空き家の郵便物対策で知っておきたい信書開封罪とは?

カテゴリ:
空き家の管理方法
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

空き家では郵便物が配達されても、すぐにポストから回収できません。

そのため定期的な管理が不可欠ですが、故人宛の郵便物については取り扱いに注意が必要です。

もし名宛人以外が開封すると、信書開封罪に問われることがあります。

空き家にも郵便物やDMが送られてくることはあるので、基本的には名宛人しか開封できない点に注意してください。

そこで空き家における、郵便物の取り扱いに関する信書開封罪とは何かについて確認していきましょう。

 

関連記事:空き家の家屋と敷地について 売却前に要確認!特例措置を知っていますか?

 

空き家の郵便物対策で知っておきたい信書開封罪とは?



▼空き家における信書開封罪とは?

信書とは、特定の個人にあてられた文書のことです。

他人に見られないよう封がしてある状態のもので、第三者が無断で開封することは信書開封罪に該当します。

空き家に信書が届いた場合は、自分宛のものでないケースがほとんどなので取り扱いに注意してください。

なお封がしてある状態とは、封筒がのり付けやセロハンテープで貼られていたり、圧着ハガキになっているものを示します。

そのため封筒に入っていても開け口が閉じていないものや、クリップ留めしているだけのものは、開けても信書開封罪とは見なされません。

 

<信書開封罪とは?>

信書開封罪とは、名宛人以外の第三者が封のしてある信書を、正当な理由がなく開封したときに該当します。

信書開封罪は開封しただけで犯罪が成立するため、内容を実際に読んだかどうかは問われません。

なお信書開封罪は親告罪です。

親告罪とは、被害者(この場合は名宛人)からの告訴がなければ公訴されない犯罪を意味します。

そのため名宛人がすでに死亡していたり、行方不明で連絡を取るのが不可能な状況では信書開封罪で訴えられることがありません。

したがって郵便物のなかには税金に関する書類や請求書などが含まれる場合があるため、必要に応じて中身を確認してください。

ただし友人・知人からの手紙のような個人的なものについては、送り主にも告訴する権利があります。

そのため故人であっても、プライバシーに関する信書の開封には注意してください。

 

<信書開封罪に該当しないパターン>

信書であっても、正当な理由があれば開封しても信書開封罪に該当しません。

たとえば家族間で家計を任されている人が、光熱費の請求書などを開封するようなケースです。

また未成年の子どもにあてられた信書も、保護者が親権の範囲で開封するのは問題ありません。

このほか保護者あての書類に父母どちらかの名前しか記入されていなくても、もう一方の保護者も親権者ですから開封する正当な理由があると認められます。

そして上記の例外にあてはまらない信書であっても、家族間で開けても問題ないと決まっていれば推定的承諾があったと判断されることが多いでしょう。

そのため家族間であらかじめ、郵便物の取り扱いについてルールを作っておくと無用なトラブルを避けられます。

 

▼空き家で信書開封罪に関連する取り扱い方法とは?

入院などで一時的に不在となる場合は、不在届を出しておけば不在期間終了後にまとめて配達してもらえます。

また入院が長期におよぶ場合は、病院に送ってもらうことも可能です。

しかし空き家に配達される郵便物は、名宛人が亡くなっているなどしてすでに存在しないケースが少なくありません。

そこで空き家で郵便物を取り扱うときのポイントとは何か、信書開封罪の注意点とともに確認していきましょう。

 

<郵便物を取り扱うポイント>

空き家になった時点で、郵便物に関しては受け取り可能な宛先への転送サービスを申し込んでおきましょう。

また故人については受取人が死亡した旨を郵便局へ伝えれば、以降は差出人の元へ返還されます。

なお遺族のもとへは転送できないので、注意が必要です。

また運送会社によるメール便は郵便局とは別の取り扱いなので、この方法では転送・停止できません。

発送元か運送会社へ、送付しないよう個別に依頼してください。

 

