空き家対策となる税金の仕組みを知ろう!固定資産税が6倍にならないための空き家対策も解説

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空き家に関係する税金の代表例は、固定資産税譲渡所得税です。

最近は管理の行き届かない特定空き家が問題となっており、固定資産税が約6倍となる可能性があります。
大きな税負担を避けるには、特定空き家とならないような対策が必要です。

本記事では、固定資産税と譲渡所得税について解説します。
特定空き家とならないための対策も解説するので参考にしてください。

01空き家にかかる税金

空き家の所有や売却にかかる税金には、次の2つがあります。

固定資産税(都市計画税)
譲渡所得税


どちらも空き家対策を考えるうえでは、欠かせない税金なのでしっかり理解しておきましょう。



固定資産税(都市計画税)

固定資産税は、土地や家屋などに課税される税金です。
それぞれに課税される税率は、課税標準額の原則1.4%です。

ただし、1.4%は標準税率と呼ばれるものなので、自治体によって異なる場合があります。

都市計画税は、都市計画区域内の土地と家屋に課税される税金で、税率は0.3%が多いです。
0.3%は制限税率と呼ばれるもので、自治体によっては税率がこれより低い場合があります。

都市計画税は固定資産税と一緒に課税されます。

なお、住宅が建っている宅地には「住宅用地の特例」があり、一定の条件を満たせば税負担が軽減されます。



譲渡所得税

土地や家屋に対する譲渡所得税とは、個人の所得税の1つで不動産を売却した利益に対して課税されます。

譲渡所得税の税率は、土地や家屋の所有期間が課税される年の1月1日現在で5年を超えるかどうかで異なります。


譲渡所得税の計算式は次のとおりです。
1.短期譲渡所得の税率(土地や家屋を売却した年の1月1日時点で5年以下)
所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%=39.63%

2.長期譲渡所得の税率(土地や家屋を売却した年の1月1日時点で5年超)
所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%=20.315%


例えば、平成30年(2018年)6月に購入した土地や家屋を令和5年(2023年)7月に売却した場合は、売却した年(2023年)の1月1日時点で見ると5年以下なので短期譲渡所得です。
長期譲渡所得に該当するかどうかで税負担は大きく異なります。
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02固定資産税と都市計画税の特例

固定資産税は都市計画区域内であれば、都市計画税とセットで課税されます。

それぞれの通常の税率は前述したように、固定資産税1.4%+都市計画税0.3%=1.7%です。

土地のうえに居住用の住宅が建っていれば、住宅用地の特例を受けられる場合があります。
この住宅用地の特例は、建っている建物が空き家でも適用されるのが特徴です。


住宅用地の特例の内容は次のとおりです。
区分 面積 固定資産税
(標準税率1.4%)
都市計画税
(制限税率0.3%)
小規模用宅地 200平方メートル以下 評価額×1/6 評価額×1/3
一般住宅地 200平方メートル以下超 評価額×1/3 評価額×2/3
更地  -  特例なし 特例なし


例えば、固定資産評価額が1千200万円の住宅が建っている宅地を180平方メートル所有している場合は、次の計算式のとおりとなります。


固定資産税

1千200万円×特例率1/6×税率1.4%=28千円


都市計画税

1千200万円×特例率1/3×税率0.3%=12千円

【合計】
28千円+12千円=4万円

特例措置のおかげで、税負担が大幅に抑えられているのが分かります。
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03相続空き家の3,000万円特別控除

空き家を売却する際に、3,000万円の特別控除を受けられる場合があります。
税法で定める相続した居住用財産(空き家)を売ったときの特例では、相続または遺贈により取得した住居や土地を令和9年(2027年)3月31日までに売却すると、一定の要件をクリアすれば譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除できるのです。

参考:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁

例えば、売却益が3,000万円以下であれば、譲渡所得税がかからなくなります。
課税されなければ、所有期間で譲渡所得が短期か長期かを考える必要はありません。

もし、譲渡益が3,000万円を超える場合でも特別控除を適用すると、負担は大幅に減るので売却しやすくなります。

譲渡所得には約20%の所得税と住民税が課税されるので、特別控除が無い状態で3000万円の譲渡益があれば、3000万円×約20%=約600万円分 の税金を払う必要があります。
特別控除があれば、納税額は発生しません。
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04固定資産税が約6倍になる特定空き家とは

空き家対策特別措置法で特定空き家に認定されると、住宅用地の特例が受けられなくなります。
これは、全国で管理の行き届かない空き家が社会問題となったために設けられたという背景があります。


法律で定める特定空き家と認定される条件は次のとおりです。

・そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
・著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

(引用:空家等対策の推進に関する特別措置法第2条第2項)

特定空き家に認定されると、固定資産税や都市計画税を軽減する住宅用地の特例を受けられないので、税負担が大きくなってしまう点に留意が必要です。

参考:年々増え続ける空き家! 空き家にしないためのポイントは? | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン
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05特定空き家と認定されないために

特定空き家と認定されると、固定資産税が約6倍・都市計画税が約3倍に膨らむ可能性があります。

大幅な税負担を避けるには、大きく次のような方法が考えられるでしょう。

・特定空き家と認定されないように空き家を管理する
・空き家を売却して、課税される不動産をなくす
・空き家を賃貸して、収入を得る


相続などで取得した家屋を特定空き家と認定されないように、空き家の管理と運用の方法を検討していくことが大切です。


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