相続税対策に有効なはずのアパートに空き家が増えている理由とは

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空き家活用
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皆さんは「空き家」という言葉を聞くと、どのような建物を思い浮かべるでしょうか。
おそらく多くの方は、「築年数が古くて傷みがひどく、人が住むには適さない家」を想像するかと思います。
しかし、空き家の中にはそのような古い家だけでなく、新築未入居の賃貸アパートも含まれていることをご存じでしょうか。
今回は、新築の賃貸アパートが空き家となってしまう理由についてお話します。

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新築の賃貸アパートが空き家となる理由1 相続税対策による物件の供給過多

相続税対策に有効なはずのアパートに空き家が増えている理由とは

賃貸アパートが空き家となる1つ目の理由は、相続税対策による物件の供給過多です。
親や祖父母などから資産を受け継ぐと、相続税を納めなくてはいけません。
相続税は、受け継いだ資産の額から基礎控除額を差し引いた金額によって決まりますが、2015年1月に制度が改正されたことで基礎控除額が減額されました。
以下に、改正後の相続税がどれだけ増税するのかまとめてみました。

●改正前の基礎控除額…5,000万円
●改正前の基礎控除非課税対象の計算式…5,000万円+(相続人数×1,000万円)

●改正後の基礎控除額…3,000万円
●改正後の基礎控除非課税対象の計算式…3,000万円+(相続人数×600万円)


上記のように、基礎控除額が減額されたということは、納める相続税の額が高くなるため、これまで以上に税金の負担が大きくなります。
そこで、相続税対策として注目されたのが、賃貸物件の建築です。

新築の賃貸アパートが空き家となる理由1 相続税対策による物件の供給過多

不動産を所有している場合、株や現金で相続するケースと異なり、不動産評価額によって税額が異なります。
また、土地を所有している場合は、更地にしておくより賃貸アパートを建てることで不動産評価額を下げることができます。
特に、2015年5月に空家対策特別措置法が完全施行されてからは、特定空き家に認定される可能性がある住宅を取り壊して、賃貸アパートを建てて税金対策を行うケースが増えました。
しかしこの方法は、相続税と空家対策特別措置法の2つの観点から増税の負担を軽減する方法として有効ですが、それを目的に建てられた賃貸アパートが多すぎるという問題があります。
国土交通省による「建築着工統計調査報告」によれば、2020年に建設された賃貸住宅の戸数は30万6,753戸と、前年に比べて10.4%も減少しています。
実は2018年以降、国内の賃貸住宅の着工数は減少しているのですが、2012年から2017年にかけて、賃貸住宅の着工数は31万8,521戸から41万9,397戸まで年々増加していました。
参考資料:国土交通省 建築着工統計調査報告 令和2年計
しかし、多くの住宅が着工されたからと言って、それら全てが満室となっているわけではありません。
中には完成から数ヶ月が経過しても、未入居のままとなっている賃貸アパートもあります。
先ほど、相続税対策として賃貸アパートを建てることが有効だとご紹介しましたが、やはり人口密度によって物件の需要が高い地域とそうでない地域があります。
それをきちんと見極めず、むやみに賃貸アパートを建てることは、相続税対策としてあまり効果的とは言えません。

新築の賃貸アパートが空き家となる理由2 人口と世帯数の減少

賃貸アパートが空き家となる2つ目の理由は、人口と世帯数の減少です。
現在の日本は、すでにご紹介した住宅の供給過多に加え、人口減少や世帯数の減少に伴い住宅需要が下がり、空き家が増えています。
国が5年ごとに実施している国勢調査でも、2015年には統計開始以降初めて人口が減少に転じたことが大きく報道されました。
国勢調査によれば、2010年の日本の人口は1億2,805万7,352人でしたが、これに対し、2015年には1億2,709万4,745人と、96万2,607人もの人口が減少しており、0.8%の減少率となっています。
これは1年間でおよそ20万人の人口が減少している計算になります。
さらに、最新の国勢調査である2020年の統計結果でも、2020年10月1日時点での日本の人口は1億2,622万6,568人と、2015年よりもさらに86万8,177人減少していることが明らかになっています。
2015年から2020年にかけての人口減少率は0.7%ですので、前回の2010年から2015年にかけての人口減少よりは多少緩やかではあるものの、10年間に渡り日本の人口が減少し続けていることになります。
また、2020年の国勢調査では、全国にある1,719の市町村のうち82.4%にあたる1,416の市町村で人口が減少していることがわかっています。
このうち、人口が5%以上減少した市町村が50.9%と、半数以上となっているのです。
一方、この調査で明らかになった国内の世帯数は、5,572万世帯と2015年との比較では227万1,000世帯ほど増加しているものの、1世帯当たりの人員は2.27人で減少を続けています。
このような人口減少が住宅需要の低下へとつながっていくわけです。
参考資料:総務省 平成27年国勢調査人口速報集計 要約
総務省 令和2年国勢調査 人口速報集計 結果の要約
このように、賃貸住宅の空き家が増えている背景には、空き家特別法の効果や相続税対策として賃貸住宅が急増した結果、住宅が供給過多になっていること、また、人口減少により住宅需要が落ち込んでいることがあるのです。

新築の賃貸アパートが空き家となる理由2 人口と世帯数の減少

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まとめ

空家対策特別措置法と相続税の2つの観点から、あちらこちらで建築が進む賃貸アパートですが、新築未入居のままになってしまっては何の意味もありません。
相続税の支払いをできるだけ抑えるために、今後賃貸アパートを建てることを検討されている方は、今回ご紹介した点を考慮していただくことをおすすめします。
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