空き家の数が増加し続けており、日本では大きな社会的問題となっています。
誰も住んでいない空き家は、放火や火災の被害に遭いやすい、不審者に狙われやすいだけでなく、国際犯罪の温床になってしまったケースもあります。
所有している空き家が犯罪に使用されてしまうと思うとゾッとしますね。
そこで今回は、空き家と犯罪の関係性について解説します。
空き家が犯罪に使われることのないよう、しっかりと対策を行うことが大切です!
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▼空き家が国際犯罪の拠点に?犯罪に利用される空き家
ご紹介しているように、空き家はさまざまな問題を引き起こす原因になってしまいます。
少子高齢化や過疎化により、日本国内では空き家の数が増えていますが、この空き家に犯罪組織が目をつけ犯罪の温床になる事件が発生しています。
空き家が国際犯罪の拠点として使用された犯罪を紹介します。
事件には、アパートの空き部屋が使われていました。
2015年11月10日、東京都千代田区のアパート管理人から、「外国人風の女性がアパートの住民になりすまして、宅配便の荷物を受け取っているようだ」という通報が警視庁成城署に入りました。
通報を受けた署員が現場のアパートの空き部屋へ駆けつけたところ、中国人の女を発見し、住宅侵入容疑で逮捕しました。
この女は、このアパートの住民になりすまし、アパートの空き部屋に届く家電製品などの宅配荷物を受け取っていました。
警視庁組織犯罪対策総務課によると、「王(ワン)」という男に指示されたと、この女は供述しました。
アパートの空き部屋で荷物を受け取って、「王(ワン)」という人物に渡すことで、12,000円の日当を報酬として受け取っていたといいます。
この犯罪が発生した1年後の2016年1月に、板橋区のアパート管理人から、「アパートの空き部屋が荷物の受け取りに使用されている」という通報が入ります。
通報を受けた署員が、現場のアパートへ行くと、その部屋で中国籍の男「王嘉偉(ワン・ジャアウェイ)」を発見し、住居侵入容疑で逮捕しました。
この男こそ、前回の事件で女に宅配便の荷物を受け取るよう指示した人物だったのです。
その後の調査により、この逮捕された人物ふたりは、不正に入手したクレジットカードの番号などを使い、インターネットの通販でパソコンや電子辞書などの家電を購入し、監禁する詐欺グループの一員だったことが判明しています。
この犯罪グループは、ネット通販で家電製品を購入する役割の者、クレジットカード情報を調達する役割の者、購入した家電製品を処分して換金する役割の者など、役割を細かく分けて犯罪活動を行なっていました。
日本と中国との国境を越え、日本で増えているアパートの空き室に目をつけ悪用しながら、多額の金額を巻き上げていたとみられています。
この犯罪事件で不可解なのが、世田谷区のアパートの空き室の鍵をなぜ中国人の女が持っていたのかということです。
女は、「王(ワン)被告の部下から鍵をもらった」と供述しており、アパートの空き室の鍵や情報を犯罪グループに提供している、悪徳不動産業者が関係していたのではないかとにらんで、捜査を進めています。
▼空き家の窃盗犯罪を防ごう!空き家の防犯対策について
空き家は人気がないため、どうしても窃盗犯罪や空き巣、不法侵入や不要占拠などの犯罪被害に遭いやすくなってしまいます。
宮城県では、空き家の侵入・窃盗犯罪が頻発しており、2018年の被害届の数は、同年8月時点で、63件にまでのぼっています。
空き家の室内にある貴重品や現金、テレビ、パソコン、時計などが狙われるケースが多いようです。
また、広島県では空き家の不法侵入、不法占拠犯罪も発生しています。
2018年4月、愛媛県の刑務所から逃げた受刑者の男が、広島県尾道市の向島にある空き家に不法侵入していた事件が起こっています。
その空き家の周辺では、2週間以上かけて、大規模な捜索活動が行われていました。
