所有している空き家を活用する予定がない場合の選択肢の一つとして、建物の解体があります。
空き家の維持管理には費用も手間もかかりますし、放置した空き家が老朽化により周辺地域の迷惑となった場合、「空き家等対策特別措置法」の定めるところにより「特定空き家」に指定されてしまう可能性もあるためです。
また、空き家を売却したい場合にも、「古家付き土地」より、空き家解体後の土地を売りに出すほうが売却しやすいと言われています。
空き家などの解体を依頼する際に、建物本体の解体に付随して「付帯工事」を実施することがほとんどです。
今回の記事では、空き家などの建物の解体工事に伴って必要となる「付帯工事」についてご解説いたします。
空き家を解体する際の付帯工事ってなに?
はじめに、「付帯工事」とはどのような工事のことを指すのか、「解体工事」との違いを明らかにしながらご解説していきましょう。
一般に「解体工事」は建物そのものを解体する工事を指すのに対し、「付帯工事」は「解体工事」に付随しておこなう建物以外の部分に関わる工事や作業を指します。
建物本体を解体するにあたって、敷地内の不要な設置物や設備をあらかじめ除去しておかなければ、スムーズかつ安全な作業の進行が困難になります。
このためにおこなわれるのが、庭にある設置物やガレージや物置、フェンスといった付属設備、家具・家電といった室内の残置物などを撤去・解体する「付帯工事」なのです。
「付帯工事」が適切に実施されなかった場合、「解体工事」が開始できないこともあります。
また、建物本体の解体作業である「解体工事」とそれ以外の部分に関わる工事・作業である「付帯工事」とは、ほとんどの場合、別物と考えられていますので、「解体工事」の際には別途「付帯工事」を業者に依頼することになります。
空き家解体の際におこなう付帯工事の種類や費用は?
ここからは、「付帯工事」を含めた際の「解体工事」の費用についてご解説いたします。
「解体工事」をおこなう場合は、多くのケースで「付帯工事」も必要となります。
これに「付帯工事」の費用を加えて相場を算出すると、1坪あたり50,000円から60,000円となり、工事費用が倍ほども跳ね上がることになります。
また、業者によっては、あらかじめ「解体工事」費用に「付帯工事」費用が含まれているケースもあります。
しかし、こうしたケースでも施工価格が大幅に安くなることはあまりなく、「付帯工事」分、坪単価が高くなった価格が提示される場合がほとんどです。
このため、「解体工事」費用について考える際には「付帯工事」費用を念頭に置いた資金計画を練る必要があります。
それでは、「付帯工事」の種類とそれぞれの作業・工事の費用相場を見ていきましょう。
●庭木・庭石の撤去
まず、庭木の撤去についてですが、木の本数や幹の太さ、撤去の方法によって価格が変動します。
一般に、地面から上の部分のみを伐採する場合で1本10,000円から、地下の根まで除去する伐根もおこなう場合は、1本50,000円程度の費用がかかります。
庭石の撤去の費用相場は、1tにつき10,000円ほどとなっています。
●ブロック塀の撤去
ブロック塀の撤去にかかる費用相場は、1㎡あたり2,000円から3,000円ですが、壁を壊した後に出た廃棄物の処分費用が含まれない場合もありますので、事前に確認しておくことをおすすめします。
●門・フェンスの撤去
一組につき20,000円程度が相場となりますが、素材や、撤去するのが地上部分のみか、基礎部分を含めた全体なのかなどによって価格が変動します。
●倉庫の撤去
倉庫や物置、カーポートなどの撤去にかかる費用は、面積ではなく個数に応じた計算となることが多いようです。
一般的な大きさの物置では、1個当たりの撤去費用目安が20,000円から30,000円となります。
●井戸や池の埋め戻し
敷地内の井戸や池を埋め戻す場合の費用相場は、一式につき30,000円から50,000円が目安です。
また、井戸を埋め戻す工事に付随しておこなうお祓いの費用も上記の価格に含まれているのが、一般的です。
●残置物の撤去
室内の家具や家電をはじめとした、いわゆる残置物の撤去も、業者に依頼した場合には「付帯工事」の範疇に含まれます。
ただし、時間や手間はかかりますが、空き家の解体に関連した作業のなかでも残置物の撤去は、ご自身でおこなうことが可能です。
