空き家を美術館として再生!空き家活用の新たな試みとは?

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 空き家を美術館として再生!空き家活用の新たな試みとは?

国が5年ごとに実施する住宅についての統計調査に「住宅・土地統計調査」があります。
その最新の調査結果によれば、2018年時点で国内の空き家数はおよそ846万戸、空き家率は13.6%と過去最高を記録しています。
一方で、日本の人口は2008年を境に減少傾向にありますので、これ以上空き家を増やさないために、その利活用を進めることが重大な課題となっています。
今回の記事では、空き家の利活用に向けた取り組みについて、空き家を美術館やギャラリーなど、アートを展示する場として活用する事例を中心にご紹介していきましょう。

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空き家の活用はどうなっている?空き家×アートの可能性

空き家の利活用に向けた取り組みについては、国や自治体による空き家対策の一環から、NPO法人や民間企業がビジネスとして取り組んでいるものまで、さまざまです。
国や自治体による取り組みとしては、空き家バンクや空き家の利活用に際して受けられる各種補助金・助成金制度、相談窓口の設置がよく知られています。
その他にも、中古住宅の購入を促進するため、耐震性や適切なリフォーム・修繕を実施した住宅についての情報を提供する「安心R住宅」制度や、空き家を利用したDIY型賃貸を普及させるためのガイドブックの作成など、様々な取り組みが実施されています。
また、NPO法人や民間企業による空き家活用ビジネスでも様々な取り組みがなされています。
そうした団体の一つ「NPO法人 空家・空地管理センター」は空き家や空き地の売却・活用についての相談を受け、必要な専門家を紹介するサービスを提供しています。
その他にも、空き家活用に向けたクラウドファンディングサービス「ハロー!Renovation」、空き家を借り上げた上でリノベーションを施し、サブリースをおこなう「カリアゲJAPAN」の取り組みなどがあります。
このように、官民挙げての空き家の利活用への取り組みが始まっていますが、その活用事例にも、移住希望者向けの賃貸・売却物件や、公共施設としての活用、民泊、カフェやギャラリーなど様々なものがあります。
その中でも、今回の記事でご紹介するのは、空き家を美術館として活用する事例です。
1990年代以降、一つの美術館内だけでなく、街全体をアート展示の場とする地域型のアートイベントが多く開催されており、日本国内のイベントとしては、瀬戸内国際芸術祭や横浜トリエンナーレなどがあります。
これらのアートイベントはアートの発表の場であるだけでなく、まちづくりの一環として地域活性化の役割も担っています。
このような流れの中で、注目を集めているのが、空き家を美術館として活用したアートの展示です。
地域盛り上げるためのアートイベントに空き家を活用することで、二重の意味で地域活性化に貢献できる取り組みと言えるでしょう。
単に空き家内に作品を展示するだけでなく、アーティストの手で空き家そのものをアート作品へと作り変えるといった、遊び心あふれる試みもおこなわれています。
それでは、ここからは、空き家を美術館として活用し、地域の活性化にもつなげていく取り組み事例についてご紹介していきましょう。

島そのものが美術館?空き家をアート作品に!家プロジェクトとは?

空き家をアート作品そのものやアートを展示する美術館のように再生しつつ、地域活性化に貢献しているプロジェクトの一つに、香川県北部、瀬戸内海に浮かぶ島々からなる直島町で実施されている「家プロジェクト」があります。
自然豊かな直島町には、杉を用い、代々受け継がれてきた伝統的な日本家屋が多く残っています。
一方で、その人口は1960年代の7800人から、半分以下にまで減少し、高齢者(65歳以上)の割合は34.4%と、全国平均の28.1%に対して高く、人口減少と少子高齢化に悩む過疎地域としての課題も抱えています。
直島町では、空き家バンクを活用した移住・定住施策など、少子高齢化や空き家問題の解決に向けた対策に取り組んでいます。
そのような背景を持つ直島で、平成元年、ベネッセホールディングスが始めたのがアートを通じた地域活性化プロジェクト「直島文化村構想」です。
直島の自然の景観を保存するために地中に建設された「地中美術館」、自然・建築・アートの共生をコンセプトとした「ベネッセ ハウスミュージアム」と並び、「直島文化村構想」の一部として開始されたのが本村地区において展開される「家プロジェクト」です。
プロジェクトの作品としては、1998年に手掛けられた「角屋」を筆頭に、「南寺」、「きんざ」、「護王神社」、「石橋」、「碁会所」、「はいしゃ」の7つがあります。
いずれも、地区内の空き家をアーティストの手により改修し、人が住んでいた当時の記憶を想起させるようなアート作品として再生させています。
たとえば、漆喰や本瓦を用いて200年前の家屋を復元した「角屋」、歯科医院兼住居として使われていた家屋に、絵画や彫刻などを盛り込んだ「はいしゃ」など、それぞれに独創的かつアートな工夫がちりばめられています。
「家プロジェクト」の鑑賞者は、島民が実際に生活する地区内を散策しながら、作品を鑑賞することとなり、作品にかつてそこで営まれていた暮らしや時間の流れを感じさせる工夫がなされているのも、このプロジェクトの特徴となっています。

空き家を美術館に!クラウドファンディングも活用「Do a Front」の試みとは?

次にご紹介するのは、空き家をアートを展示する美術館として活用し、さらにその取り組みをより多くの人に発信するために、クラウドファンディングを活用した事例です。
山口県山口市のNPO団体「Do a Front」は、後継者の減少が問題となっている伝統芸能や、空き家を地域の文化資源ととらえ、アート領域で活用する試みをおこなっています。
空き家を美術館やギャラリーとして、普段触れる機会のなかなかない現代アートを身近なものとして感じられる工夫を凝らして展示したり、ワークショップを開催したりといった活動をおこなっています。
さらに、アーティストを招聘し、滞在中の創作活動を支援するアーティストインレジデンスを通じても、地域の活性化と交流活動に貢献しています。
2014年3月に「Do a Front」が開催した美術展「エピファニー・ガーデン~空き家のあそびかた~」も、このような空き家を美術館として活用する試みの一つです。
「エピファニー・ガーデン~空き家のあそびかた~」では、参加アーティストが空き家で遊びながら「空き家という見捨てられたものに光をあてる」というテーマに沿った作品を発表しています。
コンクリートブロックの壁を、中心を残して白く塗りつぶし、コンクリートが露出した部分に額縁を添えて、絵画のように見せる作品、空き家の障子を花びら染めと呼ばれる技法を用いて、花の色に染め上げた作品など、空き家そのものをアートの一部ととらえる作品も多く発表されています。
さらに、「Do a Front」は、「エピファニー・ガーデン~空き家のあそびかた~」を空き家活用の可能性としてより多くの人に発信するため、クラウドファンディングを通じて「エピファニー・ガーデン~空き家のあそびかた~」のフォトブックを制作しました。
空き家を美術館やギャラリーのようなアート展示の場として活用し、クラウドファンディングを通じてその可能性を発信する興味深い試みです。

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まとめ

空き家を利活用するには、賃貸や民泊などの選択肢がありますが、今回はそれらの中でも近年注目を集めつつある、空き家をアートに活用する取り組みをご紹介しました。
これらの中には、空き家を美術館のようなアート展示の場として活用するものから、アート作品そのものに作り替えるものまで、ユニークな取り組みが多くあります。
ウェブ上で公開されているものも多くありますので、興味をお持ちの方はぜひ一度探してみてはいかがでしょうか。
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