空き家の落下物の責任は所有者にあり!損害賠償はどうなる?

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空き家の管理方法
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空き家の落下物の責任は所有者にあり!損害賠償はどうなる?

空き家の落下物は、気付かないうちに責任を問われるような問題を引き起こす可能性があります。
管理せずに放置したままの家は老朽化が早く、いつの間にか倒壊の危険がある状態になっているケースも少なくありません。
今回は空き家の落下物の責任について、損害賠償はどうなるのか、また相続放棄をした場合の責任の所在などを解説します!

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空き家の落下物は所有者の責任になる

空き家の落下物の責任は、所有者となるのが一般的です。
適切な管理がなされず長期間放置したままの住宅は、老朽化して建物のあちこちが傷みます。
耐久性の弱くなった建物は、台風で屋根や壁が飛ばされたり、地震によって崩壊したりする可能性があるので危険です!
飛ばされた屋根瓦で近隣の家や車を破壊したり、近くを通りかかった通行人をケガさせたりする事故も考えられます。
なにかトラブルが起きれば、所有者が責任を負わなくてはならなくなるので、家の管理は誰も住んでいなくても大切です。
また、家を賃貸している場合は、賃借人が建物に関する責任を負います。
修繕などの管理業務も賃借人の請け負いが一般的ですが、賃借人が契約を解除しないまま出て行ってしまうと注意しなくてはなりません。
5年や10年などの長期間、賃借人がいないような状況で家が老朽化して周辺に被害をもたらす可能性がでてくると、実際の被害と併せて管理者の責任となるケースが考えられます。
貸しているから管理義務は問われないと安心していると、思いもよらないトラブルに巻き込まれるかもしれません。
そのため所有する空き家を賃貸しているケースでも、定期的なチェックが必要でしょう。

空き家の落下物による事故を防止するためには?定期的な点検を!

このように、空き家からの落下物による事故の責任は、原則的に所有者の責任となります。
ですので、空き家を所有した場合には、落下物による事故を防止するために、定期的な点検をおこなう必要があります。
ここでは、点検が必要な箇所と、点検の目安についてご紹介しておきましょう。

外壁
外壁部分の点検では、ひび割れや損傷、腐食の有無、素材の膨張や浮き、ずれの有無をまず確認しましょう。
さらに、外壁を固定・接着する仕上げ材、目地、シーリングなど、外壁に付随する部分の異常がないかも確認します。
確認する際には、壁を叩いてみて、他と違う音がないかをチェックすれば、目視確認ができない部分の劣化を発見できることがあります。

窓サッシ、ガラス
サッシの損傷や変形などを確認しましょう。

屋根
屋根本体に加え、屋根材の固定部分やアンテナ、手すりなどの付属設備について、損傷や腐食、ズレ、緩みがないかを調べましょう。

看板や室外機
看板や室外機の設備本体、またこれらを支えるボルトなど、その周辺の建物本体の損傷、腐食、変形、ひび割れの有無を確認します。
地震などの自然災害は、いつ来るのか予測できない場合が多くあります。
空き家の所有者となった場合には、これらの箇所について定期的な点検を実施し、落下物による事故を防ぎましょう。

空き家の落下物によって損害賠償の責任を負う場合の賠償金額はいくら?

空き家の落下物によって被害がでた場合、所有者は損害賠償の責任を負う可能性があります。
強風によって飛ばされた屋根の一部で、通行人をケガさせてしまうような事故は、全国各地で報告されています。
通行人が実際に被害に遭い、後遺障害9級のケガとなり、5,000万円以上の賠償金を支払ったケースもあるようです。
また、日本住宅総合センターが調査を実施した「空き家発生による外部不経済の実態と損害額の試算に係る調査」によると、空き家が原因で発生する被害と損害賠償金額の試算結果は以下のとおりです。
(1)空き家で発生した火災が原因で隣家が全焼かつ隣人が亡くなった場合…6,375万円
(2)倒壊した空き家が隣家を巻き込み、隣家が全壊かつ隣人が亡くなった場合…2億860万円
(3)空き家の外壁材などが落下し、通行人が亡くなった場合…5,630万円
参照元:
公益財団法人 日本住宅総合センター| 定期借地権事例調査(2009年度) (hrf.or.jp)
※「4.損害額の試算」の項目を参照
この損害賠償は対象が人でない場合も同じで、近隣の家や車などを破損・破壊させると、その家や車の所有者に対する補償が必要です。
建物は土地の工作物にあたり、その責任については民法717条で定められています。
工作物の瑕疵によって他者に被害を与えた場合は、工作物の所有者か占有者が損害賠償を負うことが明記されていますよ。
※所有者…空き家の持ち主、占有者…空き家の賃借人(空き家を賃貸にしている場合)
瑕疵とは、本来備わっているはずの性能などを欠いている状態です。
建物だけでなく、塀や庭木などについても管理義務が生じますよ。
工作物とは、建物の建つ敷地内にあるものすべてが対象です。
過失がなくても、空き家の所有者であれば責任を問われますので、日頃から注意を払い、管理を適切におこないましょう。

空き家の落下物の責任をとりたくなければ相続放棄?

落下物などの空き家に関するさまざまなトラブルを避けたいなら、相続放棄を検討する方法があります。
相続放棄とは、被相続人のすべての財産を引き継がないことで、相続を知った日から3ヶ月以内の申請が必要です。
申請先は家庭裁判所で、必要書類を提出して相続放棄申述受理通知を受け取ります。
3ヶ月以内に申請できない場合は、期間延長の手続きもできますよ。
総じてマイナス財産で相続放棄を検討するケースが多いようですが、相続を放棄すると、プラスの財産に関しても一切関与できなくなるので覚えておきましょう。
そして相続人全員が相続を放棄すると、不動産は国の所有物になります。
しかし、第三者の相続財産管理人を選定するまでは、本来の所有者が管理責任をもち続けるのが一般的なので注意してくださいね。
相続財産管理人が不動産管理を始めた時点で責任が移行するので、相続財産管理人が見つかるまでは、相続人による適切な管理が必要です。
もう一つ注意しなければならないのが、相続財産管理人に支払う報酬です。
相続財産管理人は、権利を放棄した相続人に代わって財産管理をおこなうので、報酬を支払わなければなりません。
基本的に相続財産管理人の報酬は放棄した財産から支払いますが、それでも足りない場合は、申し立てをした人が支払います。
さらに財産が不動産の場合、ほとんど国に引き取ってもらえないのが現状なので、相続財産管理人が空き家を管理する状態が継続するかもしれません。
国が引き取ってくれなければ、相続財産管理人への報酬の支払いが続きます。
相続を放棄してしまうと、空き家の処分を自由にできないので、かえって荷物になるケースも考えられますよ。
通常の空き家管理費用とどちらがコストを抑えられるか、相続放棄については熟慮する必要があるでしょう。

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まとめ

空き家の落下物の責任は所有者か占有者にあり、他者へ被害を与えると損害賠償を請求される可能性があります。
落下物によるけがにより、数千万円もの賠償金を支払った事例が実際にでています。
相続を放棄する手もありますが、家庭裁判所への申し立てが必要で、期限も短く、なにかと煩雑です。
空き家の状況によっては、相続財産管理人に支払う報酬より、相続人による管理費用の方がコストがかからないかもしれません。
不動産や相続は専門性が高いので、空き家のプロにまずは相談するのがおすすめですよ!
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