空き家を所有していると、固定資産税などが課税され、管理するにしても時間や費用がかかります。
空き家を有効活用するために事業を始めたいが、様々な活用方法があってどうすればよいかわからないという方も少なくないのではないでしょうか。
空き家を活用した事業で成功するためには、知っておいたほうがよい基礎知識があります。
そこで今回の記事では、空き家を活用して事業を始めたい方に向けて、事業で成功する上で必要な知識をお伝えいたします。
空き家で事業をする上で役に立つ!知っておきたい国の空き家対策とは
まずは、空き家を活用した事業に関する行政の動きについて見ていきましょう。
国内の空き家数は年々増加傾向にあり、総務省による最近の統計調査は、空き家数846万戸、空き家率13.55%と過去最高を記録しています。
少子高齢化を背景に2018年頃から空き家の増加ペースが加速し、国内の総世帯数が減少していくという予測もあり、空き家の割合は今後も増え続けることが見込まれているのです。
こうした現状を受け、政府は空き家の利活用に向けた様々な対策を打ち出しています。
その一つがいわゆる「空き家対策特別措置法」で、管理不十分により周辺地域に危害を及ぼしかねない空き家を「特定空き家」と位置づけ、指導や勧告などの行政指導の対象としました。
所有している空き家が「特定空き家」として勧告の対象となれば、固定資産税の優遇措置から除外され、最大で6倍もの税金を払うことになります。
このような事情からも空き家を放置しておくよりは、事業を始めたいと考える方が増えているわけです。
ほかにも、空き家の活用した事業をお考えの方が知っておいたほうがよい政府の空き家対策に、様々な減税や補助金制度があります。
登録免許税の引き下げでは、不動産登記で課税される登録免許税が不動産価格の0.3%から0.1%へと引き下げられました。
不動産売買で課税される不動産取得税も、2021年3月31日を期限として、固定資産税額の4%から3%へと引き下げられます。
空き家の購入や、改修して売却する際に課税されるこれらの税金が減税されたことにより、空き家を活用した事業を始めやすくなったわけです。
さらに、地方自治体によっては、空き家の購入や解体、改修費用などに対して補助金制度を設けています。
補助金制度は自治体によって異なりますので、事業を始める予定の自治体の補助金制度について調べてみるとよいでしょう。
減税や補助金制度のほかにも、空き家を活用した事業を後押しする政策が民泊に関する規制の緩和です。
背景には、近年、海外からの旅行者の増加により宿泊施設が不足していることがあります。
この規制緩和により、旅館業法の許可のない民間の空き家でも、一定の条件を満たせば、届け出た上で民泊として運営できるようになったのです。
増え続ける空き家を活用するためのこれらの取り組みにより、以前よりも空き家を活用して事業を始めやすくなったと言えます。
空き家を活用した事業の可能性は?人気の民泊やシェアハウスなども
空き家を活用した事業には様々な可能性があり、それぞれの空き家に合った活用方法を見つけることが、事業を成功に導く上で重要なポイントとなります。
ここからは、空き家を活用して運営することができる事業にはどのようなものがあるのかについてご紹介していきましょう。
空き家を活用した事業の一つに賃貸が挙げられますが、賃貸にもいくつかの種類があります。
居住用賃貸として活用するのであれば、まず考えられるのは借り主と一定期間の契約を結んで住んでもらう住居向け賃貸物件でしょう。
この場合、老朽化が進んでいなければ大規模なリノベーションなどをおこなう必要もありませんし、借り主さえ見つかれば、毎月の家賃収入が見込めます。
また、空き家の老朽化の状態にもよりますが、借主負担DIY型物件として貸し出せば借り主が物件を修繕しながら住んでくれるため、空き家の所有者が修繕する必要がなくなります。
借り主に原状回復を求めない代わりに、初期費用を払わずに物件を修繕してもらえるため、近年人気が高まっている形態です。
一軒家を住居として貸し出すのであれば、シェアハウスとして運営することもできます。
一軒家で借り手が見つかりにくい学生が多い地域などでは、家賃を安く設定できるため需要が見込めます。
居住用賃貸として活用するのであれば、「Airbnb」などを利用して、旅行者をターゲットとした民泊として運営することもできます。
借りる側の利用期間が短い場合が多いため、住居として貸し出す場合に比べて、管理の手間が少ない反面、利益が少なく、収益が安定しない可能性は高くなります。
宿泊施設の運営には旅館業法など法律の知識が必要となるため、ご自身で調べるか、専門家に相談することをおすすめします。
空き家を賃貸物件とする場合、事業用として貸し出すこともできます。
事業用賃貸の需要がある立地条件ならば、店舗用物件の入居者は入居期間が長く、滞納リスクも少ない傾向にありますので、安定した家賃収入が見込めるでしょう。
もちろん、空き家を人に貸し出すだけでなく、ご自身の店舗として経営することもできます。
ご所有の空き家がこれらの事業に向かないと思われる場合には、売却することもできます。
活用方法のない空き家を手元に置いておくと管理の手間がかかりますし、税金や維持費などの出費がかさむ一方ですので、売却して収入を得ることも視野に入れておくとよいでしょう。
空き家での事業を成功に導くためポイントは?リスク回避が大切!
空き家を活用した事業を軌道に乗せ、成功に導くためには、事業にともなうリスクを理解した上で空き家に合った活用方法を選択しなくてはなりません。
そこで、最後に空き家を活用した事業をおこなう上で注意すべきポイントについて見ていきましょう。
まず、ご自身が運営する事業からどのように利益が得られるのかを考えておく必要があります。
収益の面から事業を分類すると、ストックビジネスとフロービジネスに分けられます。
ストックビジネスとは一つの契約を結ぶと、一定期間継続的に利益を得られるタイプのビジネスを指し、住居用賃貸などがこれに当てはまります。
フロービジネスは1つの契約ごとに1回の利益を得るタイプのビジネスで、民泊や飲食店経営がこれにあたります。
収益の面から見ると、ストックビジネスは安定性が高く、フロービジネスは安定性が低いと言えるでしょう。
事業を始めるにあたっては、その事業の収益タイプを把握した上で、初期費用や経費などを計算し、利益を出していけるのか考える必要があります。
つぎに、空き家の立地条件で、ご自身の計画する事業の需要があるのかを考えなくてはなりません。
交通アクセスや治安、周辺環境や、周辺に競合する事業が集まっていないかなどの条件から、空き家に合った事業を選択する必要があります。
事業向けの活用に向かない立地の場合は、売却により利益を得ることもできます。
また、事業で契約を結ぶ際にできるだけリスクを回避できるよう、法律関係の知識をある程度習得しておくことも大切です。
特に、賃貸経営をおこなう場合は、修繕費などの必要経費、退去について、またはシェアハウスや民泊のルールなどを設定する際に、ある程度法律などの専門知識を知っておくと、リスクを回避しやすいでしょう。
あわせて読みたい|離島への移住・別荘建設を考えているのなら、空き家バンクで離島の情報を探そう!
まとめ
空き家を活用した事業が成功すれば、空き家を管理する手間や費用が省ける上、収益まで得ることができます。
しかし、空き家での事業を成功させるためには、空き家に合った事業形態を見極め、事業にともなうリスクを予測し、回避することが不可欠です。
空き家を活用した事業をご検討中の方は、今回の記事を参考に、ご自身の事業計画をシュミレーションしてみてはいかがでしょうか。
全国空き家管理ナビでは、空き家の管理を行なう専門業者を検索できます。
空き家管理にお困りなら、ぜひこちらで頼れる業者を見つけてください!