家を購入したいけれども、予算的にあまり余裕がない、リフォーム費用に回したいなどの理由から、できるだけ安く買いたいと考える人もいるでしょう。
そこで注目されているのが、誰も住んでおらず、1年以上のあいだ人の出入りがない家、すなわち空き家です。
空き家だからといって、すべての物件が低価格となるわけではありません。
何らかの理由があることで、破格の値段になることがあり、場合によっては100万円以下で購入することも可能です。
それでは、どのような条件が揃っていれば、その空き家は低価格となるのでしょうか。
それを理解しておけば、自分の予算と希望に即した空き家と出会えるチャンスが広がります。
そこで、空き家の価格が安くなる理由や、低価格で購入する方法を、空き家ゲートウェイの紹介を含めて解説します。
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▼空き家を100万円以下で購入①:価格が低くなる理由
空き家が相場よりも安い価格で売りに出される一つめの理由が築年数です。
低価格で売買される空き家は、現代の生活スタイルとはマッチしない、昔ながらの不便な構造となっていることが少なくありません。
また、長らく誰も出入りしておらず、リフォームしなければとても住めないほど劣化していることもあります。
ただ、それだけ古いからこそ、一般の住宅とは異なる風情が楽しめたり、通常の取り引きでは実現しないような低価格で買えたりすることも事実。
とは言っても、あまりにも古い家を購入すると、あとで倒壊などにより住めなくなってしまうのではと心配する人もいるでしょう。
そのような空き家の購入を検討する場合、築年数とあわせて耐用年数に注目することがポイントです。
木造住宅の場合、耐用年数は30年ほどと言われていますので、それを超えると住宅の価値はほとんどなくなります。
そこで築年数30年を目安に探せば、100万円以下の価格で、簡単な修繕により居住できる空き家に出会える確率が高まります。
二つめの理由が、町の中心部から離れており、かつ交通の便が悪いことです。
多くの人は、駅から近い、あるいは少なくともバスが通っているエリアに住みたいと思うものです。
そのため、購入費用を抑えたい人であっても、通勤や通学ができる、あるいは中心地に気軽に行けるギリギリのエリアを中心に家を探すことが一般的です。
駅から遠くバスも走っていないような、人里離れたところにある空き家は、なかなか購入希望者はあらわれません。
とはいえ買い手のなかには、田舎暮らしを満喫したい、車で移動できれば十分だと考える人がいることも事実です。
そこで売主は、買い手のさまざまなニーズにアピールするために、思い切って価格を下げることがあるのです。
三つ目の理由が、所有者が早期に空き家を売却することを望んでいることです。
所有者は、たとえ自分が住んでいなくても、空き家を管理する義務が発生しています。
雑草が生い茂り景観を損ねている、倒壊する恐れがある、不衛生な状態であるなど、何らかの問題がある空き家は自治体から勧告を受けます。
勧告を受けると、土地にかかる固定資産税の優遇措置がなくなることも。
そこで、管理責任と納税義務を早く手放すために、100万円以下という破格の値段で空き家を売りに出すことがあるのです。
四つ目は、事件・事故や差押えなど特殊な事情がある物件です。
事件や事故が起こった物件を売却する場合、売り手はそこで起こったことを説明しなければなりません。
たとえ好条件であっても、その空き家は「訳あり物件」となるため、多くの人は積極的に買いたいとは思わないでしょう。
そこで、値下げを繰り返した結果、100万円以下になることがあるのです。
もうひとつの差押え物件とは、税金や借金の支払いが困難となり、差押えとなった家のこと。
債権者としては早期に未払い分を回収したいというのが本音のため、相場よりも低価格で売りに出す傾向があります。
そのため、便利な立地にあり、築年数が古くないにもかかわらず、100万円以下で取引されることがあるのです。
▼空き家を100万円以下で購入②:低価格で購入する方法
空き家を低価格で購入する方法のひとつが空き家バンクの利用です。
空き家バンクとは、自治体が運営している空き家の情報提供システムのこと。
このサイトにアクセスすれば、売却を希望している空き家の情報を市町村ごとに集められます。
老朽化がひどく進んでいる、山奥にあるなど、通常ではなかなか売れないような空き家も登録されているため、100万円以下の物件にめぐり合える確率が高まるでしょう。
もうひとつが競売や公売を利用して空き家を購入するという方法です。
競売では借金が払えず差押えとなった物件、公売では税金の滞納により差押えとなった物件が売りに出されます。
どちらも入札により金額が決定されるため、相場とくらべると安い価格で購入できることが特徴です。
ここで、以上のような方法で取得した空き家の活用方法の一例をご紹介します。
老朽化が進んでいる空き家は、思い切って自分好みにフルリフォームしてみてもいいでしょう。
現代の生活スタイルにマッチしない古民家をフルリフォームして、カフェを経営したり創作活動の拠点にしたりする人も少なくありません。
自然環境に恵まれているエリアにある空き家なら、別荘として活用するのもいいかもしれませんね。
富裕層のイメージが強い別荘ですが、低価格の空き家を活用すれば、若い世代でも手に入れることが十分に可能ですよ。
また、老朽化しているものの、修繕により入居が可能な空き家なら、自分が住むことはもちろん、投資物件として活用することもできます。
交通の便がよくても、老朽化が激しい空き家は、更地にする手間を省くために、価格を思い切って下げていることがあります。
そのような空き家なら、購入したあとに建物を解体し、そこに新築の家を建ててしまえば、子育て世代の夢のマイホームのできあがりです。
▼空き家を100万円以下で購入③:空き家ゲートウェイ
家を購入する予算が100万円以内と限られている人は、空き家ゲートウェイを活用することも一案です。
空き家ゲートウェイとは、全国の空き家と利用希望者を結びつけるプラットフォーム。
登録されている空き家の価格は、100円もしくは100万円の2種類で、「100均物件」として掲載されています。
空き家ゲートウェイを運営するのは、土地活用の企画や開発を行うYADOKARI株式会社と、空き家の活用を提案する株式会社あきやカンパニーの2社。
2019年7月1日に開設されて以来、空き家情報の提供と利用希望者からの問い合わせに対応しています。
空き家ゲートウェイの目的は、立地の悪さや建物の老朽化などから不動産価値がなくなった物件に新しい価値を見出すこと。
費用をできるだけ抑えたい、古民家をカフェなどに再利用したい、リフォームやDIYを楽しみたいなど、特定の事情やこだわりがある人向けの購入方法です。
利用する際の注意点が、空き家ゲートウェイが対応してくれるのは問い合わせまでで、仲介業務は行っていないこと。
売主との交渉、空き家の状況確認、登記手続きなど、煩雑な手続きを買主自身がおこなう必要がある点を留意しておきましょう。
▼まとめ
空き家は、立地がよくない、老朽化が進んでいることが多いものの、必要な修繕をおこなえば入居できる物件も少なくありません。
また、リフォームやDIYを通じて、自分の好みを反映させた個性的な家をつくることも可能です。