空き家の3,000万円特別控除ってなに?要件が緩和されたってホント?

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税金
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空き家の3,000万円特別控除ってなに?要件が緩和されたってホント?

総務省が実施した「平成30年住宅・土地統計調査」によれば、2018年時点での国内の空き家数は約849万戸、空き家率は13.6%にも上り、依然として増加の一途をたどっています。
また、これら約849万戸の空き家のうち、賃貸や売却など特定の用途が定まっていない、いわゆるその他の住宅が約349万戸も存在することも、大きな懸念材料の一つとなっています。
このような状況を受け、国は平成27年の「空家等対策の推進に関する特別措置法」の施行をはじめ、様々な法的な対策を打ち出しています。
こうした対策の一つに、「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」の適用要件の緩和があります。
今回の記事では、この「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」について、特例の概要や控除の条件、手続き方法や必要書類などをご紹介します。

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譲渡所得の3,000万円控除と空き家特例とは?

はじめに、「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」とはなにかについて、解説しましょう。
まずは、「譲渡所得の3,000万円控除」についてご説明します。
マイホームをはじめとしたいわゆる居住用財産を売却する際に出る利益は「譲渡所得」と呼ばれ、所得税の課税対象となります。
この所得税は給与に対する所得税などと区別して「譲渡所得税」と呼ばれ、譲渡所得に税率をかけた金額が譲渡所得税額となります。
ただし、この譲渡所得については「譲渡所得の3,000万円控除」と呼ばれる特例が適用され、一定の条件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円が控除されるのです。
具体的な計算方法を見てみますと、まず、譲渡所得は以下のような計算式で導かれます。

譲渡所得=譲渡金額-取得費-譲渡費用

しかし、不動産売却時に一定の条件を満たし、3,000万円控除の対象となった場合には、譲渡所得の以下の計算式で導かれます。

譲渡所得=譲渡金額-取得費-譲渡費用-特別控除額

一方、譲渡所得税額は「譲渡所得×税率」となりますが、税率が不動産の所有期間によって変動します。
不動産を5年を超えて所有していた場合には長期譲渡所得が適用されて税率は20.315%に、5年以下の場合は短期譲渡所得が適用されて税率は39.63%となります。
これに加え、3,000万円控除の対象となる不動産の売却について、売却した年の1月1日時点でその不動産を10年を超えて所有している場合は、さらに税率が軽減され、譲渡所得が6,000万円までの部分については14.21%、それ以上の部分については20.315%の税率となります。
これが「譲渡所得の3,000万円控除」ですが、売却する不動産が「居住用財産」つまりマイホームである場合と、空き家である場合とで要件が異なり、空き家の場合には要件が厳しいと言われていました。
その理由の一つに、空き家の3,000万円特別控除の対象となるのが、被相続人が相続直前までその不動産に住んでいた場合に限られていたことが挙げられます。
空き家の相続では、被相続人が入院や老人ホームへの入居により、相続時にその不動産に居住していないケースが少なくありません。
そうした場合には3,000万円控除は適用されず、これが空き家の利活用の妨げの一つとなっていることが指摘されていました。
そのような状況を受け、令和元年の税制改正で、国は平成31年4月1日以降の譲渡に関して、被相続人が要介護認定等を受けて相続直前に老人ホームに入所したケースでも、一定の条件のもと、特例の適用対象としたのです。

空き家の譲渡所得の3,000万円控除の要件とは?

ここまでは、「譲渡所得の3,000万円控除」の概要、そして「空き家の譲渡所得の3,000万円控除」の適用条件の緩和について解説してきました。
ここからは、「空き家の譲渡所得の3,000万円控除」の条件について、具体的に見ていきましょう。
空き家の売却で「3,000万円控除」が適用されるためには、居住用財産を売却する場合に比べて多くの条件を満たしている必要があります。
その条件は大まかに分けて、不動産についての条件、被相続人が老人ホームに入居していた場合の条件、不動産の売却日に関する条件、不動産の譲渡についての条件の4種類に分類できます。
それでは、それぞれの条件の詳細について見ていきましょう。

売却する不動産について

まず、売却する空き家については、以下の条件すべてを満たしていなくてはなりません。

●相続開始の直前まで被相続人が住んでいたこと
●昭和56年5月31日以前に建てられていること
●マンションなどの区分所有建築物でないこと
●相続直前の居住者が、被相続人のみであること
●相続から譲渡までの期間に、事業・賃貸・居住などの目的で使用されていないこと


昭和56年5月31日というのは、耐震基準が現行のものへと改正された日付です。
つまり、「空き家の譲渡所得の3,000万円控除」が適用されるには、旧耐震基準で建てられた一軒家の空き家であることに加え、被相続人が一人暮らしをしていた建物である必要があるのです。
ただし、家屋が解体されている場合の要件は以下のように設定されています。

●相続以降、解体された家屋や家屋解体後の土地が、事業・賃貸・居住などの目的で使用されていないこと

被相続人が老人ホームに入居していた場合

売却する空き家に関する条件に、「相続直前まで被相続人が住んでいたこと」がありましたが、例外として、被相続人が老人ホームに入居しているケースでも以下の条件を満たせば、3,000万円控除が適用されます。

●被相続人が要介護認定を受けた上で、相続直前まで老人ホームに入所していたこと
●被相続人が老人ホームに入所した時から相続開始の直前まで、その家屋が被相続人の物品の保管などに使用されており、事業・賃貸・居住などの目的で使用されていないこと

不動産の売却日について

また、不動産の売却日についても、期限があります。
まず、3,000万円控除には適用期限があり、これが平成28年4月1日以降令和5年12月31日まで、さらに空き家の売却期限は相続日から3年経った年の12月31日までとなっています。

譲渡について

最後に、譲渡に関する条件は以下の通りです。

●1億円以下で譲渡したこと
●譲渡時に、譲渡する家屋が現在の耐震基準を満たしていること

空き家の譲渡所得の3,000万円控除を受けるために必要な手続きとは?

最後に「空き家の譲渡所得の3,000万円控除」を受ける際の手続きおよび必要書類についてもご紹介しておきましょう。
「空き家の譲渡所得の3,000万円控除」を受けるためには、空き家のある市区町村で「被相続人居住用家屋等確認書」の交付申請をおこなった上で、ご自身が居住する地域の管轄税務署で確定申告をする必要があります。
「被相続人居住用家屋等確認書」とは、被相続人や空き家が3,000万円控除の条件を満たしていたことを証明するものです。
市区町村から「被相続人居住用家屋等確認書」が発行されれば、確定申告の際に以下の書類を確定申告書に添えて提出します。

●譲渡所得の計算に関する明細書
●登記事項証明書など、家屋が要件を満たすことを確認できるもの
●被相続人居住用家屋等確認書
●売買契約書の写しなど、譲渡金額が確認できるもの
●家屋の売却の場合は、耐震基準適合証明書か建設住宅性能評価書の写し

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まとめ

今回の記事では、「空き家の譲渡所得の3,000万円控除」について解説しました。
「空き家の譲渡所得の3,000万円控除」は、適用されるための要件が多く利用するのが難しい制度だと言われてきましたが、空き家問題の深刻化を受けて令和元年より要件が緩和されています。
また、空き家は活用せずに放置しておくと、所有者にも周辺地域にも様々な弊害を引き起こす可能性があります。
空き家を相続して活用方法に困った際は、「空き家の譲渡所得の3,000万円控除」を利用しての売却をご検討されてみてはいかがでしょうか。
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