修繕やお手入れをしないまま、放置された空き家を所有していませんか?
相続などでおもいがけず空き家を所有してしまった方もなかにはいるでしょう。
しかし築年数が経過し、ボロボロになった空き家を放置すると、さまざまなリスクが生じるため注意が必要です。
この記事では空き家を所有している方に向け、空き家を放置することで生じる問題をテーマに、空き家に関する特別措置や放置しないためのポイントを見ていきます。
手つかずの空き家を所有している方はぜひご覧ください。
関連記事:空家等対策の推進に関する特別措置法関連の概要及びガイドライン
▼空き家を放置することで生じるリスクや被害とは?
放置されている空き家は年々増加し、深刻な社会問題になっていることをご存じでしょうか?
高齢化や相続、住み替えなどが理由で増え続け、所有する空き家が遠方にあるためなかなか足を運べないという方も多くいます。
県外に住んでいる子どもが親の不動産を相続することになり、実家に帰るのが難しく、放置気味になるというケースも多いでしょう。
このように空き家が放置される理由はさまざまですが、空き家は適切にメンテナンスや修繕をおこなわないと、以下のようなリスクが生じます。
<倒壊の危険性がある>
築年数が経過した空き家は、当然老朽化もすすんでいます。
現在空き家になっている建物は木造住宅が多く、構造部にもたくさんの木材が使われているのが特徴です。
木造住宅は定期的な換気や掃除、風通しをおこなわないとどんどん劣化し、建物が弱くなってしまいます。
いくら耐久性に優れている木造住宅であっても、人が住んでいない状態で放置されると、少しずつ老朽化がすすみ、倒壊の危険性が高まってしまうのです。
さらに昭和56年(1981年)より前に建築された建物は、旧耐震基準法で建てられています。
現在の新耐震基準は、震度5強程度の中規模地震でほとんど損傷しないこと、そして震度6強から7の地震でも倒壊や崩壊しないことが条件です。
そのため旧耐震基準で建てられた空き家は、耐震性の不足により小規模な地震や台風でも倒壊する可能性があるでしょう。
倒壊せずとも老朽化により外壁がはがれ落ちたり、屋根瓦が落下したり、塀が崩れ落ちるといったリスクが高まるので、空き家の放置は非常に危険といえます。
<侵入者や動物の住処になる>
「空き家=誰も帰ってこない」と思われるため、侵入者が現れるリスクが高くなります。
玄関やドアが施錠されていたとしても、侵入者はなんらかの方法で家に入ろうとするでしょう。
なかには侵入者が住みつき寝泊まりをしていたというケースもあり、空き家は犯罪の温床になりかねません。
とくに家具や家電といった家財道具がある場合は標的になりやすく、家のなかを荒らされてしまう可能性もあります。
また人間だけでなく、野良犬や野良猫といった動物の住処となるリスクもあり、そうなっては空き家の資産価値も減少してしまうでしょう。
このように空き家を放置すると、治安の悪化だけでなく、衛生面の悪化や物件自体の価値を下げるリスクも生じるのです。
<放火の恐れ>
人の目につきにくい空き家は、放火されるリスクも高まります。
庭木やゴミなど燃えやすいものがたくさんある場合、火災が起こるとあっという間に火が燃え広がり、近隣の家を巻き込んでしまうかもしれません。
誰でも簡単に侵入できる空き家や、ゴミが散乱している空き家は、より放火のリスクが高いといえます。
<景観の悪化>
適切な管理や修繕がおこなわれていない空き家は、雑草が伸びたり外壁に落書きをされたりと、その土地の景観悪化を招きます。
そのような空き家によって、周辺の家の資産価値も下がってしまうのです。
今にも倒れそうな空き家が隣にあったら、その家を買おうとは思わないですよね。
▼空き家の放置リスクを改善する特別措置法とは?
空き家を放置すると周辺住民に多くのリスクを負わせてしまいます。
そのような状況を改善させるため、2015年に「空き家対策特別措置法」というものが施行されました。
空き家対策特別措置法とは、倒壊などのリスクがある空き家の所有者に対し、空き家の状況を改善するよう命令できる制度です。
「特定空き家等」に指定された場合が対象で、指導や助言を受けた場合は速やかに今の状況を改善しなければなりません。
指導後も改善が見られない場合は勧告がおこなわれ、行政代執行で解体(費用は所有者負担)できることになっています。
また勧告後は住宅用地特例措置を受けられず、固定資産税の負担が大きくなる(最大で6倍)ので注意してください。
住宅用地特例とは、住居用の建物が建っている土地に対する特例措置で、固定資産税が軽減される制度です。
この特例が定められた背景には、適切な管理や修繕がおこなわれず、放置される空き家が増えたことが挙げられるでしょう。
▼空き家を放置するリスクを下げるためには?
倒壊などのリスクを持つ空き家を放置し、特定空き家等に認定されると所有者の意思に関係なく解体されたり、固定資産税が増額されたりさまざまなデメリットが生じます。
では空き家を放置せず、リスクを負わないためにはどうすればよいのでしょうか?
空き家を放置しないようにするための手段として、以下のことを実践してみてください。
<定期的な掃除や換気をおこなう>
先述した通り、木造住宅は換気や通風、掃除がおこなわれないとどんどん劣化してしまいます。
建物の寿命を縮めてしまうのが湿気なので、湿気がこもらないよう心がけましょう。
空き家についたら、玄関やドアなどの開口部をすべて開け、クローゼットや押し入れの扉も開放してください。
こうすることで風の通り道ができ、空気を効率よく循環できます。
納戸や天袋といった湿気がこもりやすい場所は、サーキュレーターや扇風機を使って風を送るとよいでしょう。
除湿剤を置いておくのもおすすめです。
<雑草の処理や庭木の手入れ>
景観悪化のリスクを防ぐために、庭木の手入れや雑草の処理もおこないます。
雑草は駆る、抜くなどの処置をしないとどんどん伸びてしまいますし、庭木も剪定をしないとどんどん成長するでしょう。
手入れのされていない庭は、蛾などを大量発生させるリスクがあるため、適切に対処する必要があるのです。
<郵便受けやポストも処理する>
郵便受けやポストに郵便物がたまっていませんか?
郵便物がたまったポストは、空き家で人がいないことを表すため、必ず空にしておきましょう。
ダイレクトメールの停止なども必要に応じておこないます。
<管理者を決めるのもリスク回避の1つ>
空き家の近くに頼れる身内や知人がいれば、ある程度の管理をお願いするのも1つの方法です。
郵便受けのチェックや庭の状態を見てもらい、状態に応じて処理をすれば侵入者や放火などのリスク軽減につながります。
もし頼れる身内がいない場合は、管理会社への委託も検討してみてください。
管理費としてコストはかかりますが、定期的に換気や掃除をおこなってくれるので、建物の劣化をおさえられるでしょう。
<売却も視野に入れる>
管理や修繕がどうしてもできない場合は、売却も視野に入れてみてください。
建物の価値はゼロかもしれませんが、立地の良い土地なら売却利益が出る可能性もあります。
▼まとめ
空き家を所有している方に向けて、空き家を放置することで生じる問題をテーマに、空き家特別措置法や放置しないようにするための手段をご紹介しました。
放置されている空き家は年々増加し、今後も増え続けていくと思われます。