空き家の譲渡所得税3000万円の特別控除とは?必要な条件と手続きの流れ

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空き家の管理方法
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住宅を売却するとその利益には税金が課されますが、空き家に関しても同様です。

相続で空き家を引き継いだ場合、ただ保有していても維持費用がかかったりトラブルの種となってしまうので資産価値が下がらないうちに売却してしまうのがおすすめです。

空き家を売却したいけど税金が気になる、という方には3000万円の特別控除を利用するのがおすすめです。

今回はこれから空き家の相続を控えている方に向けて、譲渡所得税の3000万円の特別控除についてご紹介します。


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空き家の譲渡所得税3000万円の特別控除とは?必要な条件と手続きの流れ



▼空き家の譲渡所得税を減税する3000万円の特別控除とは

空き家の譲渡所得には税金が課されますが、3000万円の特別控除が利用できます。

 

<そもそも譲渡所得とは?>

まず譲渡所得とは、不動産の売却において出た利益のことを指します。

利益とは単純な売却価格ではなく、売却にかかった諸費用と購入の費用を差し引いた額で計算されます。

購入の費用は取得費と呼ばれ、不動産を購入したときの代金や仲介手数料、登記費用の合計金額となっています。

実際の取得費の金額が譲渡価格の5%に満たない場合は、譲渡価格の5%を取得費として計算できます。

 

相続した空き家の場合は古い物件が多く、購入費用が不明なこともあるかと思いますがその場合も譲渡価格の5%として計算されます。

 

譲渡所得は以下の計算式で算出します。

譲渡所得=売却金額-(所得費+譲渡費用)

この計算式の結果がマイナスにならなければ、利益が出ているとみなされるので税金が課されます。

つまりマイナスになれば利益が出ておらず、税金を支払う必要はありません。

 

<譲渡所得にかかる税金の計算方法>

次に譲渡所得にかかる税金、譲渡所得税の計算方法をご説明します。

税金は先ほどの計算式で算出された譲渡所得に決められた税率をかけることで金額が決まります。

譲渡所得には所有期間によって短期譲渡所得と長期譲渡所得にわけられます。

空き家の相続の場合は、被相続人が所有していた期間が対象になります。

短期譲渡所得とは相続した空き家の所有期間が5年以下で、所得税30%+住民税9%で合計39%の税率になります。

長期譲渡所得とは相続した空き家の所有期間が5年超で、所得税15%+住民税5%の合計20%になります。

つまり空き家になる以前に被相続人が長い間住んでいたほうが、税金が抑えられるというわけです。

なお相続人の所有期間は関係ないので、売却を5年待ったほうがお得というわけではありません。

 

<空き家の譲渡所得税の3000万円の特別控除とは>

お伝えしてきたように、空き家を売却して思わぬ利益が出た場合は税金が課されます。

しかし相続した空き家であれば、条件をクリアしていれば3000万円の特別控除が受けられます。

3000万円の特別控除とは、言葉の通り3000万円分は譲渡所得から差し引かれる特例で以下の式となります。

 

譲渡所得=売却金額-(所得費+譲渡費用)-3000万円

 

上記の式の場合、大方のケースで譲渡所得はゼロかマイナスになり税金はかからなくなります。

この制度は2016年に導入されたもので、背景には近年問題となっている空き家増加があります。

倒壊リスクや衛生面で問題のある空き家を管理しないまま保有すると、さまざまなトラブルを生んでしまいます。

特に相続された空き家は放置されるケースが散見され、問題視されています。

つまり3000万円の特別控除とは、相続した空き家の速やかな売却や解体を促すための制度なのです。

売却には税金がかかるので躊躇してしまう方も、この制度を利用すれば安心ですね。

 

▼空き家の譲渡所得税の3000万円の特別控除を受けるための条件とは

3000万円の特別控除を受けるための条件は少し複雑でわかりにくいので、ひとつずつご説明していきます。

 

<売却期間の条件>

お伝えしたように「相続した空き家をすぐ売却してほしい」といった背景のある制度ですから特別控除が適用されるのは期間限定です。

空き家は相続開始の日から数えて3年目の年の大晦日までに売却しなければなりません。

またこの特例自体にも期限があり、20231231日が期限となっています。

 

