これまで全国空き家管理ナビでは、空き家問題の深刻さや、それに対する国の法整備などをご紹介してきました。
そんな空き家の活用法として多い例が、賃貸物件として貸し出すことです。
空き家の賃貸活用にはメリットがある一方で、空き家を賃貸にして家賃収入を得られることを安易に考えてしまうと、失敗してしまうケースもあります。
空き家を賃貸物件として活用する場合、どんな方が成功するのか、もしくは失敗してしまうのでしょうか。
今回の記事ではこれらの疑問にお答えすべく、空き家の賃貸活用のメリット・デメリット、また、空き家の賃貸活用で成功する方、失敗する方はそれぞれどのような方であるかについてご紹介していきます。
空き家の賃貸活用のメリット・デメリット
空き家を賃貸物件とするということは、すなわち物件の大家としてその入居者を募集することになります。
不動産仲介業者に入居者の募集とその管理を依頼することが一般的です。
賃貸物件として入居者を募るということは、その物件に住めることが条件となります。
ですので、老朽化が進んでいる場合などは、改修・改築をおこない、ライフラインが使える状態にしておく必要があります。
また、火災保険への加入も必要になるでしょう。
空き家の賃貸活用をお考えなのであれば、これらのことを踏まえた上で、まずは、空き家の賃貸活用のメリット・デメリットについて知っておきましょう。
空き家の賃貸活用のメリット
それでは、空き家の賃貸活用のメリットについて見ていきましょう。
家賃収入が得られる
賃貸経営のメリットには、まず家賃収入を獲得できることが挙げられます。
空き家の立地が賃貸物件としてのニーズが多いエリアであれば、空室リスクも小さく、長期にわたり、安定した家賃収入を期待できます。
空き家の状態によっては初期費用があまりかからない
空き家を活用する方法としては、建物を解体して、駐車場やコインランドリーを整備・経営するなどの土地活用をおこなうことも可能です。
ただし、これらの活用方法では、建物を解体したり、新たな設備を導入したりするための初期費用がかさんでしまいます。
これに対し、空き家を賃貸物件として活用する場合では、空き家の老朽化がそれほど進んでいないのであれば、修繕費用もそれほどかからずに活用できる可能性があります。
特定空き家となるのを回避できる
また、空き家を賃貸物件として活用すれば、その物件が特定空き家とされてしまう事態を回避することができます。
特定空き家とは、空家対策特別措置法が定めるもので、管理が行き届いておらず、周辺地域に悪影響を及ぼす可能性のある空き家のことです。
自治体により特定空き家とされてしまえば、税金の軽減措置が受けられなくなったり、罰金が科されたりといった不利益をこうむることになります。
さらに、税金の軽減措置は住宅用地に対して適用されるため、家屋を解体して土地活用に回すよりは、家屋を住居として活用したほうが節税対策として効果的です。
空き家の賃貸活用のデメリット
次に、空き家の賃貸活用のデメリットについても見ていきましょう。
空室リスクがある
空き家を賃貸として経営する上で、もっとも注意しておきたいのが空室リスクについてです。
入居者を獲得できなければ、家賃収入を得ることはできませんが、初期費用の捻出をローンなどでまかなった場合には、その返済をしていかなくてはなりません。
そのような事態を回避するためにも、空き家の立地に賃貸需要があるかをきちんと把握した上で、計画を進めていく必要があります。
空き家の状態によっては、修繕費用がかさむ
空き家の築年数が古く、老朽化が進んでいれば、入居者を獲得するためにかなりの額の修繕費用が必要となる場合があります。
さらに、賃貸物件を経営していくにあたり、メンテナンス費用は定期的にかかりますので、そのことを念頭に置いたうえでの決断が必要です。
空き家の賃貸で成功する方は『きちんと見極めている方』
空き家の賃貸活用のメリット・デメリットについてご解説してきましたが、ここからは空き家の賃貸経営で成功するケース、失敗するケースについて見ていきましょう。
空き家を賃貸として貸し出す場合、成功する方の特徴で多いケースは、『きちんと見極めていること』です。
たとえば、所有する空き家のあるエリアでは、どの程度賃貸物件の需要が高いのかどうかと考えることがとても重要です。
やはり需要が高い地域の方が少しでも高い入居率を見込めますし、その分安定した家賃収入を得やすくなりますね。
そして、見極めるポイントは賃貸の需要度だけでなく、入居希望者の審査も対象となります。
一般の賃貸物件の入居審査と同様に、入居希望者の収入や人柄をよく見て、「この方なら物件を貸しても大丈夫だろう」と思える方に貸し出すことが大切です。
空き家賃貸で失敗してしまう方の特徴は?
先ほどは、空き家賃貸で成功する方の特徴を挙げましたが、反対に失敗してしまう方の特徴もご紹介します。
まずは、そのエリアでの賃貸需要度や入居希望者の人柄を『きちんと見極められなかった方』です。
賃貸需要度が低いエリアにアパートやマンションを建てても、安定した家賃収入の見込みは低いですよね。
また、他の入居者の方とトラブルになりやすい方が住んでいると、ご近所の方も気持ち良く暮らすことができず、空室が増える可能性があります。
他にも、『空き家を解体してアパートにしたものの、思うように家賃収入が見込めず、ローンの支払いに苦労している』という事例もあります。
空き家を賃貸にされる方のなかには、不動産相続をした実家の相続税対策として、家を取り壊してアパートやマンションを建てる方もいらっしゃいます。
しかし、家賃収入分から物件建築時に借り入れたローンを返済する予定の場合、満室でない時もきちんと返済することができるか否かまで考えなくてはいけません。
どれだけ賃貸需要度が高いエリアでも、永遠に満室とは限りませんよね。
また、いずれ建物が古くなって家賃を値下げすることになった時、収入が減っても無理なくローン返済ができるかどうか、そこまでじっくり考えましょう。
プロに管理を任せる方法も有効
空き家を賃貸物件として活用する場合、ネックとなりやすいポイントが建物や入居者から寄せられる要望などの管理・対応です。
オーナーさんは、賃貸物件に住む方が必要最低限の暮らしを送ることができるように、適切な管理をおこなうことが法律で義務付けられています。(民法606条第1項)
一例を挙げると、経年劣化による建物の修繕や設備の修理・交換、家賃支払い状況の確認、入居者同士のトラブル解決などの管理は、オーナーさんの義務なのです。
しかし、なかには簡単に解決できないこともあり、そうした負担がネックとなって、空き家を賃貸として活用することを躊躇ってしまうケースも少なくありません。
そうした不安を取り除くためには、賃貸管理をおこなっている不動産会社へ委託する方法がおすすめです。
不動産のことを熟知したプロが、オーナーさんに代わって賃貸管理をおこなうため、安心してお任せすることができますよ。
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