相続などで空き家を所有したけれど、すぐに活用することができないという方は多いでしょう。
しかしそういった場合でも、定期的に足を運び管理をするか、業者に依頼して適正に管理していく必要があります。
空き家の管理内容には、建物の通気や換気、室内の清掃と確認、敷地内の清掃やポストの確認など、多岐に渡りますが、雑草除去もそのひとつです。
今回の記事では、空き家の管理における雑草除去について、雑草を放置してしまった場合のデメリットや対処方法などに触れながらご紹介します。
空き家の雑草除去を怠るとどんなデメリットがあるの?
空き家が自宅から遠い、または時間を確保するのが難しいなどの理由で頻繁に空き家に訪れることができない方は少なくないでしょう。
しかし、季節によっては空き家の雑草や草木はすぐに伸びてしまうものですので、定期的に処理をしないと空き家が荒れてしまう原因となります。
はじめに、空き家の雑草を放置することにより生じるデメリットについて見ていきましょう。
通気が阻害され家屋の劣化の原因となる
まず懸念されるデメリットとしては、雑草や草木を生い茂ったまま放置しておくと、建物の劣化が進んでしまうことが挙げられます。
これは、生い茂った雑草により通気が阻害されて、湿気がたまってしまった結果、建物の外壁や土台が傷みやすくなるためです。
とくに注意すべきなのは土台部分で、雑草が換気口を覆ってしまうと、床下部分の通気ができなくなるために湿気がたまり、シロアリが発生する原因となります。
ご近所トラブルに発展する可能性がある
雑草を放置しておくと、空き家そのものに悪影響を及ぼすだけでなく、近隣住民に迷惑をかける恐れがあり、もめ事に発展する可能性があります。
たとえば、雑草が伸び放題になることで空き家のある地域の景観を乱したり、蚊やムカデなどの害虫が発生して近隣の人に被害を及ぼしたりしてしまうことが考えられます。
また、雑草が空き家の敷地を囲んでしまうと周辺からの見通しが悪くなり、ごみの不法投棄や不審者の侵入の標的となりやすくなります。
さらに、冬場には雑草が乾燥しますので、ポイ捨てされたたばこの火が雑草に燃え移って火災が発生するケースもあります。
このように空き家の雑草を放置しておくと、近隣の住民にとって衛生面や治安面、安全面での不安要因となり、トラブルに発展してしまう場合があります。
自治体の条例による規制
また、自治体によっては雑草の放置を規制するための条例を制定しており、抵触すると判断された場合には、指導や勧告などの措置が取られることもあります。
こうした条例には、「名張市あき地の雑草等の除去に関する条例」や「伊丹市環境保全条例」などが挙げられます。
たとえば伊丹市の条例では、第65条に管理不全の土地に関する条文があり、害虫の発生や、火災、犯罪、不法投棄など雑草が生い茂った場合のリスクを列挙しています。
こうしたリスクを抱えていると判断された場合には、行政による措置が取られることになるわけです。
このように、空き家の雑草を放置しておくと、空き家の劣化や近隣住民とのトラブル、さらに自治体の条例に抵触してしまうなどのデメリットがあります。
空き家の雑草除去を自分でするには?除草後の雑草予防も忘れずに
上記で述べたようなデメリットを避けるためにも、雑草除去は空き家管理をするうえで欠かせません。
ここからは、空き家の雑草除去の方法についてご紹介していきましょう。
はじめに業者に頼らず、ご自身で雑草除去をおこなう場合の方法について見ていきましょう。
地上に露出した雑草を除去する
まずは、地上に露出している雑草を除去する作業をおこないます。
●草むしりをする
もし、空き家が自宅から頻繁に通える距離で、体力にも問題がなく、空き家の敷地がそれほど広くないのであれば、手作業で草むしりをすることができるでしょう。
●草刈り機を使う
この方法では時間や手間がかかり過ぎるという場合には、電動草刈り機やエンジン式の草刈り機を使用するとよいでしょう。
電動草刈り機は、軽量で音はそれほど大きくないため、住宅が密集している場所に空き家がある場合でも使用しやすいという特徴があります。
