近年、不動産業界でもよく耳にするようになった「NFT」ですが、空き家の利活用にもNFTが利用されていることをご存じですか?
そもそもNFTが何か、どのような仕組みかご存じない方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、NFTの仕組みや空き家で利活用されている事例、将来性や課題について解説いたします。
ぜひ、参考までにご覧ください。
NFTで空き家の利活用!NFTとは?
デジタルアートやオンラインゲームの業界で盛り上がりを見せたNFT。
不動産業界においても、さまざまな企業がNFTを用いたシステム開発の実証実験をおこなっています。
ところで、よく耳にする機会はあってもNFTがどのようなものなのかご存じない方もいらっしゃるでしょう。
NFTとは、簡単に言うとデジタル上に記録される代替不可能なデータの単位のことです。
Non-Fungible Token(ノンファンジブル・トークン)の頭文字を取ってNFTと呼び、日本語では非代替性トークンとも呼ばれます。
トークンとは、ポイントなどの代用貨幣や食事券などの引き換え券のような意味合いがあります。
ポイントや食事券は、お金と同じようにサービスが利用できたり商品を購入したりすることができる価値を持ちますよね。
トークンもポイントや食事券などと同様に、仮想通貨などのデジタル上の資産に対して価値を付けることができる電子証明書となります。
そしてNFT(非代替性トークン)は、交換することができないトークンで、デジタル上の資産に唯一無二の価値を付けることができます。
そのため、NFTはデジタルアートやオンラインゲームのアイテムなど、さまざまな分野で活用されているのです。
ちなみに、NFTはブロックチェーンという技術を用いてデジタル上の台帳に記録されます。
関連記事:不動産業界でも注目のブロックチェーンとは?空き家問題の解決にもつながる!
では、NFTは不動産業界や空き家にどう関わってくるのでしょうか。
ポイントは以下の3つです。
●不動産所有権のトークン化
●不動産投資の小口化
●不動産情報の透明化
不動産所有権の権利証明がトークン化されれば、簡単にインターネット上で不動産売買ができるようになります。
実際に、2021年にはウクライナのキエフでNFTを介してアパートが販売され、世界各国から注目を集めました。
また、不動産投資用の物件もNFT化して販売することで、小口でも投資ができるようになります。
さらにNFTを用いて取引することで、オンライン上に取引履歴や不動産情報が記録され、誰でも簡単に不動産情報にアクセスができるようになります。
このようにNFTによって簡単にかつ安全に不動産取引ができるようになると、空き家の取引も活発になるでしょう。
NFTで空き家の利活用!取り組み事例とは?
では実際に、NFTを用いてどのように空き家を利活用できるのか気になりますよね。
日本でNFTを用いて空き家を利活用している取り組み事例を2つご紹介します。
神楽坂のNFTシェアハウス
最初にご紹介する事例は、東京都新宿区神楽坂にあるシェアハウス物件「Roopt 神楽坂 DAO」です。
こちらは、空き家をリノベーションしたシェアハウスでコワーキングスペースも併設されています。
このシェアハウスでは、NFTを240個あらかじめ発行し「シェアハウスに住む権利」と「ワーケーションできる権利」を販売しています。
NFTの最初の価格は1個につき3万円となり、シェアハウスへの1か月の入居か、7泊8日のワーケーションかのどちらかを選択可能です。
購入したNFTは転売することもでき、価格もNFT市場の市況によって変動する可能性があります。
つまり購入者は、シェアハウスの利用ができるほか購入したNFTを売れば転売利益を得られる可能性があるのです。
このように、NFTの仕組みを利用してこれまでとはまったく違ったシェアハウスを運営し、空き家を利活用する試みは素晴らしいですね。
スマートフォンで不動産を保有・売買
続いてご紹介する事例は、スマートフォンで不動産NFTを保有・売買できる「ANGO」というサービスです。
「ANGO」では、デジタル上にある不動産をNFT化して販売しており、スマートフォン1つで簡単に売買や保有ができます。
デジタル上にある物件はメタバースと呼ばれる3D空間に存在し、インターネット上で好きにデジタルアートを飾ったり、NFTを購入したオーナーだけが参加できるコミュニティ上の仲間と交流したりすることができます。
そして「ANGO」の面白い点は、デジタル上にある物件が現実にある物件にも連動している点です。
「ANGO」で販売しているデジタル物件のNFTを持つオーナーは、デジタル物件のデザインを再現した現実の物件に宿泊することや民泊運営をすることができます。
運営会社は、このようにNFTでデジタル物件とリアル物件を連動させることで、空き家の利活用を促進する試みをおこなっています。
オンラインゲームが世界中で人気の今、デジタル上に不動産を作り、現実にある空き家と連動させることで取引や利活用が促進すれば、地域活性化にも貢献できますね。
NFTで空き家問題を解決?将来性と課題とは?
NFTの仕組みや取り組み事例がわかったところで、今後空き家問題にどのような影響を与えるかも気になるところでしょう。
最後にNFTの将来性と課題を解説いたします。
空き家問題を解決に導く?NFTの将来性
不動産をNFT化すると、前章でもご紹介した通り、不動産取引がインターネット上で簡単かつスピーディーにできるようになります。
そうなると、不動産取引市場は活性化し、空き家も売却しやすくなったり利活用しやすくなったりするでしょう。
そして、空き家問題の課題の1つに不動産登記の問題があります。
現在の不動産登記の手続きは一般の方にはむずかしく、とくに何世代にもわたって相続登記がされていない空き家は手続きが複雑化し、放置の原因となっています。
その点、NFT化によって不動産登記も簡単にデジタル上に記録できるようになれば、空き家の不動産登記も促進され、所有者不明問題が解決できるかもしれません。
また、NFTを記録するブロックチェーンという技術は改ざんが不可能であるため、権利証の偽造や改ざんなどの詐欺被害が減る可能性もあります。
そのほか、空き家所有者は、空き家を担保にNFTをいくつか作成・販売することで、資金調達ができるようになる可能性もあります。
このように、NFTには空き家問題を解決できる可能性や将来性があるでしょう。
これからのNFTの課題とは?
NFTは2014年にできた比較的新しい技術・概念のため、まだまだ課題もたくさんあります。
たとえば、NFTの技術を不動産登記に反映させるためには法整備が必要となり、時間がかかるでしょう。
また、国内のNFTの取引市場はまだまだ少ないため、取引市場の開発と新たな商取引ルールの制定も必要となります。
そして、国内のNFTの認知度もまだまだ低いため、流通量が少ないという課題もあります。
今後NFTが広まって、空き家の利活用を促進することを期待したいですね。
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まとめ
今回は、NFTの仕組みや空き家で利活用されている事例、将来性や課題について解説いたしました。
NFTとは、デジタル上に記録される代替不可能なデータの単位のことです。
交換することができないデジタル通貨のようなもので、デジタル上の資産に唯一無二の価値を付けることができます。
まだまだ認知度が低く流通量の少ないNFTですが、将来的にはさまざまな場面で利用されることでしょう。
ぜひ、この記事を参考に空き家の利活用をご検討ください。
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