空き家に関する行政と不動産業界の連携とは?宅建協会の取り組みをご紹介

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少子高齢化が進んだ日本では今、空き家の放置が大きな社会問題となっています。

しかし空き家問題が深刻化する一方で、行政やNPO、民間企業がさまざまな形で空き家問題に取り組んでいます。
そのような取り組みの一つに、空き家問題の解決に向けた全国各地の宅建協会と自治体との連携があります。

今回の記事では、こうした宅建協会の取り組みについて、その概要や事例などをご紹介いたします。

01宅建協会と空き家のかかわりは?空き家を地域の資源ととらえた地域貢献

宅地建物取引業とは、土地や建物などの不動産の売買や賃貸の仲介、販売代理および売買をおこなう事業を指します。

宅地建物取引法の定めるところにより、これらの事業をおこなう際には、免許の取得や規制の順守などが義務付けられています。
宅建協会は全国の各都道府県にあり、それぞれの地域の宅地建物取引業者が所属し、消費者の安心・安全な不動産取引のための公益事業や、会員業者のサポートなどに携わる団体です。
宅建協会の全国組織である全宅連は、各都道府県の宅建協会に所属する会員業者約10万人、全国の不動産業者の80%がその傘下に入る大規模な組織となっています。

現在、全国の宅建協会ではそれぞれの地域の自治体と連携しつつ、空き家を不動産市場に取り込むための様々な取り組みをおこなっています。
まずは、宅建協会の空き家にかかわる取り組みを見ていきましょう。

宅建協会および全国組織である全宅連では、目指すべき理想像を地域守りの担い手と位置付け、その実現に向けて地域を顧客ととらえ、その地域や家、および資産を守るサポートにより、その地域の消費者やコミュニティに貢献する取り組みを実施しています。
一般的に宅建業者の仕事としては、地域の不動産所有者に対する資産活用法の提案や資産管理サービスの提供や、消費者に対しての不動産取引後のアフターフォローを通じて、家や資産を守る、いわゆる家守りがあげられます。

しかし、宅建協会および全宅連はこれに加えて、不動産所有者や消費者の資産を地域の活性化に貢献する可能性を秘めた地域の資産ととらえ、その管理者としてコミュニティ管理に貢献する地域守りを目標として掲げています。
そしてその実現のために、地域の資源となりうるにもかかわらず、有効活用されていない空き家の発掘を重要事項ととらえ、自治体との連携を通じて、商業利用やイベントのプロデュースなど地域貢献を視野に入れた空き家の流通や有効活用の取り組みをおこなっているのです。
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02宅建協会の空き家対策って?空き家バンクとの連携や実態調査など

宅建協会の空き家対策に向けた取り組みは、不動産を個人の資産としてだけでなく、地域全体の資産ととらえ、その活用へのサポートを通じて地域全体の活性化に貢献するという視座から行われています。

それでは、ここからは2017年に全宅連により発表された調査結果から、宅建協会と自治体が連携しておこなう空き家関連の取り組みについて具体的に見ていきましょう。

まず、空き家の流通に向けた宅建協会の取り組みとして挙げられるのが、自治体が運営する空き家バンクとの連携です。

空き家バンクとの連携において、宅建協会は空き家に関する相談窓口や、空き家の物件取引の仲介として機能しているほか、移住希望者からの相談や住宅確保をサポートする移住や定住の促進事業にも取り組んでいます。
調査時点で全国にある47の宅建協会のうち、空き家対策に協力している宅建協会または支部は42、協定の対象となった地方自治体は9県、355市町村にものぼっています。

前年の同時期と比べると、7協会、137の自治体がこの取り組みに加わっています。
連携数の多い宅建協会を例に挙げますと、長野県が35、三重県23、山梨県20、広島県19と地方の宅建協会では特に空き家バンクとの連携が拡がっていることがわかります。
宅建協会の空き家バンクにおける実績については220の自治体が回答しており、空き家バンクの開設時からの登録数の合計は5,230件、成約件数の合計は1,630件となっています。
各自治体の登録および成約件数の平均は、登録が26件、成約が11件との結果でした。

空き家バンク以外にも宅建協会は消費者に対する空き家の実態調査に取り組み、現場での空き家の実態の把握や、会員業者から収集した空き家対策にかかわる取り組み事例の情報提供などもおこなっています。

また、宅建業者が空き家管理に取り組みやすくするため、空き家管理のマニュアル本として「空き家管理マニュアル」を出版しています。

このように、宅建協会の空き家対策では、空き家バンクとの連携を中心に、様々なデータ収集や情報提供などがおこなわれているのです。
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03宅建協会による空き家対策の取り組み事例をご紹介!空き家バンクや無料相談など

最後に、宅建協会の空き家の流通に向けた取り組みについて、具体的な事例をあげながらご紹介いたします。

はじめにご紹介するのは、山梨県宅建協会の取り組み事例です。

山梨県宅建協会の空き家対策事業では、当初、自治体側には行政の事業に民間団体が参入することについての懸念がありました。
しかし、県の担当者と宅建協会の役員の熱意と働きにより、自治体と協会の協定が実現し、空き家取引での成約数が飛躍的に伸び、また専門家の介入により取引における行政へのクレームがなくなったのです。
山梨県宅建協会では平成28年、山梨市での協力を皮切りに12市4町と連携し、売買160件、賃貸233件と、合計で393件の成約を達成しています。
連携の方針としては、空き家バンクは県のウェブサイトを利用するため、賃貸用のアパートや業者の棚卸し物件は一切掲載されていません。

また、山梨市の場合、「空き家バンク協力会」として協力業者を募り、売買や賃貸の区別なく順番に対応し、単価が極端に安い物件や権利関係が複雑な物件については、宅建協会会員が対応しています。
さらに、ウェブサイトに家屋状態の目安などの詳細情報を掲載し、現地見学の際には市役所役員と共に宅建協会会員が同行し、アドバイスをおこなうなど、空き家バンクの利用者側の視点に立ったサポートを提供しています。

次に、山形県宅建協会酒田支部の取り組みについてもご紹介いたしましょう。
酒田市では平成24年3月には「酒田市空き家等の適正管理に関する条例」の制定がおこなわれ、空き家の管理・活用に関する啓発広報を固定資産税に同梱するなど、早いうちから空き家対策に関する取り組みがおこなわれていました。
さらなる空き家対策として酒田市空き家等ネットワーク協議会が設立され、無料相談会も開催されています。

無料相談会では、宅建士や司法書士、建設業や金融業などの各分野の専門家を配置し、空き家の売却や相続登記、建物の解体や費用に関する相談までワンストップで対応できる体制を整えています。
山形県宅建協会酒田支部は経済的な利益を追求するのではなく、市民と地域をサポートし、その信頼を得ることが業界の利益となるとの思いから、酒田市空き家等ネットワーク協議会や無料相談会に宅建業者として参加しています。

特に、無料相談については、年2回の酒田市が実施する相談会だけでなく、協会事務所での相談にも常時応じています。
相談物件はまず宅建協会会員が調査し、物件化が可能であると判断されると、登録された協力業者が最低でも3か月間は責任をもって対応していくという形をとっています。


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04まとめ

不動産流通にかかわる専門家団体である宅建協会は、その専門性を活かし、地域の空き家の流通や有効活用を促進し、地域の活性化に向けた取り組みをおこなっています。
空き家を所有している方や空き家の利活用をお考えの方は、ぜひ一度、お住まいの地域の宅建協会ではどのような取り組みがおこなわれているか調べてみるとよいのではないでしょうか。


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