<空き家の売却の条件>

空き家の売却に関しては、売却金額が1億円以下であることが条件となります。

そして売却する前に耐震リフォームをして、耐震基準を満たしていることも必須です。

また売却する相手は第三者でなければならず、親子や夫婦などの近しい間柄の相手に売却した場合は除外されます。

内縁関係にある相手や、親族も上記に当てはまるので注意が必要です。

 

<相続した空き家の条件>

相続した空き家は区分所有建物登記がされていること、被相続人が1人で住んでいて死亡に伴い空き家になったことが条件です。

被相続人が亡くなるまで老人ホームに住んでいたのであれば、要介護認定を受けているか、入居中に住居として一定の利用(一時外泊など)が認められれば上記に当てはまります。

 

しかし、老人ホームに入居中に他人への賃貸歴がある場合はNGです。

同様に相続開始から売却までの間に相続人が一度居住したり、事業や賃貸に利用すると条件は満たされません。

そして1981531日以前に建築された建物であることも重要な条件です。

ここで気になるポイントですが、なぜ1981年が基準になっているのでしょう。

1981年は建築基準法の耐震基準が改定された年で、1981531日以前に建築された建物は耐震基準を満たしていないことが多いです。

耐震基準を満たしていない住宅はローンなども利用しづらいので、売却するにはリフォームが必要になり思わぬ費用が発生します。

さらに先ほどお伝えしたように、耐震リフォームは売却の条件にも入っています。

 

そのためわざわざ耐震基準のために大掛かりなリフォームするよりは解体して更地にしてしまうのが得策でしょう。

つまり1981531日以前に建築と条件を加えることで、制度の目的である古い空き家の解体を促しているのです。

3000万円の特別控除を利用するためには、必然的に土地の解体費用がかかることを知っておきましょう。

 

▼空き家の譲渡所得税の3000万円の特別控除を受けるための流れとは

最後に譲渡所得税の3000万円の特別控除を受けるための手続きの流れをご説明していきます。

 

<相続した空き家の売却方法>

まずは相続した空き家を決められた適用期間内に速やかに売却します。

空き家の売却には、信頼できるパートナーである不動産会社を探すことがポイントです。

また先ほどもお伝えしたように、3000万円の特別控除を利用するには空き家を解体するケースが多いです。

空き家の解体には補助金も利用できるので、事前に調べておくと良いでしょう。

 

<譲渡所得税を計算する>

空き家の売却に成功すれば、売却金額が判明するので譲渡所得が計算できます。

譲渡所得の計算方法は先ほどお伝えしましたが、取得費が特にポイントとなります。

取得費は購入価格だけでなく、減価償却も考慮されるので計算がやや複雑になります。

購入価格に関しては売買契約書があれば正確に把握できるので、まず売買契約書の存在有無をチェックすることが大切です。

売買契約書を紛失して購入費用が不明な場合は譲渡価格の5%として計算され実際より安くなることが多いので、譲渡所得がプラスになりやすいです。

 

<確定申告で申請する>

譲渡所得を計算して税金が課税されることが判明すれば、確定申告で特別控除について申請します。

確定申告は定められた期間内(216日から315日)に必要書類を揃え、管轄の税務署に提出します。

空き家の売却をした次の年の確定申告期間で申告しなければなりません。

確定申告では譲渡所得の内訳書や、登記事項証明書、被相続人住居用家屋等確認書などの書類を添付します。

 

▼まとめ

今回はこれから空き家の相続を控えている方に向けて、譲渡所得税の3000万円の特別控除についてご紹介しました。

空き家の譲渡所得税の3000万円の特別控除はとてもお得な制度ですが、要件が厳しくややこしいと感じる方も多いかもしれません。

相続した空き家が条件に当てはまるのかを判断できないときは、税理士や司法書士などの専門家に相談してみましょう。

空き家の売却の際は空き家売却の経験が豊富な不動産会社を選ぶことが重要です。

全国空き家管理ナビでは、空き家管理を適切に行い、さまざまなリスクを減らすお手伝いをする不動産会社を検索できます。

空き家で何かお困りのことがありましたら、ぜひご利用ください。

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