空き家を活用してホテルを経営できる?基礎知識や注意点をご紹介!

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空き家を活用してホテルを経営できる?基礎知識や注意点をご紹介!

現在も増え続ける全国の空き家ですが、その活用方法の一つとして注目を集めているのが宿泊施設の経営です。
ただし、空き家を活用してホテルを経営したい場合には、旅館業法などの法律が関わってくるため、様々な知識や注意点を理解した上で計画を立てる必要があります。
そこで今回の記事では空き家を活用したホテル経営について、関連する法律や、開業までの流れや注意点などをご紹介いたします。

空き家を活用したホテル経営に関わる法律を知ろう!旅館業法とは?

はじめに、ホテルを経営する上での条件や規定を定めた旅館業法について知っておきましょう。
旅館業法は旅館業として認められる条件を定めており、ホテルを経営するためにはこれを満たす必要があります。
この中で旅館業は「施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」と定められています。
宿泊とは、寝具を使用してホテルや旅館などの施設を利用することを指し、営業と判断されるためには、宿泊施設の提供は、社会性を伴って継続反復的におこなう必要があります。
これを踏まえて、旅館業として判断されるための基準について整理してみましょう。
第一の基準は宿泊料を徴収していることで、宿泊料には宿泊に対する料金だけでなく、寝具や清掃料などの宿泊に付随するサービスに対する料金などが含まれます。
一方で、食事やランドリーなどの宿泊と直接関係のないサービスに対する料金は、基本的に宿泊料としてはみなされません。
第二の基準は人を泊める行為が社会性を伴っていることです。
たとえば知人のみが利用するのではなく、インターネットなどで広く不特定多数の利用者を募っていれば、基準を満たしていると判断されます。
第三の基準は人を泊める行為が継続・反復しておこなわれていることで、インターネットや広告などで定期的に利用者を募集していることが求められます。
一方、自治体のイベントで年に数回のみ宿泊施設として利用されるなど公共性が高いケースでは、継続反復性が認められません。
第四の基準は宿泊者が生活の本拠として利用していないことです。
滞在期間の長短に関わらず、施設提供者が衛生維持管理者として清掃や寝具の提供をおこなっていれば、宿泊者の生活の本拠とは認められないため、旅館業であると判断されます。
また、近年旅館業法は改正され、構造や設備に関する条件が緩和されました。
この改正で最低客室数を5部屋とする基準が廃止され、帳場の電子化が認められるなど、戸建ての空き家をホテルとして経営するハードルが低くなりました。
さらに旅館業法に加えて、空き家をホテルとして経営するためには、建築基準法や消防法により定められた条件を満たさなくてはなりません。
建築基準法ではホテルは「ホテル又は旅館」に分類され、「特殊建築物」に該当するため、「一般建築物」よりも厳しい基準を満たすことが求められます。
また、消防法ではホテルなどの宿泊施設は「防火対象物」として、設備や管理上の防火対策を講じ、消防法令の遵守を証明する「消防法令適合通知書」の取得が必須となります。
戸建ての空き家をホテルとして経営する場合、消火器や火災警報器、誘導灯や誘導標式などの設置を求められます。
建築基準法および消防法により定められる基準は自治体により異なりますので、詳細については専門家や空き家のある地域の自治体に相談したほうがよいでしょう。

空き家を活用してホテル経営するには?開業までの流れや注意点をご紹介

旅館業法について理解した上で、ここからは実際に空き家を活用してホテルを経営する際の開業の流れや、注意点をご紹介しましょう。
宿泊施設を開業する際の流れとしては、まず施設がある自治体の旅館業法窓口で事前相談した上で、営業許可申請書を提出します。
営業許可申請書の提出が受理されると保健所が調査をおこないます。
対象施設が法的な基準を遵守していることが確認されると営業許可証が交付され、宿泊施設として開業することができます。
宿泊施設の営業を許可する判断基準となる法的な規定は営業形態や自治体により変動しますので、事前に自治体や専門家に相談することをおすすめします。
それでは、空き家をホテルとして活用する際の注意点について見ていきましょう。
注意点としては、民泊や簡易宿泊所といったほかの形態の宿泊施設に比べ、ホテルや旅館は建築基準法や消防法などの法的な規制が多いことが挙げられます。
また、法的な基準を満たすために改修が必要な場合がほとんどですので、費用がかさむという点にも留意すべきでしょう。
もちろん、空き家を利用してのホテル経営にはメリットもあります。
民泊の場合は営業日数制限が年間180日間とされているのに対し、ホテルには制限がないため、民泊経営の倍近い日数を営業することが可能です。
このため空き家の立地などの条件によっては、民泊に比べて大きな収益が期待できます。
また、戸建ての空き家をホテルとして活用すれば、家族旅行での利用が見込めます。
一般的にホテルは1部屋あたりの収容人数が少ないため、4人以上の家族が利用する際は複数の部屋を予約し、家族旅行であるにもかかわらず別々の部屋に滞在せざるを得ないというケースは珍しくありません。
一方、戸建ての空き家には居間に加えて寝室が2部屋以上あり、スイートルームや複数の部屋を利用するよりも割安となる場合が多いため、家族旅行客のニーズに合っているのです。
また、戸建ての空き家1軒のみでは利用者の数が限られてしまいますが、この後ご紹介する分散型ホテルという形態では、地域内に点在する建物でも一つのホテルとして営業許可を取得することが可能です。

空き家を活用したホテル経営の実例をご紹介!分散型ホテルとは?

最後に、空き家を活用したホテル経営の実例として分散型ホテルについてご紹介いたします。
分散型ホテルとは地域内に点在する建物を1つのホテルとして運営する宿泊施設の形態で、1980年代にイタリアで始まった「アルベルゴ・ディフーゾ」という観光事業モデルが基になっています。
集落内に散らばる空き家を改修した上で1つのホテルとして一括管理し、宿泊客には地域に根付いた飲食店や商店を利用してもらうことで、地域一丸となって観光客をもてなすという取り組みです。
日本でも2018年の旅館業法改正によりこのような宿泊施設が営業許可を取得することが可能になり、空き家の解消や地域経済の活性化に役立つと注目を集めています。
東京の下町、谷中にある「hanare」も改修した空き家を客室として利用する分散型ホテルの一つです。
「hanare」では、従来のホテルなら1つの建物や敷地内にあるフロントや客室、浴場や食堂が町の中に点在しています。
老朽化した建物をリノベーションした複合施設「HAGISO」がフロントや朝食会場の機能を担い、地域の空き家は客室に、近所の銭湯は浴場の役割を担っています。
そして、お土産屋さんやレストランに行きたければ谷中の商店街や地元のおいしい飲食店へというように、町全体を1つのホテルに見立てているわけです。
分散型ホテルは空き家を客室とすることで空き家の解消に役立つのはもちろんのこと、宿泊客が地域の商店や飲食店、銭湯などを利用するため、地域経済の循環にも一役買っており、日本にも徐々に浸透しつつある営業形態なのです。

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まとめ

今回の記事では空き家を活用したホテル経営についてご紹介しました。
空き家を活用したホテル経営には、旅館業法や建築基準法、消防法が定める基準を満たした上で営業許可を取得する必要があるため、決してハードルが低いとは言えませんが、近年では分散型ホテルのような魅力的な事業モデルが登場しています。
空き家の活用方法についてご検討中の方は、今回の記事を参考にホテル経営も選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
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