シャッター通りは解決できる?商店街の空き店舗問題についてご紹介

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空き家活用
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少子高齢化や人口減少を背景とした空き家の増加が注目を集め、また、都市部でもマンションの空室問題が深刻化しつつあります。

これらは、住居としての空き家問題ですが、近年商店街の空き店舗の増加も目立つようになり、別の側面での空き家問題としてメディアなどで取り上げられています。

商店街の空き店舗はなぜ発生し、またどのように解決していけばよいのでしょうか。


今回の記事では、商店街の空き店舗問題について、その現状や問題点に触れた上で、解決策や、解決事例などもご紹介いたします。

01商店街の空き店舗問題の現状とは?買い物事情の変化や所有者側の意識が問題

はじめに、商店街の空き店舗問題の現状や問題点についてご解説していきましょう。

近年取り上げられている空き家問題の中には、戸建ての空き家やマンションの空室のような住居の空き家だけでなく、商業施設の空き家とも言える空き店舗の問題も含まれています。
特に、1980年代ごろから地方を中心に問題となっているのが、商店街における空き店舗問題、いわゆる「シャッター通り」の増加です。

経済産業省の定義によれば、商店街とは、小売り・飲食・サービス業を経営する店舗が30以上隣接しているものを指します。
また、空き店舗とは、店舗としての機能や設備をあらかじめ備えていて、リフォームをおこなうことで店舗として利用できる物件のうち、所有者が貸す意思があるにもかかわらず、借り手がついていないものを指します。

商店街の中の空き店舗が増加した背景には、移動手段の変化やテクノロジーの発展などが挙げられます。
車やインターネット・ショッピングが普及する以前、住宅地からの徒歩圏内に、食料品や日用品を扱う専門店が集まる商店街は、生活していく上で大変便利な存在であったといえます。

しかし、自家用車の普及や鉄道網の発展などにより、遠方への移動が容易になったことで、地元の駅周辺の商店街で買い物をする必要性が薄れていきました。
これに加え、郊外型のショッピングモールが多く建設され、価格などの面で競争力が弱い商店街から顧客が流出し、さらにインターネット・ショッピングの普及がこれに追い打ちをかけたのです。

中小企業庁により実施された「平成30年度商店街実態調査」では、商店街の空き店舗率は13.77%となっており、平成21年以降、10%超えが続いています。

また、前回調査からの3年間での空き店舗数の増減については、「増えた」という商店街が31.9%であるのに対し、減ったという商店街が11.4%と、空き店舗が増えた商店街が多く、シャッター通り問題が未だ進行中であることがうかがえます。

さらに、物件所有者側の都合で空き店舗が埋まらない理由のうち、店舗の老朽化40.0%に次いで多いのが、所有者に貸す意思がない39.2%となっています。

この結果は、物件所有者は複数の不動産を所有していてそれらの収入で生活できる、またすでに生活に必要な資産を所有している場合が多く、商店街にある店舗の運営が直接自らの生活を左右するものではないことを示しています。
現代における買い物事情の変化により商店街に対する需要が低下したことに加え、物件の所有者に物件を貸す意思がないケースが多いこともまた、商店街の空き店舗問題解決の大きな障害となっているのです。
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02商店街の空き店舗問題の解決策とは?税制の見直しやまちづくり事業者の育成

ここからは、商店街の空き店舗問題を解消するための解決策についてご紹介していきましょう。

すでに述べたように、空き店舗が放置される原因の一つに、店舗物件の所有者に物件を貸し出す意思がないことが挙げられます。

この要因ともなっているのが、「小規模宅地の特例」による相続税、「住宅用地の課税標準の特例」による固定資産税の優遇措置です。
住宅用地でないと受けられない優遇措置と思われますが、実は住宅兼店舗であったり、住居として使われる面積が土地の半分以上を占めていたりする場合には、店舗として活用されていても、空き店舗であっても税制上の優遇措置が受けられるのです。

東京都の場合では、さらに「小規模非住宅用地に対する固定資産税・都市計画税の減免」があり、非住宅用地が400㎡であれば、営業の有無に関係なく税制優遇を受けることができます。
こうした税制優遇の目的は土地活用や中小企業支援ですので、自治体が長期間放置されている空き店舗を優遇措置から除外することが、空き店舗問題解決の糸口であると言えるでしょう。

また、店舗物件の所有者が物件を貸し出す意思がない原因の一つとして、賃貸するにあたってのリスクが挙げられます。
そうしたリスクには、リノベーションなどにかかる初期費用や空室リスクなどがあります。

この点で解決策として考えられるのが、まちづくりを担う事業者がサブリース形態で店舗物件を借り上げるという手法です。

サブリースでは、サブリース業者が所有者から物件を借り上げ、これを借り手に又貸しします。
この仕組みでは、業者が物件の運営・管理を請け負うため、通常であれば所有者が担う賃貸運営におけるリスクを最小限に抑えることができます。

また、物件所有者がリノベーションするにあたって、まちづくりを担う事業者と連携することができる環境づくりも解決策となります。
不動産所有者や借り手の需要に応じて、限られた予算でその地域性に沿った効果的なリノベーションを施し、短期的な費用回収のヴィジョンを立てることのできる事業者の育成が重要となるでしょう。
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03商店街の空き店舗問題解決事例とは?空きビルが若者のビジネスの拠点に!魚町銀天街の事例

最後に、商店街の空き店舗問題を解決した事例として、福岡県北九州市の魚町銀天街にある「メルカート三番街」についてご紹介しましょう。

小倉魚町にある魚町銀天街は国内初のアーケード商店街として誕生し、20年ほど前までは子供連れや学生たちなどでにぎわう商店街でした。
しかし、コンビニエンスストアやチェーン展開の飲食店などが増え、個人商店が減っていくにつれ活気を失い、シャッター通り化してしまったのです。

この商店街に活気を取り戻したのが、10年にわたり空きビルとなっていて、所有者が取り壊し考えていたという築50年、木造2階建て建物のリノベーションです。
地元の建築家の方に相談し、建物の魅力を残しつつ、新たな価値を創造し、ビジネスに結び付けるという方向転換を図ったのです。

この際リスクを最小限に抑えるために重視したのが、限りのある予算でリノベーションを施し、さらに短期で費用を回収することでした。
このため施工前に入居者を決め、入居希望者が支払える家賃から合計の賃料を見積もった上で、費用の回収期間を4年としそこから工事の予算を割り出したのです。

また、入居者はユニークなビジネスを展開し、街に活気を取り戻す意欲のある若い事業者を中心としました。
こうして、リノベーションを施したメルカート三番街には、照明デザイナーや美容師、ハンドメイド雑貨や食堂などの様々な事業者が入居し、様々な人が気軽に足を運ぶ場所となりました。

さらにメルカート三番街が入居するビルでは、他のフロアにもリノベーションの動きが広まり、コワーキングスペースやアトリエ兼ショップなど、若者がビジネスを始めるきっかけを生み出す場所となったのです。


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04まとめ

近年の空き家問題では住居の空き家だけでなく、商店街の空き店舗の増加も深刻化しています。

空き店舗問題では、インターネットの普及による買い物環境の変化だけでなく、物件所有者に物件貸す意思が希薄であることが大きな障壁となっています。
こうした問題を解決するために、放置された空き店舗を税制上の優遇措置から除外するなどの行政側の対策や、サブリースやリノベーションの手法により、物件所有者のリスクを軽減する工夫が求められているのではないでしょうか。


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