空き家問題の現状、47都道府県それぞれの実情とは

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空き家問題は日本全体の問題です。
ですがその状況は、地方や都道府県によって大きく異なります。

空室率でいえば確かに地方が深刻です。
一方、空き家の数では都会の方が多くなっています。

今回は国土交通省がまとめた調査からみえてくる、47都道府県の空き家の実情を探っていきます。

01住宅・土地統計調査とは

国土交通省は平成31年4月に「平成30年住宅・土地統計調査」を公表しました。
この調査は住宅や土地利用に関する統計調査です。

木造、鉄筋コンクリート造といった構造、マンションと戸建住宅の数、階層といった基本的な統計が掲載されています。
その中で空き家に関係するのは空き家の総数や空き家率です。

この調査で47都道府県の住宅や空き家の実情がわかります。
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02住宅・土地統計調査からみる空き家の状況

この調査は5年ごとに行われています。
40年近いデータの蓄積があることから、日本の住宅事情を読み解くことが可能です。

この間に日本は高度経済成長期からバブル期、不景気の時代と目まぐるしく変動しています。

そんな調査の一端から日本の空き家の状況をみてみましょう。



住宅総数は増加傾向


まず住宅総数からみていきましょう。
住宅総数は平成30年10月1日現在で6,242万戸と、平成25年と比べて179万戸の増加となっています。

日本は人口減少が続いている国。
人口は減っているのに、住宅総数が増えるのはおかしな現象です。

これは核家族化や一人暮らしが増えたことが影響しています。
住宅が増え続けることは空き家が増える原因のひとつです。


空き家総数は増加傾向だが


平成30年時点での全国の空き家総数は846万戸。
これは統計を取り始めて以来、過去最高です。

平成25年からの5年間で26万戸増加しました。
日本全体の空き家率も13.6%とこちらも過去最高。
ただし空き家数は増えているものの、その増加率は鈍化しています。

平成25年時点の空き家率は13.5%。5年間で0.1%の増加に過ぎません。


甲信、四国地方で高い空き家率

全国で空き家率が高いのはどこなのか調査からピックアップしました。


順位 都道府県名 平成30年 平成25年
1 山梨県 21.3%(▲0.7%) 22.0%
2 和歌山県 20.3%(+2.2%) 18.1%
3 長野県 19.5%(▲0.3%) 19.8%
4 徳島県 19.4%(+1.9%) 17.5%
5(同率) 高知県 18.9%(+1.1%) 17.8%
5(同率) 鹿児島県 18.9%(+1.9%) 17.0%


47都道府県でもっとも空き家率が高いのは山梨県
続いて和歌山県長野県となっています。

奇しくも甲信地方が上位となりました。
次いで徳島県高知県が入っています。

実は四国四県はワースト10の中にすべての県が入ってしまいました。
人口も少なく、三大都市圏のような人口の多い地方から離れている県が上位にランクインしています。


47都道府県で空き家率が低いのは?

反対に空き家率の低い都道府県はどこかみてみましょう。


順位 都道府県名 平成30年 平成25年
1(同率) 埼玉県 10.2%(▲0.7%) 10.9%
1(同率) 沖縄県 10.2%(▲0.2%) 10.4%
3 東京都 10.6%(▲0.5%) 11.1%
4 神奈川県 10.7%(▲0.5%) 11.2%
5 愛知県 11.2%(▲0.9%) 12.3%


上位には都市部の都府県が入っています。
元々人口の多い地域のため、住宅への需要も強いことが考えられます。

このラインナップの中で沖縄県だけが異質です。
沖縄県は近年移住の人気が高いこともあり、住宅需要が強いため空き家率が低いと考えられます。

空き家率の低い都府県は人口が増加しているエリアであることが多く、この顔ぶれは納得のいくものです。


一部では空き家率の低下も

全国的にみると空き家率はわずかながらも上昇傾向です。
ただ、都市部をはじめ一部の地方でも空き家率が低下している都道府県もあります。

空き家率でワースト1だった山梨県でも空き家率は改善しています。
これは空き家対策の効果もひとつの要因です。

このほかには住宅の長寿命化も考えられます。
住宅の寿命が延び、ひとつの住宅に住み続けるようになり、空き家になるケースが減ったことも推測されます。


空き家数では都市部が突出

ここまで空き家率を中心にみてきました。
次は空き家の数を確認してみましょう。

空き家率とは異なる手法でアプローチします。
次は空き家の総数が多い都道府県です。


順位 都道府県名 空き家総数
1 東京都 80.9万戸
2 大阪府 70.9万戸
3 神奈川県 48.3万戸
4 愛知県 39.1万戸
5 千葉県 38.1万戸


都市部が上位を占めました。
そもそもこれらの都府県は住宅数が多いため、ある意味順当な結果です。

ところがこの空き家総数の内訳をみると別の側面が浮かび上がってきます。
これら都市部の空き家の多くは、賃貸用のアパートなどが占めているのです。

すでに老朽化したアパートや需要の少ない場所に建てられた賃貸物件などが該当します。

空き家というと使われなくなった古い家、というイメージもありますが、都市部ではそのイメージが当てはまらないことあるのです。
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03都道府県の取り組み

空き家対策では市民の目に触れるような、空き家バンク、特定空家の指定といった取り組みは主に市町村が担当しています。

都道府県の役割は県内の空き家の調査、啓発パンフレットの作成といったバックアップ業務がメインです。
空き家対策の協議会や各団体への情報提供も行なっています。

直接的ではないものの、都道府県も空き家対策に取り組んでいるのです。
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04まとめ

平成30年の調査からすでに5年近くが経過しました。
このままいけば令和5年には最新の調査が行われます。

今回の調査は、空家対策特別措置法が本格的に稼働し始めた後の調査です。

5年間の空き家対策でどのような効果があったのか、あるいはなかったのか、その調査と結果公表が待たれます。



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