相続税法の改正内容とは?空き家を相続する際の影響や対策について解説

カテゴリ:
税金
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

相続税法の改正内容とは?空き家を相続する際の影響や対策について解説

近年、空き家の件数は増加傾向にあります。
総務省統計局により5年に一度おこなわれている「住宅・土地統計調査」によると、2018年の空き家の件数は848万9,000戸と過去最多の件数になっています。
親が亡くなったため相続した実家が遠方にあり、そのまま空き家となってしまうというケースが増えていると考えられます。
相続すると税金を納める義務が発生し、相続した人が支払うことになります。
今回の記事では、空き家にまつわる相続税について、平成27年におこなわれた税制の改正点や、課税額について解説していきます。
空き家を相続する予定がある方は、ぜひご一読ください。

弊社へのお問い合わせはこちら

相続税法の主要な改正点

平成27年に相続税法が改正されたことにより、課税の対象や税率について変更がありました。
ここでは特に大きく改正された内容を中心に解説していきます。

相続税法の改正点①基礎控除額の引き下げ

相続税法の改正点として、まず基礎控除額の引き下げが挙げられます。
改正の内容は以下になります。

改正前の基礎控除額:5,000万円+1,000万円×法定相続人の数

改正後の基礎控除額:3,000万円+600万円×法定相続人の数
仮に法定相続人が1人の場合、改正前では遺産総額から6,000万円を差し引いた金額に課税されていたことに対し、改正後では遺産総額から3,600万円を差し引いた金額の課税に変更となっています。
基礎控除額が引き下げられたことにより、以前までは課税の対象にならなかった評価額が高くない不動産にも課税されるようになり、結果として課税対象者が増加する形となりました。
国税庁により発表されている「相続税の申告事績の概要」では改正前では約4%だった課税対象者が、改正後では約8%と約2倍に増加しています。

相続税法の改正点②小規模宅地等の特例における適用範囲の見直し

小規模宅地等の特例とは、被相続人が所有していた土地が一定の要件を満たしていた場合、最大で80%減税となる制度です。
前提として相続される土地は、

●被相続人が居住していた土地(特定居住用宅地等)
●事業をおこなっていた土地(特定事業用宅地等)
●賃貸に出していた土地(貸付事業用宅地等)


のいずれかである必要があります。
今回の改正では、適用される限度面積がそれぞれ拡大されました。
空き家となっている建物は居住用であることが多いため、上記の土地に関する条件においては、生前に被相続人が一人で居住していた場合を除いて、減税を受けることができるケースが少ないと考えられます。
しかし、特定の条件に該当した場合、空き家の相続であっても小規模宅地等の特例を受けることが可能です。
今回ご紹介した改正点以外にも、未成年者控除・障害者控除の控除額の引き上げや、一定額の相続分の取得金額相続税率の変更がおこなわれました。
次章では、税制の改正されたことで空き家の相続にどのような影響があるのか解説していきます。

相続税改正における空き家の相続への影響

前述したとおり、小規模宅地等の特例の適用範囲の見直しでは、減税を受けられる土地の限度面積の緩和がおこなわれました。
これにより、より多くの減税を受けられるようになりましたが、改正の内容には土地面積以外にも緩和がおこなわれました。
それは、被相続人が要件を満たしていることで減税を受けられるようになったことです。
減税を受けられる要件は以下になります。

●被相続人が相続の開始の直前において介護保険法等に規定する要介護認定等を受けていたこと
●被相続人が老人福祉法等に規定する特別養護老人ホームなどに入居又は入所していたこと


近年、被相続人が老人ホームに入居して相続時には空き家になっているケースが増加していることから、被相続人の状態によっては居住していたとみなされ、特例が受けられるようになりました。
ただし、上記の要件をいずれかではなく、どちらの要件も満たしていることが必要となります。
そのため、被相続人が老人ホームなどに入所していたとしても要介護認定等を受けていなければ、特例の適応外となるため注意が必要です。

空き家における相続税対策

前章でご紹介したように、空き家であっても一定の要件を満たせば、小規模宅地等の特例を受け、税負担を軽くすることができます。
しかし、しばらくのあいだ誰も住んでいなかった空き家は、相続税を節税することはできないのでしょうか。
ここからは、そのような空き家の相続税対策について相続開始前と相続開始後に分けてご紹介していきます。

空き家の相続税対策①賃貸物件として貸し出す

空き家の相続税対策として、空き家を賃貸物件として貸し出すことが挙げられます。
賃貸物件として貸し出すことで、小規模宅地等の特例の要件である「賃貸に出していた土地」に該当するため、最大で50%の減税を受けることが可能です。
ただし、減税を受けるためには、相続開始までに賃貸借契約を締結し、3年以上継続している必要があります。

空き家の相続税対策②相続前に空き家を売却

空き家を相続するのではなく、売却することで相続税を節税するといった方法があります。
売却することで、譲渡所得税といった別の税金が発生することになりますが、空き家になって3年以内の物件であれば、「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」を受けることが可能です。
もし、相続する空き家をどのように活用するのか具体的に決まっていないのであれば、売却することを検討してみるのもよいでしょう。
物件によってはなかなか買い手が見つからない場合があるため、早めの売却活動や不動産会社による買取も視野に入れることも重要です。

空き家の相続税対策③相続放棄をする

一般的には、被相続人に借金があるなど負の遺産が多い際におこなう相続放棄ですが、相続放棄をすると相続税の申告義務がなくなるため、評価額の高い不動産を相続する予定の場合には相続放棄をおこなうことで節税をすることができます。
ただし、相続放棄をした場合、空き家だけでなく預貯金やほかの相続財産など、プラスの財産も受け取ることができなくなるため、相続する予定の財産の内容をしっかり確認して判断することが大切です。
また、空き家は相続放棄したとしても、相続人に管理義務が発生します。
適切に管理をしなかった場合、空き家の近隣住民から苦情が来たり、老朽化によって空き家が崩れて損害賠償が発生するといったトラブルに発展する可能性があります。
相続税を納税する義務は発生しませんが、管理義務と天秤にかけて、どちらがご自身にとって負担が少ないかを考慮したうえで相続放棄をおこないましょう。

空き家の相続税対策の注意点

相続税を対策する際は3年以上、賃貸借契約が継続している必要があることや、空き家になってから3年以内の売却をしなければ所得税の控除が受けられないなど、時間的な制約があります。
そのため、相続税対策をおこなう際は、前もって相続すること考えたうえで計画を立てることが重要です。

こちらの記事も読まれています|空き家を放置すると税金が高くなる?特定空き家と固定資産税の関係を解説

まとめ

相続税法の改正によって基礎控除額の引き下げや一定額以上の財産にかかる税率の引き上げなど、課税対象が広がりました。
その一方で、小規模宅地の特例の適応範囲の拡大により、減税が受けられるケースも増えています。
空き家の場合でも特例を受けられる場合があるため、相続税を節税するために制度を上手く利用していきましょう。
相続税の対策には、制度の活用以外にも売却や相続放棄など選択肢があるため、事前に空き家の状態や課税遺産総額を予測しておきましょう。
全国空き家管理ナビでは、空き家管理に関するご相談を受け付けている不動産管理会社を検索できます。
今空き家管理でお困りの方は、ぜひ全国空き家管理ナビを利用して、自分に合う専門業者を探して相談しましょう!
弊社へのお問い合わせはこちらをクリック↓

弊社へのお問い合わせはこちら

空き家の相談はこちらから