空き家対策の課題とこれから

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2014(平成26)年に制定された空き家対策特措法は、家屋所有者へのお願いをベースとしたそれまでの空き家対策に風穴を空けるものでした。

特に行政権限による行政代執行の可能性があるという事実だけでも、それまでの行政の依頼を無視・放置してきた所有者が「動き出す」のに十分な後押しとなりました。

とはいえ、空き家の状況は対策を上回るペースで悪化しています。
空き家対策の課題と、これからを分析します。

01現在の空き家数は実質1000万戸を突破?

日本における空き家数を把握するのに使われていた統計が、総務省統計局の「平成30年住宅・土地統計調査」です。
最新の平成30年統計における日本の空き家は約848万9000戸と算出され、次回調査(当初は2年後と発表)ではついに1000万戸を超えるのではと専門家業界で注目されていました。

ところが平成30年以来、統計発表は行われていません。
コロナ禍の本格化により在宅化が進み空き家が減少したとも、そもそも1カ月誰も居住していない空き家という定義が曖昧で統計調査自体にストップがかかったともいわれています。
賃貸用途として貸し出している物件の空室は空き家にカウントするのか、別荘用のセカンドハウスは空き家なのかという議論がありました。

そのような背景もあり、今後調査が再開されるかは不透明です。
特措法による警告効果が一定の効果を上げたなか、大前提として空き家の数をセンセーショナルに喧伝しても意味がないといった意見もあります。

令和になり5年経過した現在、空き家の数は実質1000万戸を超えているとも、コロナ禍によって抑制されているともいわれます。
社会がコロナ禍から復帰傾向にあるいま、あらためて空き家対策の課題は何でしょうか。
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02空き家対策の課題は外観重視から理由調査への転換

最大の課題は、外観重視で空き家と定義されることです。
現在の空き家対策特措法は外観調査における空き家という認定があり、その物件が治安・衛生的に問題あるとされる場合、特定空き家と認定されます。

特定空き家になると国や自治体からの調査や勧告を経て、建物(上物)を建てる大きなメリットである固定資産税と都市計画税の軽減措置の対象外となります。
それでも所有者が何も措置をしない場合、衛生的な影響などを鑑みたうえで行政代執行し、建物を解体します。
解体費は所有者へ請求されることから、特定空き家の指定は所有者にとって、早急に対策を練らなければならないという強い抑止力を持つものです。

この強制措置はとても効果の高いものですが、そもそも前提のフォローが不足していないかという指摘が強いのも事実です。
また、特定空き家とはいえ、もともとは国や自治体が加入できない私的資産でもあります。


なぜ空き家なのかのフォローが必要ではないか

空き家で管理が追い付いていないから解体するのではなく、なぜ空き家なのかを早い段階で共有しないと、単純な行政権の見せしめにしかならないのではないかという意見もあります。

空き家になるのは主に、以下の理由があります。

ほかに居住用住宅がある

自宅を建てたけれど会社から異動辞令が出たケースや、別荘として夏休みなど特定のあいだ使っている場合は、空き家となります。
定期的に来宅し清掃できていればいいのですが、昨今のコロナによる遠方への外出自粛などで定期訪問が難しくなりました。
そのなかで空き家として行政に認定されるケースも増えているようです。


相続の問題で空き家となっている

もうひとつの大きな理由が相続です。
親が亡くなったとき、不動産が相続資産にあれば承継の対象となります。
あらかじめ兄弟間で不動産を分割する例も多いのですが、専門家の視点ではこの分割承継は相続トラブルの温床になるという指摘が根強いです。

複数の兄弟で分けた不動産は、改修や売却の折に意見がまとまらないことがあります。
意見が相違した結果、双方棚ざらしになった状態で不動産が放置され、空き家になってしまう可能性があります。
法定相続人(不動産を承継する権利のある相続人)が2人や3人の場合ならばいいですが、築年数を重ねた建物のなかには相続人が10人を超え、それぞれが不動産の所有権限を持っているケースもあります。

このような理由があることを放置し、いざ空き家になってから何か対処をするよう勧告し、特定空き家や行政代執行を示唆するのはとても乱暴です。
空き家にならないための相談窓口を整備し、5年前や10年前から相談できるようにしておくのが理想です。

もちろん行政のリソース不足の問題もありますが、基本的に行政代執行は所有権という私権の侵害にあたります。
治安や衛生の悪化をお題目としていますが、濫用されないことが空き家対策のこれからを考えるうえで、最も重要な部分といえます。

空き家は人口減少に悩む今後の日本にとって、引き続き優先度の高い課題となるでしょう。
空き家対策特措法をベースとしながらも、行政権の濫用とならないフォローを構築して欲しいものです。
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03まとめ

空き家をお持ちの方は、こらからの対策や課題点をまず明確にし、実行に移すことが大切です。
まずは何からすべきか、どうすべきかを把握、理解することからはじめてみてはいかがでしょうか。


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