親などから相続したものの、自分は遠方に住んでいるため利用予定がなく、そのまま放置している家があると、費用的にも精神的にも負担を感じてしまうでしょう。
空き家を放置しておくと、家の管理が行き届かなくなり、周囲に迷惑をかける、犯罪に利用されるなどの危険性があります。
それでは、空き家を所有している人は、どのように対応するのがベストなのでしょうか。
そこで、空き家をそのまま放置することのデメリットや、空き家を有効活用するための最新の対策などを解説します。
参考サイト|空き家を放置するリスクとは?空き家対策特別措置法に注意しよう!
▼空き家対策を先延ばしするデメリット
空き家対策を先延ばしするひとつめのデメリットが、周囲に住んでいる人たちに迷惑をかけてしまうこと。
人の出入りがまったくない空き家は、雑草や草木が伸び放題になり、景観を損ねてしまいます。
また、生い茂った雑草のなかに空き缶や粗大ごみを投げ込まれるなど、不法投棄の現場になりかねません。
ごみから悪臭がただよい、ハエなどがわいてしまっては、衛生的にも問題がありますので、定期的にチェックすることが必要です。
また、老朽化が進んでいる空き家は、強風で屋根が飛んでしまったり家屋が倒壊してしまったりするリスクがあります。
倒壊した家屋の一部が通行人にぶつかり、怪我をさせてしまうこともありますので、補修工事あるいは解体工事を検討してもいいでしょう。
もうひとつのデメリットは空き家が犯罪に利用される可能性が高まること。
長いあいだ人が出入りしていない空き家は、放火犯に狙われやすくなります。
激しく家が損傷している、雑草や草木が生い茂っていると、いちど火をつけられたら一気に燃え広がります。
さらに、人が住んでいないことが分かったら、犯罪の拠点になったりホームレスが住みついたりすることもあります。
実際に住んでいなくても、所有権が自分にある場合は、空き家の管理責任が問われてしまいますので、対策を立てることが大切です。
空き家を放置することで経費がかさんでしまうことも懸念として考えられます。
遠方に住んでいるなど、なかなか家に行けない場合、雑草や草木の剪定、敷地の清掃、室内外の点検などを、業者等に依頼する必要が生じます。
さらに、土地と家を所有している以上、固定資産税を支払う義務が発生しますが、管理費用を省くために更地にすると増額されてしまいます。
そのうえ、一定の条件に当てはまった家は、市町村などの自治体により特定空き家と見なされます。
特定空き家に指定された場合、すぐに対応できれば問題ありませんが、対応が遅れて勧告を受けてしまうと、固定資産税の優遇措置の対象から外されてしまいます。
空き家を放置することは、安全面でも費用面でもデメリットが多いこともあり、利用する予定がない場合は手放すことも選択肢のひとつになるでしょう。
▼地域活性化のための空き家対策
移住のニーズが高い地域や人口減少が進んでいる地域は、土地や家が有効活用されることで活性化します。
それに対して、解体して更地にすることも、誰かが住むこともない家は、社会で有効活用されてしない状態にあると言えます。
とくに空き家が増加してしまう一因が、解体する際にかかる費用。
これから自分や家族が住むためではなく、処分するためだけに費用を投じることに、多くの人は抵抗を感じるものです。
そこで、最新の空き家対策として注目されているのが、賃貸物件として他人に貸し出すというもの。
駅からのアクセスが良いなど入居のニーズが高いエリアなら、家族向けに貸し出せば月々の家賃収入が得られます。
また、空き家の条件によっては、飲食店経営などの事業者に貸し出すという選択肢も出てくるでしょう。
国内外の観光客が多いエリアであれば、ゲストハウスとして活用することもできそうですね。
最近は、空き家の有効活用を促進するために、入居希望者に対して自治体が家賃を補助する制度が増えてきました。
たとえば大分市では、団地の空き家化を解消するために、子育て世代や子どもを産む予定のカップルに対して、家賃の3分の2を補助する制度を設けました。
さらに大分市は、同市が運営している空き家バンクを通じて住まいを購入した子育て世代に3年分の固定資産税に相当する額を補助。
団地の空き家が全国的に増えていることから、大分市の取り組みは団地対策として注目されています。
住民の高齢化と空き家の増加が深刻化している地域にて、一定の条件を満たした学生に家賃を補助するという対策を打ち出したのが横須賀市です。
横須賀市は、神奈川県立大学保健福祉学部の学生に対して、指定された空き家に住んだ場合、月ごとに1万円を補助する仕組みをつくりました。
家賃補助を受ける学生に、買い物、ゴミ出し、地域パトロールなどの地域活動をすることが義務づけるなど、地域の見守りと空き家対策を上手く結びつけた対策として注目されています。
▼ITを活用した空き家対策の事例
自治体が一部の費用を補助するだけではなく、ITを活用することで空き家の所有者とその利用希望者を結び付ける取り組みも進んでいます。
その代表的な事例が、空き家・空き地バンクと呼ばれる、空き家の所有者と利用希望者のマッチングサービスです。
自治体がそれぞれ運営していたシステムをとりまとめ、全国にある空き家などの情報を検索できるようにしたサービスです。
委託された団体等が、空き家の所有者や利用希望者のサポートなど運営面を任されていますが、営利を目的としていないことから低予算で利用できることが魅力です。
自治体の取り組みに加えて、テクノロジーを駆使して空き家の新しい活用法を提案する仕組みも目立ち始めています。
あきやカンパニーが運営するカリアゲJAPANは、築30年以上経っている古い空き家を、そこで何かをしたいという人に貸し出す仕組みです。
カリアゲJAPANの特徴は、老朽化が進んでいる空き家を、借主が自由にリノベーションできるという点。
所有者は、空き家の改修費用を負担する必要がなく、6年のあいだ家賃収入を得られます。
借主は、自分の好みや用途に合わせて改修できるのみならず、相場とくらべて格安の家賃で利用できるというメリットがあります。
さらに6年間の契約期間が終了したら、その空き家は借主が自由に使えるようになることも大きな特徴。
そのため、マイホームだけではなく、気軽に使える別荘、飲食店などの事業拠点、創作活動の拠点など、さまざまな目的で利用されています。
日本政府もテクノロジーを駆使した空き家対策に注目しており、2017年から国土交通省により「地域の空き家・空き地等の利活用等に関するモデル事業」が開始されました。
この支援を受けた住民参加型空き家魅力UP協議会は、鯖江市にある空き家の利用希望者に向けて、物件の3D撮影技術やオンライン内見を取り入れる取り組みを実施。
ひょうご創生空き家活用プロジェクトは、空き家を調査する際に3Dカメラあるいはドローンの導入に成功しました。
信州中古住宅流通ネットワーク(NEX-Tネクスティ)は、VRリフォーム相談会にて、リフォームする前と後をくらべられるような映像システムを導入。
このような最新の取り組みを支援することで、モデルとなりうる空き家対策を積極的に評価しています。
▼まとめ
空き家を利用の予定がないまま所有していると、安全面・費用面の負担がふくれあがるのみならず、地域のために有効活用する機会を逸してしまいます。
空き家対策は全国的におこなわれており、最新のテクノロジーを活用した仕組みも増加しています。
空き家を売却する、あるいは賃貸で貸し出すことで、収入を得ることにもつながりますので、空き家の処置に困っている人は参考にしてみてはいかがでしょうか。
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空き家で何かお困りのことがありましたら、ぜひご利用ください。