特定空き家ってなに?国が定めたガイドラインの内容をご紹介します!

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空き家の管理方法
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特定空き家ってなに?国が定めたガイドラインの内容をご紹介します!

年々増加する空き家への行政による対策の一つが、「空き家等対策の推進に関する特別対策措置法」、いわゆる空き家対策法です。
これにより空き家が「特定空き家」と判断されてしまうと、行政による措置や罰則の対象となり、所有者は様々な不利益をこうむることになります。
空き家を特定空き家とする際の判断基準や、特定空き家に対する措置は国土交通省によるガイドラインに示されています。
そこで今回の記事では、国のガイドラインの内容から、特定空き家の定義や行政による改善措置、さらに空き家が特定空き家とされた場合の対処法などについてご解説いたします。

特定空き家ってなに?ガイドラインが定める定義や判断基準をご紹介

はじめに、国のガイドラインに定められた特定空き家の定義について見ていきましょう。
空き家対策法が定める特定空き家とは以下の状態に当てはまる空き家のことを指します。

●倒壊等保安上危険となるおそれのある状態
●著しく衛生上有害となるおそれのある状態
●管理不全により景観を損なっている状態
●その他周辺環境の保全のために放置することが不適切である状態


ここでは、これらの特定空き家と判断される基準について、もう少し詳しくご説明していきましょう。
まず、保安上の危険性が認められるのは、家屋の倒壊の可能性がある場合に限りません。
屋根や外壁、バルコニーなど建物の一部が破損し、周辺に飛んで被害を及ぼす可能性がある場合や擁壁の老朽化による危険性が認められる場合なども含まれます。
次に、家屋や設備の破損を原因として、アスベストが飛散する可能性がある場合や、汚物や排水の流出により臭気が発生している場合は、衛生上有害となるおそれがあると判断されます。
ごみの放置や不法投棄による臭気、害虫・害獣の発生も衛生上の問題とみなされます。
また、空き家が景観の妨げになっていると判断されるのは、法令などにより定められた景観計画やルールに適合していない、または周囲の景観の調和を乱している場合を指します。
具体的には家屋の外壁が汚物や落書きなどで汚れている、割れた窓ガラスが放置されている、敷地内にごみが散乱している、庭木や雑草が生い茂って家屋を覆っているケースなどが挙げられます。
そのほかにも、管理不全により立木が散乱していたり、空き家に動物や害虫・害獣が住み着いたりして、近隣住民が悪影響をこうむっていれば、周辺の生活環境を守るために改善の必要があると判断されます。
また、門扉や窓の管理不全により不審者が侵入するおそれがある場合もこれに当てはまります。
このように、空き家が安全・衛生・景観・防犯面で周辺地域に悪影響を及ぼすと思われる場合に、特定空き家に指定されるのです。

特定空き家に指定されるとどうなる?行政措置や罰則についてご紹介

特定空き家の定義やその判断基準についてご紹介してきましたが、このような状態が認められる空き家はどうなるのでしょうか。
ここからは、国のガイドラインに定められた特定空き家に対する措置の流れや罰則などについて見ていきましょう。
特定空き家に対する措置は空き家のある自治体によって、空き家対策法または自治体の条例に沿って執行されます。
いずれにしても、空き家対策法に定められた手順に則って、状改善のための指導がおこなわれることになります。
基本的な流れとしては、問題があると思われる空き家に対して自治体が調査した結果、特定空き家と認められると、自治体が空き家の所有者に改善を求める助言や指導をおこないます。
助言や指導の後、一定期間内に状況改善がなされなければ勧告が出され、これにも応じなければ住宅用地の特例の適用外となり、固定資産税の軽減措置が受けられなくなります。
この後、猶予期間を置いて改善措置命令が出されますが、これにも従わなければ行政代執行法による手順に沿って代執行の予告が通達され、通知された期日に強制的な改善措置がおこなわれます。
行政代執行の費用は後日空き家の所有者から徴収されます。
次に、特定空き家の所有者が行政の改善指導に応じない場合の罰則について見ていきましょう。
罰則としてまず挙げられるのが、特定空き家に指定された後、助言や指導を経てさらに勧告を受けても状況が改善されなかった場合にとられる、住宅用地の特例対象からの除外です。
住宅用地の特例とは、居住用住宅地に対して固定資産税を最大1/6に、都市計画税を最大1/3にまで軽減する措置のことです。
つまり、特定空き家の状態が勧告を受けても改善しない場合には、最大でそれまでの6倍の固定資産税および3倍の都市計画税を支払うことになります。
さらに勧告を受けても状況改善がなされないと改善措置命令を受けることになりますが、これにも応じずに命令違反と判断されると、最大で50万円の罰金が科されることとなります。
このように自治体は特定空き家に対して改善指導をおこないますが、これらに応じずにいると税制上の優遇措置からの除外や、罰金などの不利益をこうむることになるのです。
特定空き家の指定を解除するには?早めの対応が大切!
空き家を所有したら、特定空き家に指定されることのないよう適正管理に努めることが大切ですが、所有している空き家が特定空き家となった場合はどうすればよいのでしょうか。
空き家が特定空き家に指定された場合、罰則を受けるまでには行政からの助言や指導、さらにその後の猶予期間があります。
この猶予期間までに自治体による指示に従って空き家の状態を改善すれば、特定空き家の指定は解除されます。
倒壊する可能性があるほど家屋が老朽化している場合には、空き家を除去せざるを得ないかもしれません。
一方でごみの撤去や害虫の駆除、庭木の手入れや清掃など、比較的容易に対処できる場合も多くあります。
自治体の指導に従って問題に対処し、改善が認められれば指定は解除されることになります。
また、自治体は特定空き家に対して改善命令を出す前に、空き家の所有者に対して、改善命令についての内容と理由、意見書の提出先および提出期限を通知することが定められています。
この意見書では、空き家の所有者が自治体の命令に対して意見を述べることができます。
空き家の管理不全について不可避の事情があれば、この意見書で申し立てることが可能です。
また、正式な改善命令の後にも異議を申し立てる期間が設けられています。
訴訟を起こす場合にもまずは異議申し立てをおこない、話し合いの場を設けることが慣例となっています。
いずれにしても、自治体の改善措置に対して意見書を提出する、もしくは異議を申し立てる際には法律の専門家に相談することをおすすめします。
このように空き家が特定空き家とされた場合でも、助言や指導の段階で空き家の状態を改善すれば特定空き家の指定は解除されますし、空き家を管理ができない事情があれば改善命令の前後に意見書を提出したり、異議を申し立てたりすることも可能です。

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まとめ

今回の記事では、国土交通省のガイドラインの内容をもとに特定空き家についてご紹介しました。
特定空き家に指定されたにもかかわらず改善指導に応じなければ罰則が科されます。
しかし、改善命令が出されるまでに空き家の状態を改善するか、定められた手順に則って意見書の提出や異議申し立てなどの対応をおこなうことで回避することができます。
空き家が特定空き家に指定されてしまった場合には、放置せず早めに対処することが大切です。
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