一般の不動産と同様に、空き家を売却する場合は、不動産会社に依頼して売買に関わる活動を行なってもらうことがほとんどです。
売却されたら不動産会社に仲介手数料を支払います。
宅地建物取引行法により、さまざまな規制がありますが、仲介手数料も法規制により上限額が決められています。
空き家取引における仲介手数料に関わるトラブルを未然に防ぐためには、法規制や契約について理解しておくことが重要です。
この記事では、空き家取引の際の仲介手数料についてご紹介していきます。
空き家を取引する際の契約について、理解を深めましょう!
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▼空き家取引における仲介手数料の上限とは?
少子高齢化や過疎化により、地方や田舎の空き家の数が増加しており、社会問題となっています。
この深刻な空き家問題対策のひとつとして、平成30年1月1日に「低廉(ていれん)な空き家等の売買取引における媒介報酬額(仲介手数料)の特例」が施行されました。
低廉(ていれん)という言葉は、あまり聞きなれないものですが、価格が安いという意味になります。
ちなみに価格が安いというのは、どれくらいなのか具体的にいうと、400万円未満の空き家です。
<空き家取引時の仲介手数料が変更に>
一般的に不動産会社は、不動産取引で売却するお手伝いをして、無事売却されたら仲介手数料が入るようになっています。
これまでは、不動産取引における仲介手数料は、物件価格が400万円以上の場合、「物件の価格の3%」+6万円が上限でした。
200万円以下の場合は、「物件の価格の5%」、200万円以上400万円以下の場合は、「物件価格の4%」+2万円でした。
この仲介手数料の上限は、国土交通省の「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」により定められていました。
しかし、今回の「低廉(ていれん)な空き家等の売買取引における媒介報酬額(仲介手数料)の特例」により、仲介手数料が見直され、400万円以下の価格の不動産取引では、売主から仲介手数料を上限18万円まで受け取ることが可能となりました。
低廉(ていれん)な空き家が対象となっているため、空き家でも売却価格が400万円を超える場合は、「取引価格の3%+6万円」で、これまでと変更はありません。
ちなみに買主からの仲介手数料に変更はなく、あくまで売主からの仲介手数料のみが変更となっています。
<空き家流通を促進する目的>
これまでは、100万円で空き家を売却取引した際、不動産会社が得ることができる仲介手数料はたったの5万円でした。
不動産取引では、調査や案内などが多くさまざまな書類作成なども必要です。
そのため、人件費や移動交通費がかなりかかります。
空き家は価格が安い物件がほとんどであり、不動産会社の収益となる仲介手数料が非常に安く赤字になってしまう可能性もあるため、不動産会社が空き家の販売活動に消極的だという問題が発生していました。
売却価格が400万円以下の安い空き家取引の仲介手数料を18万円にすることで、不動産会社が空き家取引にもっと積極的になってくれることが期待されています。
しかし、仲介手数料が18万円に変更されても、不動産会社にとっては赤字を賄うほどではないという、厳しい意見もあるようです。
空き家の売却を担当するということは、その空き家の管理も行わなければならないということです。
とくに老朽化の激しい空き家の場合は、水漏れや雨漏りといったトラブルが頻繁に発生するため、その都度不動産会社側は現地に駆けつけ、対応しなければなりません。
また、空き家は売却が難しいケースが多く、販売活動が長引き、売却されるまでなんども現地案内を行わなければならないこともあり、赤字になってしまうのです。
空き家問題の対策としては、まだまだ時間がかかりそうです。
<空き家オーナーにとっては負担に>
低廉(ていれん)な空き家の仲介手数料が上限18万円に上がるということは、空き家を所有する売却側にとっては、負担が増えるということになります。
しかし、なかなか売却できない空き家を所有しており、頭を抱えている空き家オーナーにとっては、仲介手数料が高くなっても、空き家を売却できたということが重要なことなのです。
不動産市場で空き家の流通が進むことで、深刻な空き家問題の解消につながるのです。
▼【空き家の取引額と仲介手数料】売買契約について
不動産会社が受け取ることができる仲介手数料は、宅地建物取引業法により、上限額が決められています。
不動産会社が、上限を超えた仲介手数料を受け取った場合は、法令違反になるため、あってはならないことです。
<仲介手数料は売買契約成立後>
不動産仲介取引では、仲介手数料は売買契約が成立したときに、はじめて請求権が発生します。
そのため、不動産取引の仲介手数料は、成功報酬ともいわれます。
不動産取引における売買契約が成立するまでの過程で、不動産会社に仲介手数料を支払う必要はありません。
売買契約が成立した時点で、不動産会社に仲介手数料の請求権が発生しますが、その支払い条件について協議することもできます。
契約成立時に仲介手数料の全額を支払うこともありますが、不動産売買では契約成立時に仲介手数料の50%を支払い、引き渡し完了時に残りの50%を支払うことが一般的です。
一般的な不動産販売活動である広告費や、現地案内に関する費用は、売買契約が成立したときに発生する仲介手数料に含まれています。
そのため、不動産会社は、通常の不動産販売活動にかかった費用を、仲介手数料とは別に依頼者に請求することはできません。
ただし、通常の不動産販売活動ではなく、特別に依頼された広告宣伝費用や依頼者からの希望により、遠隔地に居住する購入希望者と交渉するために費やした出張費用などについては、例外として仲介手数料とは別途、請求することが認められています。
この例外として仲介手数料とは別に、請求が認められる条件をまとめると、あくまで依頼者の依頼に基づいて発生したものであること、通常の仲介業務では発生しないこと、実費であることのすべてを満たしているケースに限ります。
▼【空き家の取引と仲介手数料】仲介手数料の上限額の計算例
仲介手数料の上限額の計算例を説明しますので、参考にしてみてください。
仲介手数料は、売買価格の金額により上限が定められています。
取引額が200万円以下の場合は取引額の5%以内、取引額が200万円以上400万円以下の場合は取引額の4%以内、400万円以上の場合は取引額の3%以内が上限額です。
また、仲介手数料には、別途消費税が加算されます。
それでは、仲介手数料の上限額の計算例を見ていきましょう。
売買価格が1,000万円の場合、200万円までの部分、200万円以上400万円以下の部分、400万円以上1,000万円以下の部分に分割して、計算します。
200万円×5%で10万円、200万円×4%で8万円、600万円×3%で18万円なので、10万円+8万円+18万円=36万円に消費税をプラスした金額が、仲介手数料の手数料の上限額になります。
上記でも述べたとおり、低廉(ていれん)な空き家(400万円以下)の場合の仲介手数料+調査費用の上限額は18万円です。
▼まとめ
価格の安い空き家の仲介手数料が改正されたのは、空き家問題を解消するためです。
空き家のオーナーにとっては、仲介手数料が上がることは負担になってしまいますが、不動産会社が積極的に空き家の販売活動を行ってくれることを期待しましょう。
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