<郵便物を放置する危険性>

空き家で郵便物を放置すると、イタズラや犯罪などのトラブルに巻き込まれるリスクがあります。

たとえばポストが郵便物やチラシであふれていると空き家であると一目でわかるため、不法侵入や住み着きの被害を受けるかもしれません。

近年では、特殊詐欺の犯行現場として悪用されるケースも目立っています。

また放火されれば、近隣の建物に被害がおよびます。

そのため空き家であっても、定期的に郵便物は回収しておきましょう。

そしてチラシなどのポスティングを防ぎたい場合は、「チラシ・勧誘印刷物お断り」のステッカー掲示も効果的です。

 

<電子メールが信書開封罪に該当するケース>

近年は手紙ではなく、電子メールでやりとりをする方が増えています。

電子メールは信書ではないため、信書開封罪が適用されることはありません。

そして不正アクセス禁止法にも該当しません。

ただしウェブ上で送受信できるクラウドメールは無断で開封すると、不正アクセス禁止法違反になるので注意してください。

同様にパスワードが設定されているメッセージアプリも、無断で盗み見るケースと不正アクセス禁止法に触れることがあります。

 

<空き家を放置する危険性>

上記以外にも、空き家の放置には多くの危険性があります。

たとえば自然災害などの影響で建物が損傷すれば、近隣の建物へ影響がおよぶかもしれません。

また建物内部も劣化していくので、定期的な点検は不可欠です。

空き家は郵便物以外も管理しなければならないため、自分の足で訪問するか専門の管理業者への依頼が欠かせません。

 

▼空き家の信書開封罪で注意するべきポイントとは?

空き家を所有しているなら、そもそも郵便物がたまらないようにするのが効果的です。

しかしそれ以外にも信書開封罪とならないように、知っておきたいポイントがあります。

そこで注意するべきポイントとは何か、確認していきましょう。

 

<郵便ポストをふさぐのはNG

郵便物がたまらないように、ポストや新聞受けをガムテープなどでふさぐのはオススメできません。

 

空き家なのが一目で分かるため、トラブルに巻き込まれるリスクが高まります。

そこで遠方に空き家があって定期的な回収が難しければ、専門業者への依頼がオススメです。

郵便物の回収だけでなく、敷地内の掃除や換気・建物の点検サービスなども依頼できます。

 

<近隣に声かけをしておく>

近所に無人の家があると、治安や安全面で不安を覚える人がいます。

そこで空き家状態になったら、近隣や町内会の関係者へ声かけしておくのがポイントです。

人が住んでいなくても放置家屋ではないと分かれば、近隣住民にとっての安心につながります。

さらに緊急事態が起きたときに備えて、連絡先を交換しておくのもオススメです。

そのため普段の管理は専門業者に委託する場合でも、現地を訪れた際はあいさつをしておきましょう。

近隣住民との関係性によっては、郵便物の保管をお願いできる場合もあります。

 

<遺言書の開封は注意が必要>

遺言書については、信書開封罪に該当しません。

しかし正しい手順で開封しなかった場合、遺言書の検認に反することがあります。

遺言書の検認手続きとは、家庭裁判所へ申し立てをして相続人らが立ち合いのもとで開封するものです。

そのため勝手に開封してしまうと罰金が科せられたり、書き換えなどを行うと相続人の資格を剥奪されたりする恐れがあります。

信書開封罪とは別の罰則があるので、遺言書も慎重に取り扱ってください。

 

▼まとめ

信書開封罪とは何か、成立要件や注意すべきポイントを紹介しました。

信書の取り扱いは、家族や身内間でも慎重にしなければなりません。

空き家では名宛人が受け取れないケースが少なくありませんから、定期的に回収して適切に管理しましょう。

空き家が遠方にあり自分での管理が難しい場合は、専門業者の利用もオススメです。

全国空き家管理ナビでは、空き家管理を適切に行い、さまざまなリスクを減らすお手伝いをする不動産会社を検索できます。

空き家で何かお困りのことがありましたら、ぜひご利用ください。

空き家の相談はこちらから