誰も住んでいない空き家の窃盗被害は近隣住民も気づきにくく、犯罪者に不法侵入されてもわかりにくいことが浮き彫りになっています。
空き家は誰も住んでいないため、犯罪者から目をつけられやすくなってしまいます。
どうみても誰も住んでいないと判断できる放置された空き家ほど、犯罪者から狙われやすくなるため、しっかりと空き家の管理を徹底することが重要です。
犯罪を招きやすい空き家の特徴には、窓ガラスが割れている、ポストからチラシが溢れている、庭に雑草や草木が生い茂っているなどがあります。
空き家を犯罪から守るためには、人物が頻繁に出入りしている、管理がしっかりされていることがポイントです。
つまり誰からみても、空き家の管理が行われていることが分かればよいのです。
庭の雑草のお手入れを行う、ポストのチラシを回収する、見回りを実施するといった、基本的な空き家の管理を行なってください。
より空き家の安全性を高めたいのであれば、監視カメラ(ダミーでも可)を設置する、センサーライトを設置する、防犯ステッカーを貼る、足音がわかるよう砂利を敷く、窓ガラスに防犯フィルムを貼る、玄関のドアに補助鍵を設置するなどの対策を行えば、犯罪者は侵入しにくくなるでしょう。
▼その家は狙われているかも?空き家と放火犯罪について
誰も住んでいない空き家から失火し、空き家が火災の被害にあう事件も頻発しています。
空き家が火事になる原因は、漏電などもありますが、もっとも多いのは放火によるものです。
管理されていない空き家ほど、放火犯罪の被害に遭いやすくなってしまいます。
空き家は人目につきにくく、燃えやすいゴミや枯れ草、紙などが散乱しているため、放火されやすいのです。
放火や放火の疑いのある犯罪は、人口の多い都市部で発生することが多いことが判明しているため、都市部に空き家を所有しているオーナーは、とくに注意が必要です。
空き家を放火犯罪から守るためには、どのような対策を行うのが有効的なのでしょうか?
放火の被害に遭いやすい空き家の特徴は、門扉がなく、鍵がかかっていないため誰でも簡単に侵入できる、ドアや窓も施錠されていない、空き家のまわりや建物の中にゴミや紙くず、木くずなどの燃えやすいものが散乱しているなどです。
空き家を放火犯罪の被害から守るためには、不審者が簡単に侵入できないように、敷地のまわりをフェンスなどで囲む、空き家の中やまわりに紙くずやゴミなどの燃えやすいものを置かない、夜間は空き家周辺に照明を灯し明るくする。
そして管理者がいることがはっきりわかるよう、表札などを取り付ける、空き家周辺の住民と連携して放火しづらい雰囲気を作るといった対策が必要です。
<空き家も火災保険に加入すべき?>
空き家は放火による火災被害に遭いやすいため、万が一に備えて火災保険に加入しておくと安心です。
しかし多くの損保会社の火災保険は、空き家の場合加入できないことが多くなっています。
また、保険料を払い続けていても、空き家の対象外の保険であれば、「空き家で火災が発生してしまっても、保険金が支払われない」可能性もあります。
空き家を対象にした火災保険は、大手の損保保険会社でも取扱いをしているところが非とても少なく、共済は原則として取り扱いを行なっていません。
現在、加入している火災保険が、空き家を対象としているかどうかは、保険会社に確認すればすぐにわかります。
ただし、火災保険の代理店への確認では、空き家が対象かどうかわからないこともあり、注意が必要です。
▼まとめ
空き家は人の気配がないため、どうしても犯罪の被害に遭いやすくなってしまいます。
逆にいえば、空き家の管理が行き届いており、人が出入りしていることが分かれば被害を防ぐことができます。
しっかりと空き家の管理を実施して、空き家を犯罪から守りましょう。
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空き家で何かお困りのことがありましたら、ぜひご利用ください。