「日本は空き家問題が深刻だ」とニュースや新聞でさかんに喧伝されています。
ただ、その根本的な問題となるとなかなか論じられていません。
空き家問題は日本全体の問題ではあります。
ただ、これだとあまりに大きすぎて実感できません。
ここでは、空き家所有者の問題と、空き家があることによる社会的な問題にわけて、空き家問題がなぜ大きな問題なのかご紹介します。
01空き家を所有することによる所有者の問題
空き家問題は突然当事者になることがあります。相続などで空き家の所有者になることがあるからです。
このため、日本では多くの人が空き家問題にかかわる可能性があります。
今日は関係のない問題でも、明日には自分が空き家問題の当事者になっているかもしれません。
空き家の所有者になるとどのような問題が発生するのかみていきましょう。
管理の問題
空き家も建物である以上、管理をしていく必要があります。本来建物は適切に管理することが必要です。
建物は管理をしないとすぐに劣化してしまいます。
水回りなどはある程度使用していないと、すぐに使えなくなるものです。
庭があれば草取りの必要もあります。
この管理も手間がかかりますし、遠方だとそもそも管理ができないこともあります。
固定資産税の問題
税金の問題も空き家問題とは切っても切れません。固定資産税は空き家であって課税されます。
税額は場所によってまちまちですが、利用していない空き家の税金を支払うのは財布にも痛いものです。
固定資産税は空き家を取り壊すと土地分の固定資産税が6倍になってしまいます。
このため簡単には取り壊すこともできません。
固定資産税は納税が負担であると同時に、空き家を取り壊す際の障壁にもなっています。
処分の問題
空き家を処分するにしても大変です。場所によってはすぐに売却できる場合もあるでしょう。
問題は郊外、過疎地域といった場所です。
不動産の需要がないエリアでは簡単には売却できません。
物件によっては何年もかかったり、最悪の場合売却できなかったりします。
その間も維持の手間や維持費はかかります。
ただでさえ時間のかかる不動産の売却。
人気のない空き家ではさらに時間と手間がかかるのです。
相続の問題
空き家が放置されてしまう理由のひとつに相続があります。相続人間でトラブルが発生した、物件が遠方であるといったことが原因です。
こうして空き家の管理ができない、または管理をしたくないといった問題が発生します。
処分しようにも相続人間の意思統一ができずに結局放置されてしまうこともあります。
相続を機に空き家が発生することがあるのです。
02空き家があることによる社会的な問題
空き家を所有すると維持や売却に手間がかかることがわかりました。ただ、当事者でなければあまり関係ないのでは、とも考えがちです。
ところが話は単純ではありません。
自分の住んでいる地域に空き家があるだけでさまざまな問題が発生するのです。
ここでは、地域に空き家があることによる問題を考えていきます。
倒壊による事故の可能性
空き家の中には、今にも倒れてしまいそうな老朽化した建物もあります。日本は地震が多い国。
大きな地震が来たら、こうした老朽化した建物は倒壊する危険性もあります。
地震がなくても朽廃した建物は危ないものです。
管理できていない空き家では、建物の倒壊が事故を伴うこともあります。
害虫や害獣が住みつく問題
害虫や害獣の問題も無視できません。居住中の住宅でもシロアリなどの害虫やコウモリ、ハクビシンなどの害獣に悩まされることがあります。
いったん害虫や害獣に住みつかれると人が住んでいる住宅でも駆除するのはなかなか大変です。
空き家であれば気づかないうちに住処にされていることも考えられます。
害虫や害獣はその家だけの問題ではありません。
隣家やその周辺の住宅にも被害が拡大するおそれがあります。
犯罪の温床になる問題
空き家はどうしても管理が行き届かないこともあります。人の目が届きにくい空き家には不心得者が侵入することも。
たとえ戸締りをしっかりしていたとしても、侵入目的でやってきた侵入者を完全にシャットアウトできません。
侵入されてしまうとその空き家が犯罪の温床となる可能性もあります。
放火などのおそれも高まるのです。
地域の過疎化の問題
空き家の多い地域が発展することはありません。実際に空き家の多い地域は過疎化が進んでいます。
土地を探している人からみても、空き家の多い地域に新居を構えようとは思わないでしょう。
空き家が放置されているのは地域の損失であり、過疎化を促進する要因でもあるのです。
03まとめ
空き家問題という大きな問題には、さまざまな根本的な問題があることがわかりました。現在日本では法律や制度を整備して空き家を増やさない、あるいは空き家を活用できるように仕組みづくりを始めています。
ただ、これらの制度が機能したとしても一朝一夕で空き家問題がクリアになるわけではありません。
相応の時間がかかるでしょう。
ここしばらくは空き家と上手につきあっていく必要があります。
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