空き家の処分方法として一般的な選択肢の一つに売却がありますが、空き家を売却する際には様々な準備が必要となります。
空き家を売却するにあたって考えなくてはならないことの一つに、空き家に残された家電や家具といった「残置物」をどうするか、という点があります。
残置物を撤去・処分する際には、ご自身でおこなうにしても、業者に依頼するにしても、手間や費用がかかるため、あらかじめどのようにするか決めておくと、売却活動をスムーズに進めることができます。
そこで今回の記事では、残置物がある状態で空き家の売却をする場合のメリット・デメリットや、残置物を撤去・処分する際の手順や費用についてご解説いたします。
残置物がある空き家は売却可能?
はじめに、残置物を残したままでの空き家の売却について、ご解説していきましょう。
残置物のある空き家は売却できるのか
そもそも、残置物を残したままでの空き家の売却は可能なのか、という点についてですが、法的には、中古物件を売却する際に残置物が残っていても問題ありません。
そのため、以下の条件を満たせば、空き家は残置物を残した状態で売却することが可能です。
●空き家の名義が売り主になっている
相続などで手に入れた空き家を売却する際には、登記手続きによる名義変更を経て、その空き家が売り主の名義となっていなくてはなりません。
兄弟や親戚との共有名義の場合は、売り主の「共有持分」については売り主の意思で売却可能ですが、空き家の売却には共有者全員の同意を得る必要があります。
●買い手がいる
すでに述べたとおり、残置物がある状態でも物件を売却することは認められています。
しかし、残置物のある空き家を売りに出すことはできても、買い手が付かなければ、売却することはできません。
このため、残置物がある状態でもよいから、その空き家を購入したい、という買い手が見つかることも、条件の一つとなります。
買い手に譲渡しやすい残置物
残置物とは前の居住者が物件に残していったもの全般を指すため、家具や家電だけでなく、布団や衣類、食器といった家財道具やその他の日用品などが含まれます。
不用品の処分には手間や費用がかかるため、中古物件の取引では売却前に残置物を全て処分することが一般的なマナーです。
ただし、売却価格が極端に安い場合には、残置物はそのままにして引き渡すケースもあります。
また、比較的新しい大型家具や家電などは、購入、運搬などの費用や手間が省けるため、残置物の中でも買い手に歓迎されやすい傾向にあります。
買い手に歓迎されやすい残置物としては、以下のようなものがあります。
●大型家具
タンスや食器棚など大型の家具は、新たに購入すると価格が高いこと、また搬入に手間がかかることもあり、残置物の中でも比較的買い手から歓迎されやすい傾向にあります。
購入から5年以内のもので、綺麗な状態であるならば、買い手の方が引き取ってくれる可能性があります。
ただし、あまりに年季が入っているものや、汚れが目立つ場合には、返って印象を悪くしてしまうため、処分したほうが買い手が見つかりやすくなります。
●家電
また、エアコンや照明などの家電は、新たに設置する際に手間や費用がかかります。
エアコンを例にとってみますと、空き家の購入者が空き家に引っ越すとき、今まで使っていたエアコンを持ち込むか、新しいエアコンを購入することになります。
この際の費用相場はいずれの場合でも5万円程度となりますが、空き家にすでにエアコンが設置されていた場合には、買い手側の費用負担がゼロとなります。
このように、設置に手間や費用がかかる家電は、残置物として空き家に残しておいても、引き取ってもらえる可能性が高くなります。
空き家の売却前に残置物を処分しておくメリット・デメリットとは?