早めに室内の残置物の整理や処分に着手し、「解体工事」前に完了しておけば、費用を節約することができるでしょう。
業者に依頼した場合の費用相場は、1㎡あたり8,000円から10,000円程度となります。
●駐車場施工
さらに、空き家解体後の土地活用の方法として、駐車場を経営という選択肢があります。
更地となった土地を駐車場として利用できるように整備するための工事も付帯工事の一つです。
砕石やアスファルト、コンクリートなどを用いて地面を仕上げることになりますが、砕石がもっとも安価ですが、見栄えを重視するのであればアスファルトやコンクリートを選択するとよいでしょう。
また、駐車場を整備するには、重機の回送費や廃棄物処分の費用も必要となりますが、これらの費用は施工費に含まれているケースが多いようです。
とはいえ、必ずしもすべての業者が施工費にこれらの雑費を含んでいるとは限りませんので、各業者が提示する見積もりの詳細を確認し、作業費に加え、運搬や処分にかかる費用のトータルを把握しておくことをおすすめします。
空き家の付帯工事で費用を抑えるポイントとは?
空き家を解体する「解体工事」にあたって、建物本体以外の部分を撤去・解体する「付帯工事」が必要となることがほとんどです。
また、「付帯工事」の費用は建物の解体にかかる費用とほぼ同額となることが多く、かなりの出費となることが多いでしょう。
そこで最後に、空き家の「付帯工事」を依頼する際に知っておきたい、「付帯工事」の費用を抑えるポイントをご紹介します。
●業者による施工が必要な工程を明らかにする
空き家の解体を安全に進めるためには、「解体工事」は業者に依頼する必要がありますが、「付帯工事」については、必ずしも撤去・解体する必要がない、もしくは自身で作業を進めることができる工程もあります。
たとえば、ブロック塀やフェンス、物置などは引き続き必要なものとして残しておいたほうがよい場合もあるでしょう。
また、カーポートなどの簡素な設備は、場合によって素人の手でも安全に撤去することができます。
さらに、室内にある家具・家電などの残置物も、時間や手間がかかりますが、ご自身で撤去することができます。
ご自身で自治体の粗大ごみ回収を利用する、リサイクルショップに持っていく、インターネットのオークションなどに出品するなどの手段をとれば、業者に撤去を依頼するよりも安価に処分することができます。
このように、業者への依頼が必要な工程を吟味し、可能な限りご自身で対処したり、省略したりすることにより、「付帯工事」の費用を抑えることができます。
●複数の業者から見積もりを取る
また、「解体工事」に加えて「付帯工事」も依頼するとなれば、工事費の総額は決して安いとは言えない金額となりますので、できるだけ金額を抑えたいという方は少なくないでしょう。
そこで、いくつかの業者に「解体工事」および「付帯工事」の見積もりを依頼すれば、複数の業者間での費用や工事内容の比較をすることができるため、必要な工事内容やご希望の工事内容に対しての適正価格を判断しやすくなります。
また、気に入った業者に対して、他社の提示価格と比べて、値引きの交渉などもおこないやすくなるでしょう。
●見積もりと予算との兼ね合いを検討、吟味する
すでに述べたように、「解体工事」と「付帯工事」とは別物であり、それぞれに対して費用がかかります。
見積もりを出してもらう際には、その見積もりが「解体工事」と「付帯工事」の費用を合わせた総額であることを確認した上で、それが予算と合致するかを検討しましょう。
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まとめ
空き家の解体における「付帯工事」とは、建物本体以外の撤去・解体作業を指します。
敷地内の庭木や物置、塀やフェンスの撤去、室内の家具・家電の撤去、駐車場の施工などが含まれます。
「付帯工事」にかかる費用は「解体工事」とほぼ同等で、決して安いとは言えませんが、工事が必要な部分を吟味し、必要な部分にのみ施工する、複数の業者から見積もりを取って依頼する業者を選ぶなどの方法である程度費用を抑えることが可能です。
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