空き家売却で損をしないために知っておくべき譲渡所得税の計算方法

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空き家売却で損をしないために知っておくべき譲渡所得税の計算方法

誰も住むことがなくなり、ほかに活用する予定がない空き家は、そのまま所有しておくよりも売却したいところでしょう。
空き家を売却して利益が出た場合、売主には譲渡所得税が発生します。
譲渡所得とは、一般的に、土地や建物などの資産を譲渡することによって生ずる所得のことです。
空き家売却でも、通常の家の売却と同じように、譲渡所得に応じて課された税金を納めなくてはいけません。
そこで今回は、空き家売却の際に発生する譲渡所得税の計算方法と控除の特例について解説します。

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空き家の売却後に納める譲渡所得税の計算方法

空き家を売却して利益が発生した場合は、売主は確定申告をして譲渡所得税を納める必要があります。
そのため空き家の売却を検討している方は、譲渡所得税がいくらぐらいかかるのか、あらかじめ知っておきたいところでしょう。
譲渡所得税を計算するには、まずは「譲渡所得」を計算する必要があります。
譲渡所得の計算方法は、以下のとおりです。

譲渡所得=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除
譲渡価額とは、空き家を売却したときに受け取る売却代金のことです。
取得費は、売り出した空き家を購入したときにかかった購入費用のことです。
ちなみに、購入後にリフォームをおこなった場合はその費用も含まれます。
また、建物の場合、取得費から減価償却費を差し引きます。
減価償却費は会計処理における必要経費の1つで、建物の場合は築年数によって減少した価値を差し引きます。
事業用ではない空き家の減価償却費の計算方法は、以下のとおりです。

減価償却費=空き家の購入費×0.9×償却率×築年数
償却率は、建物の構造によって下記のように異なります。

●木造:0.031%
●木造モルタル:0.034%
●軽量鉄骨造(骨格材の肉厚が3㎜以下): 0.036%
●軽量鉄骨造(骨格材の肉厚が3㎜超4㎜以下):0.025%
●鉄筋コンクリート造:0.015%


築年数については、6か月以上の端数は1年としてカウントされ、6か月未満の端数は切り捨てとなります。
譲渡費用は空き家を売り出すときにかかった費用で、たとえば印紙税や不動産会社に支払った仲介手数料などが含まれます。
この取得費と譲渡費用を足した金額を譲渡価額(売却代金)から差し引きます。
そこからさらに一定の要件を満たす場合は特別控除額も差し引き、算出された金額がプラスであれば譲渡所得となります。
そして譲渡所得に規定の税率をかけた金額が、譲渡所得税として売主に課されます。

空き家売却後に納める譲渡所得税の税率とは?

前章では、譲渡所得の計算方法をご紹介しましたが、譲渡所得税の税率についても気になるところでしょう。
また、空き家を売却した際の、譲渡所得税には、復興特別所得税や住民税も含まれます。
それぞれの税率は、以下のとおりです。

譲渡所得税

不動産の売却における譲渡所得税の税率は、売却した物件の所有年数によって以下のように税率が異なります。

●長期譲渡所得(所有年数5年超):15%
●短期譲渡所得(所有年数5年以下):30%


なお、所有年数は売却した年の1月1日時点で5年を超えるかどうかで判断します。
たとえば、平成26年2月1日に物件を取得し、平成31年3月1日に売却した場合ではどのようになるのでしょうか。
平成31年1月1日時点では所有期間が5年を超えないため、短期譲渡所得となります。
また、所有期間とは、土地や建物を取得した日から引き続き所有していた期間です。
そのため、相続や生前贈与により空き家を取得した場合は、原則として被相続人や贈与者の取得した日から所有期間を数えます。
相続が発生した日や贈与者から空き家を譲り受けた日から所有期間を数えるわけではないので、ご注意ください。

