空き家問題のための法律 ~空家等対策特別措置法を中心に解説します~

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空き家問題が深刻化する中、空家等対策特別措置法が平成26年に成立しました。
この空き家問題、民間の問題ではあるものの、国が本腰を入れないと解決しません。

また、この法律の改正案が令和5年3月に閣議決定されました。
令和5年度中にも施行される可能性があります。

ここでは、空家等対策特別措置法を中心に解説し、それ以外の法律にも言及し、日本の空き家対策を法制度からみていきます。

01空家等対策特別措置法とは

空き家問題への対策として制定されたのが「空家等対策の推進に関する特別措置法」。
通称、空家等対策特別措置法です。
文字通り、空き家対策の切り札とされています。

特定空家制度や固定資産の減免解除が話題となっていますが、この他にも多くの制度が定められています。

空家等対策特別措置法がどんな法律なのか、ここでしっかり勉強しましょう。



法律の概要

空家等対策特別措置法の主な内容は次のとおりです。

①空き家の実態調査
②空き家の所有者へ適切な管理の指導
③空き家の跡地についての活用促進
④適切に管理されていない空き家を「特定空家」に指定することができる
⑤特定空家に対して、助言・指導・勧告・命令ができる
⑥特定空家に対して罰金や行政代執行を行うことができる

特定空家や行政代執行がクローズアップされているものの、それは法律の機能のごく一部です。
空き家やその跡地の利用促進なども含まれています。

空き家の中には方法次第で活用できる建物もあるものです。
また、実態調査や所有者への適切な指導も内容に含まれています。



特定空家とは

特定空家とは、そのまま放置すると倒壊などの危険が高い建物のこと。
特定空家に対しては自治体が助言や勧告、命令を発することができます。

このうち、勧告を受けると固定資産税が1/6になる減免措置を受けることができなくなります。
特定空家に指定されると経済的にも厳しくなるのです。

特定空家を放置すると、行政代執行によって自治体が取り壊し、その費用を所有者に請求することが行なわれます。
ただし行政代執行はなかなか行われず、行われるとニュースになるのが現状です。



令和5年閣議決定の内容とは

制定から10年近くが経過し、現行法では対処できないことや新たな問題も浮上してきました。
このため改正が予定されています。

令和5年3月に発表された閣議決定の主な内容は以下のとおりです。

①管理不全空家の新設
②管理不全空家は固定資産税の減免解除
③特定空家の除却などの円滑化

固定資産税の減免解除対象が拡大することや、特定空家の除却を円滑にすることが予定されています。
特に特定空家の除去が難しいことはニュースや新聞でも報道されていました。

これまでの運用での課題を解消することが今回の改正の目的と考えられます。
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02空き家対策に関するその他の法令

空き家対策には空家等対策特別措置法が中心になって対応しています。
ですが単独の法律だけでなく、他の法律でも空き家に対する規定を置いている場合もあります。

ここでは、空家等対策特別措置法以外の法律についてみていきましょう。



都市計画法・建築基準法

都市計画法や建築基準法は不動産行政の根幹をなす法律です。
直接的に空き家に関する規定はないものの、空き家の処分や建て替えには関わってきます。

具体的には古い空き家ではその場所に再建築ができない「再建築不可物件」や道路から後退する「セットバック」などです。

空き家の処分を検討する場合には、これらの法律も確認しておきましょう。



消防法・道路法

消防法や道路法では倒壊の危険性がある家屋の所有者に対して除去などの命令を出すことができます。

これまで空き家に対してこれらの命令が発せられることは多くありませんでした。
空き家問題の進展に伴って消防法や道路法に基づく除去命令が出されることも予想されます。



地方税法(固定資産税・都市計画税)

土地上に住宅があると固定資産税が1/6、都市計画税が1/3となるのは周知の事実。
これが空き家問題を助長しているとの批判もあります。

ただ、住宅を持つ多くの人がこれらの特例の恩恵を受けているのも現状です。
特定空家に指定されるとこうした恩恵がなくなるため、今後の対応が注目されます。



空き家税(京都市条例)

これは法律ではなく、市の制度として制定された事例です。

京都市では空き家に対して家屋評価額の0.7%の税が課せられます。
2026年から導入される見込みです。

京都市は10万戸を超える空き家があります。
空き家税は全国で初の事例です。
市独自の空き家税が今後の空き家対策の試金石となることが考えられます。
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03まとめ

国も空き家問題は国全体の問題として取り組んでいます。
空家等対策特別措置法が制定されて10年近く。
制度だけつくってもそれを適切に運用できなければ、問題は解決しません。

約10年間の運用で課題もみえてきました。
課題や懸案事項に対応するために改正も控えています。

これからの空き家対策の根幹をなす、空家等対策特別措置法を中心とした法整備にも注意していきましょう。


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