ここまでで、残置物を残したまま空き家を売却することが、法的には可能である点、また、一部の残置物は買い手に歓迎されるケースもある点についてご理解いただけたかと思います。
一方で、不用品の処分には手間や費用がかかるため、空き家売却の際には、売り主側が残置物を全て処分してから売却することが一般的です。
そこで、ここからは、空き家の売却にあたって、売り主が売却前に残置物を処分するメリットやデメリットについて見ていきましょう。
空き家の残置物を処分するメリット
残置物がある状態で空き家を売却すると、不要な残置物は買い手が処分することになります。
すでに述べたとおり、不用品の処分には手間や費用がかかり、これらの負担を買い手側が負うことになってしまうわけです。
このため、基本的には、残置物がある物件よりは、残置物が処分されている物件のほうが、買い手が付きやすい傾向にあります。
買い手が付きやすいということは、空き家を早く、より高い価格で売却しやすいということになります。
このように、売り主があらかじめ空き家の残置物を処分しておけば、空き家を売却しやすくなるというメリットが得られます。
空き家の残置物を処分するデメリット
一方、空き家の売り主が残置物を処分する場合には、処分費用は売り主側の負担となります。
このため、売り主が残置物を処分する場合のデメリットは、処分費用がかかるという点です。
ただし、実際には処分費用の総額や残置物の状態、また買い手側の意向や空き家自体の売却価格などによって、残置物を処分すべきかの判断も変わるため、一概に言えるものではありません。
たとえば、空き家の購入者に引き取ってもらえないような大型家具や家電以外は先に処分しておき、大型家具や家電については空き家の購入希望者の意向を聞く、という方法もあります。
不動産業者への相談や処分費用の見積もりなどをおこなった上で、空き家の条件や残置物の状態などにあった方法を選択するとよいでしょう。
空き家の残置物の撤去・処分の手順や費用をご紹介
最後に、空き家の残置物を撤去・処分する際の手順や費用についてもご紹介しておきましょう。
残置物を処分した上で、空き家を売却する際の手順は以下の通りです。
自分で残置物を処分
大きな家具や家電などは業者に依頼して処分する必要がありますが、ある程度ご自身で残置物を処分しておくことで、費用を抑えることができます。
ご自身で残置物を処分するには、以下の方法があります。
●リサイクルショップ
自治体や廃品回収業者に残置物の処分を依頼すると費用がかかりますが、ご自身でリサイクルショップに持ち込めば、無料で引き取ってもらう、もしくは買い取ってもらうことが可能です。
ただし、あまりにも年季が入っている場合などは、リサイクルショップで引き取ってもらうことができないものもあります。
そのような場合には、自治体や業者の廃品回収を利用することになります。
●ネットオークションやフリマサイト
現在では、ネットオークションやフリマサイトを利用するのも、残置物を処分する手段として有効です。
これらのサービスを利用すれば、時間はかかりますが、商品の価値がわかる人が閲覧する可能性があるため、より高い価格で買い取ってもらえる可能性があります。
ただし、発送に手間がかかったり、売却までに時間がかかったりといったデメリットもあります。
ご自身の状況や残置物の内容によって、リサイクルショップと使い分けるとよいでしょう。
●自治体のごみ回収
リサイクルショップやインターネット上での売買が難しいものについては、自治体によるごみ回収を利用することになります。
粗大ごみの回収料金は、自治体によって異なりますが、遺品整理などの専門業者に依頼するよりも安価に済むケースがほとんどです。
ただし、エアコンやパソコン、冷蔵庫など一部の家電製品は家電リサイクル法の定めるところにより、粗大ごみとして処分することはできません。
また、粗大ごみについては、回収場所にご自身で運ぶ必要があるため、大きさによっては回収業者などに引き取ってもらうほうが無難かもしれません。
●トランクルーム
また、処分を迷っている家財道具がある場合は、トランクルームを借りてそこに預けておくという選択肢もあります。
費用相場は、屋外型で月2,000から7,000円、屋内ですと月3,000から20,000円となっています。
残った残置物の処分を業者に依頼
残置物の処分に手間をかけたくない、もしくは、ご自身で残置物を処分したが、処分しきれないものがある、といった場合には、廃品回収や遺品整理の業者に依頼しましょう。
廃品回収業者は不用品の回収を専門としていますが、遺品整理の業者では、必要な品と不用品を分けた上で、不用品の処分、必要なものの搬出をおこない、簡易清掃まで請け負ってくれます。
費用は掛かるものの、残置物の撤去・処分にかかる手間を減らすことができます。
費用相場は残置物の量により変動しますが、大まかな目安は以下の通りとなります。
●1R:3~5万円
●1DK:5~12万円
●1LDK:7~20万円
●2DK:9~25万円
●2LDK:12~30万円
●3LDK:17~50万円
不動産業者に空き家の売却を依頼
残置物の撤去・処分が完了すれば、不動産会社に依頼して、売却活動をおこないます。
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まとめ
空き家を売却する際には、あらかじめ残置物を処分しておくことが一般的なマナーとされています。
しかし、どのような方法をとるのがベストであるかは、空き家の条件や売却価格、残置物の状態や売り主・買い手の意向によって、変わってきます。
売却したい空き家に残置物が残されている場合は、売却前に処分するか、処分するのであれば、全ての残置物を処分すべきか、また、処分の方法などについて、こちらの記事をご参考に検討されることをおすすめいたします。
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