空き家への注目の法改正「管理不全空き家」とは?

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空き家に関する注目のニュースが入ってきました。
本メディアで言及することの多い、空き家特措法の改正です。

この法改正により、空き家を所有している場合の税負担などが大きく変わる可能性があります。

01空き家所有者への固定資産税軽減措置も変わる?

2015年に施行された空き家対策特措法は、行政による助言・指導を以ってしても治安面および衛生面で悪影響があると認められる空き家に対して、行政代執行という強制力を持たせ話題になりました。

200件を超える行政代執行(略式代執行を含む)が行われても、空き家問題は根本的な解決を見せていません。
それは、空き家を所有することで固定資産税と都市計画税が軽減されるという税制優遇が、行政代執行のリスクを掲げられても、まだ不動産の所有者にとってとても有難いものだからです。


ここで減免措置を簡単に振り返ります。
所有している土地に上物を設置していると、土地に対する固定資産税が1/6、都市計画税が1/3に軽減されます。
その上物に人が住んでおらず、空き家状態となっていても関係ありません。

空き家対策特措法は空き屋のなかで治安的・衛生的に問題のある空き家を「特定空き家」として認定し、自治体による助言や指導の対象としました。
つまり、特措法で特定空き家とされた暁には「税金減免を目的に空き家を所有していても意味ないですよ」という自治体からのメッセージといえます。

特定空き家と認定されると、固定資産税と都市計画税の軽減措置の対象外とされ、所有者としては空き家を所有しておくメリットが無くなります。
また、万が一行政代執行された際には解体費用は所有者持ちとされ、合わせたネックとなっていました。

そこで今回の法改正です。
行政としては、認定空き家からの減免では空き家急増による世の中の悪影響を抑えられないという認識を持っていることが読み取れます。


参考:空き家対策特別措置法の施行状況。行政代執行はなぜ増えない?
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02管理不全空き家は特定空き家になりそうな上物

2023年6月7日の参議院による決議で空き家対策特措法の改正案が可決・成立しました。

改正法では放置すれば特定空き家になるおそれがある物件をあらたに管理不全空き家として指定し、状況が改善されない場合に固定資産税等が減額措置となります。
これまでの空き家特措法と今回の改正案、文言を見ても類似した印象を持ちますが、何が変わったのでしょうか。

大きなポイントは、スピード感です。

特定空き家と何が変わったのか

これまで固定資産税の減免措置の対象外とするのは、原則特定空き家の指定が必須状況でした。
今回の法改正では、特定空き家に指定されるまでのタイムラグのあいだに、先行して固定資産税の減免対象外とすることが示唆されています。

1度特定空き家への指定可能性が指摘されると、すぐに減免の措置が開始されるイメージでしょうか。
明らかに両者のスピード感は異なりますし、これが既存の空き家特措法として物足りないとされる部分なのでしょう。
ならば改正法施行後、積極的に法執行がなされる可能性もあります。

新聞報道によると、改正案が交付から半年以内に施行される予定とのこと。
とはいえ私権である空き家の解体に対し、行政がここまで「詰めて」いいのでしょうか。
身体を壊して病院に入院した所有者が行政と連絡がとれないうちに、税金減免を取り消されるという流れは本当に問題がないのでしょうか。

現在のところ少し行き過ぎた行政権のようにも捉えられますので、法律施行後にどのような対策が必要なのかを考えていきます。
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03管理できていない空き家は早急に対処を

まず言えることは、管理出来ていない空き家は早急に対処を要することになるでしょう。
特定空き家→税金減免と二段階のプロセスを踏んでいたこれまでに対し、今後は管理不全空き屋指定&税金減免と同時並行で進む可能性があります。

「行政がそこまで強い方法を取るだろうか」という懸念もありますが、既に空き屋対策特措法が稼働していた点、及び空き家が自治体にとって大きな課題である点を考えると、ある程度強権性を持った方法で来る可能性は十分にあります。

たとえば自宅(現居住地)の近くに空き家がある場合は、市役所などの執行機関に問い合わせることも可能だと思いますが、親が住んでいた実家を引き継いだ場合などは定期的に訪問することも難しいケースがあるでしょう。
その場合は早急に解体を検討するか、自宅近くの場合と同様に行政機関に相談しておくことで、突然の指定を回避できる可能性があります。

また固定資産税は1月1日の所有者に対して課せられますので、減免の対象外となった場合は早急に行政とのコンタクトを開始するべきです。
なぜ管理不全となってしまっているのかを理解して貰うことで、軽減措置を復活して貰うようなケースが増えてくるかもしれません。


今後、改正法が施行される2023年末まで、多くの情報が出てくるでしょう。
今回の管理不全空き家にてもっとも気になるのは温度感です。
行政権の強さ、管理不全空き屋の指定頻度、固定資産税の減免取消しまでのスピードなどです。

最新の情報や動向をキャッチアップし、自身の財産を守るよう行動していきましょう。


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