地方に空き家を所有している方は、人口減少による過疎化が心配でしょう。
しかし、リモートワークが普及した近年は、あえて過疎地に移住する方も増えています。
今回は、移住者が急増している過疎地の事例や空き家が多いのに住宅不足になる理由、空き家問題の解決につながる各地の移住者支援制度についてご紹介します。
地方での空き家の活用にお悩みの方は、ぜひ参考にご覧ください。
空き家が不足している?移住者急増の過疎地とは
パソコンとネット環境さえあればどこでも仕事ができるようになった現代では、過疎地と呼ばれる地域へ移住する若者が増えています。
実際に、2015年と2020年の国勢調査の結果を比べると、過疎指定を受けた全国の自治体の半数近くで、20代後半~30代の若者世代の増加が見られます。
なかには、移住者が増えすぎて空き家が不足している地域もあるのです。
移住者が急増した三重県松阪市の事例
三重県のほぼ中央に位置する松阪市は、南西部は台高山脈などの雄大な山地が連なり、北東部には伊勢平野が広がる自然豊かな環境です。
近年は、その松阪市の山あいの過疎地に移住者が急増し、空き家が不足している状態になっています。
移住者が急増した背景は、コロナ禍で在宅勤務者が増えたことと空き家バンクの制度にあります。
在宅勤務であれば都会の喧騒から離れて自然豊かな環境で子育てができ、地方特有の広々とした一戸建てに住めることから移住者が増加しました。
また、自治体が運営する空き家バンクの制度により、移住者と空き家所有者がマッチングしやすくなった点も移住者の増加を後押ししています。
しかし、この地域には空き家は多いものの、片づけやリフォームに時間がかかることから、移住者への提供が追いつかず、空き家が不足している現状にあるのです。
関連記事:地方移住で空き家を探すなら?空き家バンクを利用しよう!
なぜ過疎地に移住者が増えている?
2021年6月~8月に内閣府がおこなった調査によると、都市住民の26.6%が農山漁村地域へ移住願望が「ある」または「どちらかというとある」と回答しています。
年齢別の割合を見ると、18~29歳で37.3%、50~59歳で34.5%と若い世代や50代を中心に移住願望が高まっていることがわかります。
その背景には「田園回帰」という、気候や自然に恵まれたところで暮らしたい欲求が高まっていることが考えられるでしょう。
そのため、現在地方に空き家を所有している方は、移住者を呼び込むことで空き家を活用できるチャンスがあります。
空き家が多いのに住宅不足?その理由とは
地方への移住者が増えているのであれば、増加する空き家問題も解決するように思えますよね。
しかし、実際は移住希望者も空き家も多いのにうまくマッチングができず、住宅不足が起きている地域もあります。
その理由は、以下の3つです。
①放置された空き家が多い
せっかく移住希望者が増えているのに、放置されている空き家が多いことから住宅不足が起きている地域があります。
たとえば静岡県熱海市では、52%を超える空き家率にも関わらず、住める状態にある物件が少ない現状にあります。
それは、古くて設備が十分でない築古物件が多いことや放置されたままで市場に出回る空き家が少ないからです。
天然温泉が豊富で高台からは相模湾を眺めることもできる熱海市は移住先として人気が高いため、放置された空き家が多いのは大きな損失でしょう。
②空き家活用には費用がかかる
空き家が放置される背景には、経済的な問題もあります。
空き家の管理には手間と費用がかかるため、相続放棄や所有者が不明のまま放置されるケースが多いです。
いざ空き家を活用しようと思っても、解体や修繕に高額な費用がかかるとなると、ためらう方も多いでしょう。
そこで、自治体によっては、空き家の解体費や修繕費を補助する制度もあります。
空き家は放置すると行政から「特定空家」に指定され、固定資産税の軽減措置が受けられなくなるなどのペナルティを受ける恐れがあります。
そのため、現在空き家を所有している方は、特定空家に指定されないようにご注意ください。
関連記事:知っているとお得にリフォームできる!?空き家のための補助金制度
③自治体の人手不足
総務省が公表した「空き家対策に関する実態調査」によると、自治体の人手不足により空き家対策にまで十分に手が回らない現状も挙げられます。
空き家は年々増加しているにも関わらず、少子高齢化で働き手は減っているため、空き家対策が追いついていないといえるでしょう。
実際に、同調査によると空き家対策にさける人数は1人~3人程度の自治体もあると報告されています。
移住者と空き家をマッチングさせて空き家問題と住宅不足を解決するには、行政だけでなく民間事業者や地域住民も力を合わせる必要があるでしょう。
空き家と移住者をつなげて住宅不足を解消!各地の支援制度
空き家と移住者をマッチングさせて住宅不足を解決するには、どんな制度があるのでしょうか。
最後に各地の移住者支援制度をご紹介します。
群馬県桐生市の移住支援制度
群馬県桐生市では、首都圏から桐生市への移住者に一時的な経済負担を軽減するための補助金「桐生市移住支援補助金」をおこなっています。
補助金の額は、2人以上の世帯の場合は100万円、単身の場合は60万円です。
また、市の人口減少の抑制や移住・定住を促進することと空き家を活用した地域の活性化のために「きりゅう暮らし応援事業」もおこなっています。
きりゅう暮らし応援事業では、長年使用していない空き家を除去するための「空き家除却助成」や、空き家に住む・借りる・貸すためのリフォーム工事を補助する「空き家利活用助成」もありますよ。
和歌山県有田市の移住支援制度
和歌山県有田市では、市内の空き家・空き地の有効活用と定住促進を図るために、空き家の購入費および改修費などの一部を補助する制度があります。
たとえば2022年度の募集を見てみると、空き家購入については補助率が1/2で上限が50万円、空き家改修については補助率が2/3で上限が80万円です。
なお、40歳未満の世帯主または義務教育終了前の子を扶養している世帯については上記の上限額が100万円に上がります。
対象者の条件には、市外に住んでいて空き家・空き地バンクに利用登録した「移住者」であることや補助金交付後の10年間は有田市に定住する意思があることなどがあります。
ただし、上記は2022年度の募集内容のため、2023年の内容については、市のホームページでご確認ください。
沖縄県石垣市の移住支援制度
沖縄県石垣市では、空き家を改修工事した場合に改修費用の一部を最大50万円まで補助する制度をおこなっています。
補助制度を利用する条件は、石垣市空き家バンクに登録した物件であることや補助金交付年度から3年間は移住促進のために活用することです。
このほかにも、北海道や鹿児島県、愛媛県などの地方自治体でも移住者や空き家所有者に向けてさまざまな移住支援制度を実施しています。
地方に空き家を所有している方は、ぜひお住まいの自治体で支援制度がないか確認してみてください。
この記事も読まれています|東京でも増えている空き家バンクの取り組み内容を知っていますか?
まとめ
近年は、若い世代を中心に過疎地への移住希望者が増えています。
しかし、放置された空き家が多いことや自治体の人手不足などの理由により、移住者と空き家のマッチングが上手くいかず、住宅不足になっている地域もあります。
それに対し各自治体では移住者に向けた支援制度も実施しているため、地方に空き家を所有している方はぜひこの記事を参考に空き家の活用をご検討ください。
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