VRで空き家を内見できる?VRを使った遠隔内見システムについてご紹介

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VRで空き家を内見できる?VRを使った遠隔内見システムについてご紹介

新型コロナウイルスの流行により、ビジネスのあり方が様変わりしている昨今、VRをビジネスに活用する取り組みが大きな注目を集めています。
不動産分野においてもVRの活用が進んでおり、空き家の利活用を促進し、年々深刻化する空き家問題の解消に役立つのではないかと期待が高まっています。
そこで今回の記事では、VRを利用した空き家の遠隔内見システムについてご紹介いたします。

VRによる内見で解決できる?空き家問題の現状と対策は?

まず、空き家をとりまく現状や、政府や自治体による空き家対策の取り組みについて見ていきましょう。
全国的に空き家は年々増加していく傾向にあり、総務省統計局による「平成30年住宅・土地統計調査」によれば、2018年10月1日時点で、全国の空き家数は846万戸と前年より26万戸増加しています。
また、国内全ての住宅数のうち空き家が占める割合である空き家率は13,6%と、いずれも過去最高を記録しているのです。
ただし、当初の民間予測では空き家数1000万戸、空き家率16%にまで増加すると見込まれていたため、増加の速度には歯止めがかかりつつあると言えるでしょう。
また、空き家の用途別の増加ペースを見ていくと、賃貸用、売却用、別荘や別宅などの二次的住宅は減少か微増に留まっています。
こうした用途がなく空き家となってしまっている住宅は347万戸と30万戸ほど増加しているものの、こちらも年間10万戸というこれまでの増加ペースと比較すると、その速度は緩やかになりつつあります。
空き家が増え続ける現状に変わりはなくとも、増加速度の抑制に一役買っているのが、国や自治体を挙げての空き家対策である「空き家等対策の推進に関する特別措置法案」です。
これまで、空き家の処置についての自治体の権限は限定的でしたが、平成26年に制定されたこの法案により自治体は、適正管理がなされていない「特定空き家等」への立ち入り調査や、助言・指導、さらに勧告などの強制措置をとることが可能になりました。
また、この法案には、地方自治体が空き家についてのデータベースを整備し、空き家の利活用を支援していくためのガイドラインも盛り込まれています。
2018年に国が実施したアンケート調査では、その年の10月1日時点ですでに全市区町村の半数近くがこの法案に基づく計画を策定しており、国や自治体が空き家対策を重要な課題と位置付けていることがわかります。
国による法案の制定とこれに則った自治体の努力は、空き家問題に対する一定の効果を見せてはいますが、空き家の数が増加し続けていることも事実です。
空き家問題を解消していくためには、行政と民間が協力しての空き家対策が必要でしょう。

VRによる空き家の遠隔内見とは?内見の時間やコストを削減!

近年、ビジネス分野におけるテクノロジー利用が加速していますが、新型コロナウイルスの感染拡大により、その傾向はさらに顕著になってきました。
不動産業界も例外ではなく、空き家問題対策としても、AIやVRなどのテクノロジーの活用に注目が集まっているのです。
たとえば「全国版空き家・空き地バンク」では、地方自治体が個別の検索システムとして運用していた空き家・空き地バンクを集約し、全国の空き家・空き地情報を一つのウェブサイトでまとめて検索することが可能になりました。
「全国版空き家・空き地バンク」では、空き家・空き地の情報に加えて、周辺のハザードマップや生活情報などの不動産関連情報も閲覧することができ、総合データベースとしての機能も果たしています。
全国603の自治体が登録し、空き家情報の掲載は9,000件以上、物件成約数は1,900にも上るそうです。
それまでバラバラだった空き家・空き地に関する情報が集約され、検索しやすくなったことで、利用希望者のもとに情報が届きやすくなり、空き家の流通が活性化したわけです。
VRもまた、空き家対策を含む不動産業界で大きな関心を集めているテクノロジーの一つです。
VRとは、仮想現実を指すVirtual Realityという英語の略語です。
VRでは実際にはいない場所や時間での体験を、2次元の映像ではなく、3次元の空間のように感じさせる技術を通して疑似体験することができます。
VRは観光や結婚式、研修など様々なシーンで活用され始めていますが、不動産ビジネスとは特に相性がよい技術でもあるのです。
不動産の売買には内見が欠かせませんが、これにVRを利用すれば、物件まで出向かずともその物件を疑似体験することが可能です。
特に空き家物件の内見の場合、購入希望者が物件から遠く離れた地域に住んでいる、または興味のある物件が広い地域に点在しているなどのケースが珍しくありません。
そのような場合、全ての希望物件の内見に出向くには時間もコストもかかりますし、時間がかかりすぎると全ての物件の内見を終えるまでに、気になる物件が売約済みになってしまう可能性も出てきます。
しかしVRを利用すれば、購入希望者は一か所にいながら複数の希望物件の内見を疑似体験することができるため、時間やコストを省くことができます。
このようにVRを利用した空き家物件の内見により、購入希望者が多くの物件を気軽に内見できるようになれば、より活発な空き家の利活用につながるのではないかと期待されているのです。

VRによる空き家内見の実例をご紹介!鹿児島県長島町の取り組み

最後に、VRを活用した空き家の遠隔内見システムの実例を、鹿児島県長島町の移住定住策を中心に紹介しましょう。
天草の南にある自然豊かな島、鹿児島県長島町は過疎化問題を解決すべく、空き家の利活用と定住の促進を図るため、様々な移住定住支援策を推進してきました。
こうした努力により、長島町への移住希望者や空き家への問い合わせは増加しましたが、そこで課題となったのが、空き家物件の内見の効率化です。
町内にある空き家同士が離れているため、内見の際に一人の希望する物件を一軒ずつ移動しながら見て回るのには、多くの手間や時間がかかっていたのです。
これを解決すべく打ち出されたのが、長島未來企画、川商ハウス、KDDIと連携し、VRを活用した移住定住策です。
この取り組みにより、空き家バンクの物件情報及びその周辺情報を収録したVRが作成され、長島町役場、川商ハウス鹿児島本店及び長島支店で移住希望者が閲覧できるようになりました。
これを利用すれば、離れた空き家物件を次々と移動することなく、1か所にいながら、希望する複数の物件を内見することができるわけです。
また、2017年から始まった「地域の空き家・空き地等の利活用等に関するモデル事業」は空き家の利活用に向けた取り組みへの支援策ですが、2018年度はVRのような新技術を活用した取り組みについては、支援上限額が倍に引き上げられました。
この対応から、行政もテクノロジーを活用した空き家対策に期待を寄せていることがうかがえます。
このモデル事業の一つである「信州中古住宅流通ネットワーク」では、VRを利用してリフォーム前後を比較しながら、空き家物件のリフォームについて話し合える「VRリフォーム相談会」を実施しています。

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まとめ

空き家の活用や流通の促進を図る際、購入希望者が遠方に住んでいたり、購入希望の空き家が離れた場所に点在していたりと、内覧にかかる時間やコストが大きな課題でした。
1か所にいながら複数の物件の内見を疑似体験できるVRの導入は、こうした課題を解消し、より活発な空き家の活用につながっていくのではないでしょうか。
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