富士山やフルーツ王国として知られる山梨県ですが、実は空き家率日本一であることはご存じですか?
政府が発表した「平成30年住宅・土地統計調査」によると、山梨県の空き家率は21.3%と全国でもっとも高い空き家率となっています。
出典|総務省【平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計結果】
そこで、山梨県では空き家の増加問題を解決すべく、さまざまな取り組みをおこなっています。
今回は、山梨県が空き家率1位である理由と、空き家対策や活用事例をご紹介します。
ぜひ、参考までにご覧ください。
01空き家率1位の山梨県!空き家が増える理由とは?
雄大な富士山が望める自然豊かな環境の山梨県は、都心へのアクセスも良く、観光や移住先としても人気が高い県です。また「フルーツ王国」と呼ばれるほど、たくさんの美味しいフルーツを生産・出荷している県としても有名ですよね。
「なぜ山梨県は空き家が多いのか」その理由を調べてみると意外な事実がわかりました。
そもそも空き家率とは?
空き家率とは、日本における住宅総数に占める空き家の割合のことを言います。総務省が5年ごとに調査している「住宅・土地統計調査」における数値の一つで、年々増加傾向で深刻な状況にあります。
全国の空き家の内訳を見ると、割合が多いものから順に以下の4種類に分かれます。
●賃貸用の住宅
●その他の住宅(長期不在や取り壊し予定、区分の判断が困難なもの)
●別荘などの二次的住宅
●売却用の住宅
山梨県は、別荘などの二次的住宅も多いことから空き家率が高くなりやすく、平成15年度の調査から4回連続で全国1位という現状です。
空き家が増える背景
山梨県の空き家が増えている主な理由は以下の3つです。●人口減少
●兼業農家が多い
●別荘が多い
全国的にも少子高齢化が進んでいますが、とくに山梨県は年々人口が減少傾向にあります。
具体的には、ピーク時の平成12年の89万人台と比べると、現在は80万人台と、9万人も人口が減っています。
とくに若い世代が県外に仕事を求めて転出することが多く、雇用の創出が課題となっています。
また、兼業農家が多いことから、農地付きの空き家が多く、住宅の再利用がなかなか進まないという問題もあります。
さらに、前述のとおり山梨県は別荘地であることから、空き別荘も増えやすいのです。
02山梨県の空き家対策「空き家活用ビジネス」とは?
山梨県では、これまで全国1位の空き家率を改善するべく空き家バンクの開設や改修費の一部補助など、さまざまな取り組みをおこなってきました。しかし、前章でも述べたとおり、進学や就職をきっかけとした若い世代の転出が多く、雇用先も少ないことから定住者が減っていく一方にあります。
そこで令和2年4月に、県と民間事業者が協力し空き家活用を促進する官民連携の「空き家活用ビジネス」が新たにスタートしました。
この空き家活用ビジネスは全国初の制度で、地域活性化につながることが期待されています。
空き家活用ビジネスの制度内容とは?
空き家活用ビジネスでは、空き家をうまく利用できていない所有者と、複数の空き家を活用したビジネスで地域に貢献したい民間事業者とをつなぐ取り組みをおこなっています。空き家活用ビジネスにおけるポイントは以下の3つです。
●空き家所有者は認定事業者に空き家を貸すことで家賃収入が得られる
●空き家所有者に改修費用の補助金を交付
●認定事業者は県の設置したプラットフォームから空き家情報が得られる
空き家所有者は、認定事業者に10年以上空き家を貸す条件で賃貸契約を結ぶと、県から貸し出すにあたっての改修費用の一部を補助してもらえます。
認定事業者については、市町村や不動産団体が加盟する「やまなし創生官民連携空き家活用マッチングプラットフォーム」から空き家情報の提供を受けることができます。
ちなみに、民間事業者が認定事業者として県に認められるには、複数の空き家を活用する見込みがあって、地域の課題解決や活性化に貢献するビジネスであることなど、いくつかの認定基準があります。
空き家活用ビジネスの補助金の金額とは?
では実際に、空き家所有者は、空き家を認定事業者に貸し出すにあたって、どのくらいの金額を補助してもらえるのか気になりますよね。改修費用の補助率は以下のとおりです。
●通常枠:改修費用の2/3以内(上限250万円)
●特別枠:改修費用の3/4以内(上限500万円)
特別枠とは、移住や二拠点居住の推進、関係人口の創出など東京一極集中の是正に繋がる施設として知事が認めるものになります。
空き家が流通しない原因の一つに、改修費用の負担がありますが、このように補助金が出るのであれば、活用がしやすくなりますね。
ただし、予算には限りがあるため、予算額に達した場合はその時点で申請の受付が終了する点に注意が必要です。
03山梨県の空き家活用事例とは?
最後に、山梨県の空き家を活用した事例を2つご紹介します。築150年の空き家を一棟貸し古民家宿へ
山梨県上野原市西原の静かな里山にある「西原ife体験宿したで」は、築150年の空き家を伝統工法によって蘇らせた古民家宿です。2014年に上野原市から移住定住促進事業として古民家再生プロジェクトが始まり、2016年にオープンした「西原ife体験宿したで」は、地域の職人から学ぶワークショップを通じて再生しました。
空き家の再生には、地元の職人や行政、NPO、地域住民、都市からの参加者などたくさんの方が関わり、ホームページでは空き家再生までのヒストリーを映像で見ることもできますよ。
地域にある木や土などの資源を使用し、本格的な伝統工法によって改修した古民家宿では、宿泊だけでなく、大豆から味噌作りを体験したり、室内で囲炉裏バーベキューをしたりなどの体験も楽しめます。
このように、たくさんの方の想いで、ぼろぼろの空き家が古き良き日本を味わえる古民家宿に生まれ変わるのは素晴らしい活用事例ですね。
手つかずの空き家群がシェアハウス&イベントスペースに
続いてご紹介する事例は、前章でご紹介した空き家活用ビジネスの制度を利用して改修工事をおこない、手つかずの空き家群をシェアハウス&イベントスペースに再生した「結~yui~プロジェクト」です。「結~yui~プロジェクト」では、山梨県甲府市の愛宕山中腹にある空き家3棟を、アートと農業をテーマにリノベーションし、シェアハウス2棟と管理棟兼イベントスペース棟に再生しました。
イベントスペースの中庭には家庭菜園ができる場所があり、五右衛門風呂や囲炉裏部屋など、薪を使った昔の暮らしを体験することもできますよ。
「空き家を再生することで、持続可能な社会の形成や地域の方々との交流の場を実現したい」との想いで始まったこのプロジェクトでは、そのほかにもさまざまな空き家のリノベーションを手掛けており、地方創生に貢献しています。
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04まとめ
今回は、山梨県が空き家率1位である理由と、空き家対策、活用事例をご紹介しました。山梨県は、別荘地のため空き別荘が多いことと、人口減少や兼業農家が多いことから、空き家率1位となっています。
そこで県は空き家対策として、日本で初めて空き家活用ビジネスの制度をスタートしました。
山梨県には、ご紹介した空き家活用事例以外にも、魅力的な活用事例がたくさんあります。
今回ご紹介した山梨県の取り組みを参考に、ぜひ空き家の利活用をご検討ください。
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