一方、エンジン式は、音が比較的大きいかわりにパワーがあるため、周囲に住宅の少ない空き家の雑草除去に向いています。
地中に残った根から雑草が生えることを抑制する
地上の雑草を除去したあとは、次に残留した根から雑草が生えてくるスピードを遅らせる処置を施します。
●除草剤の散布
この処置には、除草剤の使用が効果的です。
雑草に直接散布する液体の除草剤は、効果が表れるまでに早ければ2、3日と即効性が高いものが多いのでおすすめです。
雑草除去をおこなっても新しい雑草は生えてくるものですが、処置によりその速度を抑えることは可能です。
●砂利や防草シート、粒状の除草剤の併用でさらに効果的に
たとえば、ホームセンターなどで販売している砂利を地面に敷き詰めれば、日光がさえぎられるため、雑草の生育を遅らせることができます。
また、同様に日光を遮断することにより、雑草が生えてくることを防ぐ方法としては、防草シートもあります。
見栄えが気になる場合には、さらに砂利を敷き詰めるとよいでしょう。
一度草刈りをおこなった後の雑草予防としては、土に混ぜて使用する粒剤の除草剤を使用するのもおすすめです。
土壌に混ぜ込むため、効果が長く持続するという特徴があります。
ただし、周辺で植物を育てている場合には影響を及ぼす可能性がありますので、1メートル以上離して除草剤を散布することをおすすめします。
また、雑草は根が地中深くまで伸びてしまうと除去するのが困難になってしまうことも考えられますので、雑草が成長する前に対処をこまめにおこなうことが最も効果的です。
頻繁に空き家を訪れて雑草除去をおこなえる場合には、上記のような方法で除去できます。
空き家の雑草除去を自分でできない場合には?業者に依頼しよう!
空き家が遠方にあるなどの理由で、空き家の管理にそれほどの手間や時間をかけられない場合、空き家の雑草除去をご自身でおこなうのは難しいかもしれません。
また、空き家の敷地が広い、体力に自信がないといった場合も同様です。
業者に依頼すれば、費用はかかりますが時間や手間はかからず、適切に管理してもらえます。
そこで、最後に空き家の雑草除去を業者に依頼する場合について、業者の種類やそれぞれにかかる費用などをご紹介しましょう。
園芸業者
雑草除去のみならず、庭全体を綺麗な状態で保ちたいのであれば、園芸業者を利用するとよいでしょう。
専門業者であるため、費用はかかりますが、専門技術をもって庭の手入れをおこなってくれます。
雑草除去の費用は従事する人数分の費用がかかるため、面積に応じて変動しますが、1名あたり2時間で5,000円程度が一般的です。
空き家管理業者
空き家に関するトラブルを回避し、適正に管理することが目的なのであれば、雑草以外の管理と合わせて空き家管理を代行してくれる業者に雑草除去を依頼することができます。
たとえば、便利屋を利用すれば、郵便ポストの管理や室内の清掃も同時に依頼することができ、業者によっては費用が割安になることもあるようです。
便利屋を利用する場合の費用は時給計算となることが多く、1人につき1時間3,000円が相場です。
これに加えて、除草剤や草刈り機の燃料費、刈り取った雑草の処分費用などの実費を払うことになります。
ホームセキュリティ業者
また、ホームセキュリティ業者も空き家の監視や警備員派遣を中心として空き家管理代行業に参入していることが多くあり、オプションで清掃や雑草除去を請け負っている場合があります。
雑草除去は警備業務とは別に料金が発生することが多いため、業者のウェブサイトなどで依頼項目や費用を調べてみることをおすすめします。
空き家警備の依頼もご検討中の方は、雑草除去も同時に申し込んでもよいかもしれません。
シルバー人材センター
そのほかにも、地域のシルバー人材センターも比較的リーズナブルな価格で雑草除去を請け負ってくれます。
手作業の場合は1日5,000円程度が相場です。
ただし、所有者不在の空き家の雑草除去を受け付けてくれるか、また人員が高齢者であるため、夏場の作業が可能であるかなどは予め確認しておいたほうがよいでしょう。
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