復興特別所得税

平成25年から令和19年までは、復興特別所得税も含まれ、前述の譲渡所得税の税率に2.1%をかけた税率となります。
復興特別所得税とは、平成23年3月11日に発生した東日本大震災からの復興のために国民に課される税金です。
譲渡所得税に復興特別所得税2.1%をかけると、以下の税率になります。

●15%(長期譲渡所得税)×2.1%=0.315%
●30%(短期譲渡所得税)×2.1%=0.63%


上記の税率に譲渡所得税を足すと、税率は以下のようになります。

●15%(長期譲渡所得税)+0.315%=15.315%
●30%(短期譲渡所得税)+0.63%=30.63%


令和19年までは、上記税率が譲渡所得に課されます。

住民税

空き家を売却した際の譲渡所得税には住民税も含まれます。
住民税も、所得税と同じように売却した物件の所有年数によって税率が異なります。

●長期譲渡所得:5%
●短期譲渡所得:9%


所得税や住民税といった譲渡所得税は売却した年の翌年に確定申告をおこない、確定申告の期間中に納税します。
住民税については、確定申告した年の5月以降に市区町村から納付書が4回に分けて届きます。
自治体によっては住民税を一括して支払うこともできますよ。
所得税と住民税の支払い時期は異なるため、納税を忘れないように気を付けましょう。

空き家売却後に納める譲渡所得税の特別控除とは?

譲渡所得税は、一定の要件に当てはまる場合に特別控除の特例によって、税額を軽減することができます。
空き家を売却した際の特別控除の特例は以下の2つです。

空き家にかかる譲渡所得の3,000万円特別控除

相続または遺贈により取得した空き家を令和5年12月31日までの間に売却した場合、譲渡所得の金額から最大3,000万円を特別控除することができます。
たとえば、譲渡所得が3,000万円以下だった場合、3,000万円の特別控除の特例を受けることで譲渡所得が0円となり、結果的に非課税となります。
3,000万円の特別控除の適用要件は、以下のとおりです。

●相続したときから売却まで空き家のままである
●売却のときにおいて耐震基準に適合している
●昭和56年5月31日以前に建築
●区分所有建物(1棟の建物の一部)ではない
●相続開始直前に被相続人以外に居住者がいない


また、空き家を取り壊した後に敷地を売却した場合の適用要件は、以下のとおりです。

●相続したときから取り壊したときまで空き家のままである
●敷地が相続時から売却時まで事業、貸付または居住の用に供されていない
●取り壊しのときから売却のときまで空き地のままである


また、特例を受けるためには、空き家の売却を相続開始日から3年を経過する日以後の12月31日までにしなければなりません。
そして、空き家にかかる譲渡所得の3,000万円特別控除の特例が受けられるのは、売却価格が1億円以下の場合のみです。

軽減税率の特例

空き家の所有期間が10年を超えていて、かつ一定の要件を満たす場合は、3,000万円の特別控除の特例と併用で、軽減税率の特例も受けることができます。
軽減税率の特例が適用されると、長期譲渡所得の15%よりも低い税率となります。
軽減税率の特例の税率は、譲渡所得が6,000万円以下の場合は、所得税が10%、住民税が4%となります。
譲渡所得が6,000万円以上となる場合は、6,000万円を超える部分については、所得税が15%、住民税が5%と通常の長期譲渡所得の税率と変わらない税率になります。
軽減税率の特例についても、住まなくなってから3年以内の空き家であることが条件のため、空き家の売却を迷っている方は、早めに決断することをおすすめします。

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まとめ

今回は、空き家売却の際に発生する譲渡所得税の計算方法と控除の特例について解説しました。
所得税の税率は、所有期間が5年以内の短期譲渡所得の場合は30%、5年を超える長期譲渡所得の場合は15%となります。
そして、令和19年までは復興特別所得税として上記税率に2.1%が加算されます。
住民税もかかるため、申告漏れのないようにお気をつけください。
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