き空き家は、広々とした畑が付いていることが多いですよ。
また、農地だけでなく、空き家についても広い敷地面積を有していることが多いです。
たとえば、手広く農業を営んでいた物件は、敷地内に農機具や苗を育てるスペースが必要なため、面積が広い特徴があります。
その広さは、農地を除いても500㎡~1,000㎡ほど。
こんなにも敷地が広いと、敷地内で子どもとキャッチボールなどをして遊んだり、家族でバーベキューを楽しんだりと夢が膨らみますね。
古民家物件が多い
農地付きの空き家は、昔ながらの古民家物件が多いです。
農家の方は、先祖代々から農業を受け継いで営んでいることが多いため、このような特徴があります。
都会に住んでいる方は、歴史を感じる瓦屋根の日本家屋にあこがれるのではないでしょうか。
また、開放感のある広い和室や軒下で、ゆっくりとお茶を飲んだり、四季の移ろいを感じられる生活を夢見る方も多いでしょう。
しかし、農地付きの空き家は、農業を営む条件で物件を購入する必要があるため、古民家での暮らしだけを楽しみたい方には不向きと言えます。
就農が条件
前述のとおり農地付きの空き家を購入するには、農地法上で「所有者は就農する」という条件が規定されています。
また、就農するには一定の利益を生む必要があるため、原則一定以上の面積の農地を購入する必要があります。
農地法第3条第2項第5号で定められている面積は、都府県は50アール以上、北海道は北海道2ヘクタール以上です。
ただし、地域によっては、上記よりも小さい面積が定められているところもありますよ。
農地付き空き家のメリットとは?
農地付き空き家の特徴がわかったところで、どのようなメリットがあるかも気になるところでしょう。
主なメリットは、以下の3つです。
メリット①自然豊かな暮らしが楽しめる
農地付き空き家は、都会から離れた農村部にあることが多いため、自然豊かな暮らしが楽しめます。
また、近隣も農家であることが多いため、育った作物を交換し合ったり、助け合ったりなどの田舎ならではの付き合いができる魅力もあります。
自分が育てた採れたての新鮮な野菜を食べることもできるため、健康的な生活が送れるという点もメリットです。
子どもがいる方は、農業を通じた食育や、自然と触れ合いながら生活することで、自由でのびのびとした子育てができることでしょう。
メリット②農地と住宅を同時に確保できる
新しく農業を始める方がもっとも苦労する点としてよく挙げられるのが、以下の3項目です。
●農地の確保
●住宅の確保
●地域の選択
その点、農地付き空き家は、農地と住宅の確保といった2つの課題を解決できるため、新規就農者にとっては大きなメリットでしょう。
また、農地を購入するには、農地法により農業委員会等の許可が必要となり、一定の要件を満たす必要があります。
しかし、農地付き空き家においては、地域の定めによってその要件を緩和できる制度が設けられています。
そのため、通常は許可が下りないような条件でも、空き家と農地の両方が購入しやすくなっているのです。
メリット③納屋や農機具が付いている
農地付き空き家には、納屋や農機具が付いている物件も多いです。
資材を置く納屋や農機具を一からそろえるとなると多額の資金が必要になるため、それが付いているのはとても魅力的です。
とくに「これから農業を始めたい」と思っている方にとっては、手間やコストが省けて一石二鳥ですね。
また、農地付き空き家を所有している方についても「納屋・農機具付き」で売りに出したほうが、農機具を処分する手間が省けて買主と売主の双方にとってメリットとなるでしょう。
農地付き空き家の制度に取り組んでいる市町村とは?
農山村地域、中山間地域では、人口減少・少子高齢化の進行にともなって、空き家や使われていない農地の発生が課題となっています。
さらに、地域における農業の担い手不足によるコミュニティの衰退なども大きな課題です。
そこで内閣府は、令和2年に「地域再生法に基づく既存住宅活用農村地域等移住促進事業」をスタートし、地方への移住希望者が農地付き空き家を購入しやすくなるように特例を設けました。
では実際に、市町村は農地付き空き家の制度について、どのような取り組みをおこなっているのでしょうか。
島根県や長野県の事例をもとにご紹介します。
日本で初めて「農地付き空き家」の制度をはじめた雲南市
全国の市町村のなかでも一足先に農地付き空き家の制度を始めた島根県雲南市は、のどかな田園風景が広がる人口およそ4万人の市です。
雲南市では、農地を購入する際にネックとなる、農地法で定められた下限面積(50アール以上)の要件を緩和し、1アールに設定した特例があります。
下限面積を緩和したことにより「手軽に家庭菜園を始めたい」と言う方でも、農地付き空き家を購入できるようになりました。
その結果、雲南市は移住者が増え、「農ある暮らし」が満喫できる地域として、地域活性化にもつながっています。
農地付き空き家が一括で検索できる長野県
長野県には、県と長野県宅地建物取引業協会が協定を結んで運営している「楽園信州空き家バンク」があります。
「楽園信州空き家バンク」では移住者向けに県内の空き家情報を発信しており、農地付き空き家についても簡単に検索できるようになっています。
たとえば「空き家をさがす」のページで「家庭菜園・畑付き」「就農者向け」の検索条件をクリックすると、農地付き空き家を一括で検索することができますよ。
また、長野県の飯綱町においても、雲南市同様に下限面積の要件を1アールに緩和する取り組みをおこなっています。
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まとめ
今回は、農地付き空き家の特徴とメリット、農地付き空き家の普及に取り組んでいる市町村をご紹介いたしました。
農地付き空き家は、農地と空き家がセットになって売られている物件のことを指し、敷地面積が広いという特徴があります。
これから農業を始めたい方にとっては、農地と住宅を同時に購入できたり、農機具や納屋も付いていたりなど、大きなメリットが得られます。
また、市町村によっては、農地法の条件を緩和する特例を定め、誰でも農地付き空き家が購入できるような取り組みをおこなっています。
ぜひこの記事を参考に、農地付き空き家の活用をご検討ください。
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