令和元年、「平成30年住宅・土地統計調査」の結果が公表されました。
この調査結果によると、日本全国の空き家の数は、848万9千戸となっており、過去最高となっています。
なかでも、賃貸用でも売却用でもない、「その他の空き家」の割合が上昇していることが、深刻な問題です。
空き家問題を解消するために、国もさまざまな取り組みをおこなっていますが、日本における空き家の割合は、どれくらいを占めているのでしょうか?
この記事では、日本の住宅のなかでの空き家の割合や、どの地域に空き家の割合が多いのかなどについて、解説します。
空き家問題を解消するためにも、空き家の現状について理解を深めましょう。
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全体戸数と、そのうちの日本における空き家の割合
令和元年9月30日に総務省統計局は、5年に一度実施される「平成30年住宅・土地統調査」の集計結果を公表しました。
まずは、日本の総住宅数から見ていきましょう。
平成30年10月1日時点で、日本における総住宅数は、6,240万7千戸であり、平成25年の前回の調査時と比べて、177万9千戸の増加が確認されています。
日本の総住宅数は、昭和38年から一貫して増加し続けており、とくに昭和63年から平成30年までの30年の間では、2,040万戸も増加しています。
この割合は、48.6%とかなり高い割合であることがわかります。
しかし一方で、平成15年以降、増加率に関しては小さくなっており、平成30年の増加率は、わずか2.9%の増加となっています。
平成30年の日本の総住宅数を、居住世帯のある住宅、つまり住んでいる人がいる住宅の有無で見てみると、居住世帯のある住宅は5,361万6千戸で、居住世帯のない住宅は879万1千戸でした。
割合でみると、居住世帯のある住宅は85.9%、居住世帯のない住宅は14.1%です。
居住世帯のない住宅の内訳を見てみると、一時現在者のみの住宅が0.3%、空き家が13.6%、建築中の住宅が0.1%となっています。
このことから、居住世帯のない住宅では、空き家の割合が高いことがわかります。
総住宅数を都道府県別に見てみると、東京都が767万戸と、もっとも多くなっており、続いて大阪府が468万戸です。
神奈川県が450万4千戸、愛知県が348万2千戸、埼玉県が338万5千戸となっており、大都市圏の住宅数がほとんどを占めていることがわかります。
総住宅数の増加数を見ると、前回の平成25年の調査から、東京都が31万戸、神奈川県が15万戸、千葉県が14万戸、埼玉県が12万戸、大阪府が9万戸となっており、関東圏の住宅数が増加していることもわかります。
東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県を合計した増加数は、72万戸であり、日本全国の増加数の4割も占めています。
日本における住宅数は、都心である関東圏に集中して増加していることが顕著になっています。
空き家と割合:空き家事情の変遷と今後
それでは続いて、空き家の割合について見ていきましょう。
日本における住宅のなかで、居住世帯のない住宅のうち、空き家の数は848万9千戸となっています。
平成25年の調査時と比べて、29万3千戸、3.6%の割合で、空き家の数が増加しています。
さらに、日本の総住宅数に占める空き家の割合は、13.6%であり、前回の調査から0.1ポイント上がっており、過去最高の割合となってしまっています。
空き家の数、空き家率の推移は、昭和38年からずっと増加し続けており、年々空き家が増えていることが目に見えてわかります。
とくに昭和63年から平成30年にかけては、空き家増加の割合が高く、30年の間で455万戸も増加しています。
昭和38年は、空き家の数は52万戸、空き家率は2.5%だったのに対し、平成30年は、空き家の数は848万9千戸、空き家率は13.6%にまで増加しているのです。
この数字から、日本における空き家問題が、かなり深刻化していることが理解できるのではないでしょうか?
空き家の内訳について、詳しく見ていきましょう。
「賃貸用の住宅」は、432万7千戸(総住宅数に占める割合6.9%)、「売却用の住宅」は、29万3千戸(割合0.5%)、「二次的住宅(別荘など)」は、38万1千戸(割合0.6%)、「その他の住宅」は、348万7千戸(割合5.6%)です。
前回調査のおこなわれた平成25年の結果と比較してみると、「賃貸用の住宅」は、3万5千戸(割合0.8%)の増加、「売却用の住宅」は、1万5千戸(割合4.9%)の減少、「二次的住宅(別荘など)」は、3万1千戸(割合7.5%)の減少、「その他の住宅」は、30万4千戸(割合9.5%)の増加となっています。
平成15年以降、「その他の住宅」の割合が上昇し続けているのが特徴です。
「賃貸用の住宅」、「売却用の住宅」、「二次的住宅(別荘など)」は、不動産流通される住宅であり、利用される可能性が高く、さほど問題ではありません。
しかし、「その他の住宅」は、いわゆる放置された空き家がほとんどであり、この数の割合が増加していることが、問題なのです。
賃貸用でも売却用でもない空き家をこれ以上増やさないように、国はさまざまな取り組みをおこなっています。
「空き家等対策特別措置法」が施行されたことにより、空き家を放置することは難しくなり、空き家を活用するさまざまなビジネスなども推進されています。
国や自治体による、さまざまな空き家対策により、その効果も見られるようになりましたが、しかしながら空き家の数はいまだ増加しているという結果が出ています。
今後さらに空き家を活用できる方法や、行政による取り組みが必要になりそうです。
空き家と割合:都道府県別の空き家率の解説
空き家率を都道府県別に見てみると、ある傾向があることがわかりました。
平成30年度の空き家率の高い都道府県は、1位が山梨県(21.3%)、2位が和歌山県(20.3%)、3位が長野県(19.6%)、4位が徳島県(19.5%)、5位が高知県(19.1%)、6位が鹿児島県(19.0%)、7位が愛媛県(18.2%)、8位が香川県(18.1%)、9位が山口県(17.6%)、10位が栃木県(17.3%)という結果でした。
甲信地方・四国地方の空き家率の割合が高いことがわかります。
和歌山県・高知県・鹿児島県は、「その他空き家」の数の割合が10%を超えており、深刻です。
やはり、過疎化のすすむ地方ほど、空き家率が高くなっているようですね。
次に、空き家率が低い都道府県を見ていきましょう。
平成30年度の空き家率の低い都道府県は、1位が埼玉県(10.2%)、2位が沖縄県(10.4%)、3位が東京都(10.6%)、4位が神奈川県(10.8%)、5位が愛知県(11.3%)と宮城県(12.0%)、7位が山形県(12.1%)、8位が千葉県(12.6%)、9位が福岡県(12.7%)、10位が京都府(12.8%)という結果でした。
埼玉県・東京都・神奈川県・愛知県などの都心は、空き家の割合が少なくなっているのが特徴です。
沖縄県の空き家率が低いのは、人口増加率が高いことが考えられます。
国土交通省による調査では、駅から1キロ以内、または簡単な手入れをすることで利用可能と考えられる空き家の数は、日本全国で約48万戸あると公表されています。
今後、地方の空き家を有効活用できるような制度や仕組みが整うことが期待されます。
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