今年はあちこちで地震が発生していますね。
6月の大阪北部地震や9月の北海道胆振東部地震は、ニュースでも大きく報道されました。
こうした自然災害が起きると、人間の力の小ささを実感するとともに、改めて防災について考える人も多いと思います。
しかし、自分が今住んでいる家の防災は考える人が多いですが、空き家の防災について考える人はどのくらいいるのでしょうか?
今回は、空き家と地震について考えてみたいと思います。
地震が空き家にもたらす問題
ほとんどの空き家は、誰も適切に管理をせず荒れ放題となっています。
そのため、基礎や柱・壁・天井など家屋を支える重要な構造の強度が弱まり、強い揺れが発生すると倒壊してしまう危険性が高いんです!
家屋が倒壊するということは、近隣に住む人たちに被害を与えてしまう可能性もあるということです。
最悪の場合は、近隣の人の命を危険にさらしてしまうかもしれません。
もちろん、被害は人だけに限らず近隣の家や車など、大切な資産に及んでしまうことだって考えられます。
そうなると、地震で空き家が倒壊したとしても所有者が適切な管理を行っていれば被害を食い止めることができたはずだと、損害賠償を求められることもあるでしょう。
また、幸い近隣に人的被害や物理的被害を出さなかったとしても、地震で空き家が倒壊してしまうと別の問題も発生します。
それは、復興作業の妨げになってしまうことです。
大きな地震が発生し古い家屋が倒壊もしくは倒壊寸前の状態にあると、行政は復興作業を進めるためにがれきの撤去を行います。
ただし、撤去できるのは壊れた家屋の所有者が分かっていて、かつ所有者から了承を得た物件のみです。
所有者不明の空き家は、いくら危険度が高くても所有者本人から許可を得られない以上、行政も勝手に取り除くことができません。
実際、2016年に起きた熊本地震では倒壊の恐れが高い空き家でも、所有者不明のため撤去することができず、近隣の人たちが不安に思っていたケースもあったそうです。
いつまでも片づけてもらえず、次にまた大きな揺れが来たら二次災害が起きるかもしれない…もしあなたがそんな空き家の近くに住む人だったら、不安を抱えたまま過ごすのは嫌ですよね。
このように、いつ崩れてもおかしくないような空き家を放置すると、近隣の人たちにも大きな迷惑と不安を与えてしまうのです!
空き家と地震 旧耐震基準で建てられた物件は要注意
ところで、建物を建てる時は耐震基準を満たすことが義務付けられていますが、現在の基準は1981年6月1日より施行された新耐震基準と呼ばれています。
一方、もう一つの基準としてよく比較されるのが1981年5月31日まで施行されていた旧耐震基準で、両者には以下のような違いがあります。
新耐震基準:震度5程度の揺れでは建物がほとんど被害を受けないこと、震度6~7程度の揺れでも倒壊しないこと
旧耐震基準:震度5程度の揺れで倒壊しないこと、震度6~7程度の揺れに関しての決まりはなし
こうして比べてみると、新耐震基準より旧耐震基準の方が地震に弱いことが分かります。
実際、熊本地震や1995年の阪神淡路大震災では、倒壊した家屋の多くが旧耐震基準に沿って建てられたものだったとのデータもあります。
国土交通省 熊本地震における建築物被害の原因 分析を行う委員会
そして2015年に国土交通省が発表した内容によると、2013年時点で日本にある空き家のうち、実に7割近くが旧耐震基準の時に建てられたものだと分かりました。
つまり、それだけ大きな地震が起きた時に倒壊する危険性が高い空き家が多いということなんです!
空き家が地震で倒壊する危険性を低くするための対策
ここまでの話で、大きな地震が起きた時に空き家がもたらす危険についてお分かりいただけたかと思います。
では、その危険性を少しでも低くするには、どういったポイントがあるのでしょうか。
ポイント① 空き家管理を依頼する
一番の方法は、やはり適切な管理を行うことです。
家は人が住んでいないと傷むスピードがとても早く、その分構造も弱くなりやすいです。
毎日とまではいかなくても、1~2週間に1回や月に1回など、定期的に訪れて管理を行いましょう。
自分で管理をするのが難しければ、空き家管理を代行してくれるプロに任せることもおすすめですよ。
ポイント② 耐震診断を受ける・耐震補強工事を行う
適切な管理に加えて、プロに耐震診断をしてもらうことも重要です。
診断の結果、修繕や補強が必要な箇所があれば早めに工事を行いましょう。
近年は耐震診断の需要が高まっているため、対応してくれる不動産会社を探しやすいでしょう。
また、自治体によっては耐震補強工事に関する補助を行っているところもあるので、工事を行う前に必ず行政支援情報も確認してください。
まとめ
地震は、いつ・どこで・どんなタイミングで発生するか分かりませんし、その時に予想外の被害を出してから後悔しても遅すぎます。
「あの時きちんと対策をしていれば…」と悔やむことがないように、早めにできることを行いましょう。
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