思わぬ税金が発生することも!空き家と寄付について

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両親が亡くなったあと、急に自宅を相続することになったという話は、よくあります。

相続人が、すでに別のところで居住している場合、相続した住宅には、住む人がおらず、そのまま空き家となってしまうケースが増えています。

空き家には、さまざまな問題があるほか、思わぬ税金が発生してしまうこともあるのです。

必要のない空き家は、寄付することはできるのでしょうか?

この記事では、空き家の寄付について説明していきます。

買い手も借りてもなく、自分にも必要のない空き家の処分に困っている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

空き家の活用に関する記事はこちら⇓

空き家活用が難しいと言われるその理由は?どうやって解決する?

 

思わぬ税金が発生することも!空き家と寄付について



▼空き家の寄付を受け付けている組織・団体

一般的に寄付というと、喜んで受け入れてもらえるというイメージが強いのですが、空き家の場合は、受け取ってくれるところは多くありません。

それでは、どのような組織・団体が、空き家の寄付を受け付けているのでしょうか?

寄付を受け付けてくれる可能性のある組織や団体は、次のものになります。

 

<空き家の寄付先:個人>

空き家の寄付先として、もっとも受け入れてくれる可能性が高いのが、空き家の隣地の所有者です。

隣地であれば、その空き家の寄付を受け入れて、自分の土地を広げることができるため、受け入られやすいといえるでしょう。

空き家は管理に費用がかかるということで、受け入れてもらえない場合は、建物の解体費用や、整備費用などを半分負担するなど、さまざまな交渉により、受け入れてもらえることができるはずです。

ただし、寄付先が個人の場合、受け取る相手に贈与税・登記費用を支払ってもらう必要があるため、それを了承のうえで、寄付することになります。

 

<空き家の寄付先:公益法人>

公益法人とは、非営利で、かつ公益性の高い団体のことで、社団法人・財団法人・学校法人・非営利団体(NPO法人)などがあります。

せっかく空き家を寄付するのであれば、公益に役立つところに寄付したいと思っている人も多いでしょう。

公益法人への空き家の寄付は、それぞれ文化・教育・社会福祉などに貢献する行為として認められるため、税法上で譲渡所得税が非課税になるという、優遇措置があります。

そのため、空き家の寄付の受け入れをしてくれるところも多くなります。

しかしながら、譲渡所得税を非課税にするための手続きが、とても大変です。

空き家の寄付が、公益性の高い寄付であるとして、税務署へ承認申請書を提出しなければなりません。

また、寄付をするときに、寄付証明書を作成しなければならないこともあり、手続きが面倒であるのが事実です。

 

<空き家の寄付先:自治会・町内会>

自治会や町内会も、公益法人と同じように、公益性の高い団体です。

地方自治体に定められた要件を満たしている、認可地縁団体であれば、税金に対する優遇措置があるため、空き家を受け入れてもらいやすくなります。

自治会や町内会に空き地を寄付したいと思ったら、必ずその団体が認可地縁団体であるかどうかを確認するようにしてください。

認可地縁団体ではない自治体や町内会だと、残念ながら寄付を受け入れてもらえない可能性が高くなるでしょう。

 

▼自治体に寄付できる空き家とそうでない空き家

 

空き家の寄付先として真っ先に思い浮かぶのは、その土地の自治体ではないでしょうか?

しかし、自治体は、使用する目的がなければ、空き地の寄付は基本的に受け入れていません。

寄付を受け付けない理由として、不動産が自治体の所有となってしまうと、固定資産税を徴収できなくなってしまうからです。

不動産の所有者が課税しなければならない固定資産税や都市計画税は、市町村の貴重な資金源なのです。

これらの税金が徴収できなくなってしまうのは、市町村にとっては良いことではありません。

また、寄付された空き家は、管理が必要になります。

空き家を管理する費用も、もちろん自治体が支払うことになります。

結論をいうと、空き家の寄付を受け入れることにより、管理する余計な費用が増え、自治体にとっては、支出が増えるだけになってしまうのです。

空き家の寄付の受け付けは、結果的に市町村の財政を悪化させてしまうことになってしまうため、空き家の寄付を受け入れていないのです。

 

<自治体が受け入れる空き家とは?>

上記で説明した理由から、基本的に自治体では空き家の寄付を受け付けておりません。

しかし、空き家の種類のなかには、自治体が寄付を受け入れてくれるものもあります。

先ほども述べたとおり、自治体は、しっかりとした利用目的がある空き家しか、寄付の受け付けを行なっていません。

自治体が、寄付を受け入れてくれる空き家の例としては、倉庫・防災施設・住宅街の小規模な公園(ポケットパーク)・住民の交流場所などがあります。

また、日本古来の町屋の建物だったり、昔ながらの造りが特徴のレトロな商屋などは、文化財として、寄付を受け入れてもらえることもあるようです。

古い建物などは、観光名所として公開して、成功しているケースもあります。

その土地の自治体により、空き地の受け入れに対する対応は異なるため、不明点などがある場合は、所在地の自治体に問い合わせてみるとよいでしょう。

 

▼みなし譲渡所得課税に注意

個人が、法人などに、空き家を寄付するときに注意したいのが、みなし譲渡所得税です。

みなし譲渡所得税について説明する前に、まずは譲渡所得税について理解しておきましょう。

 

<譲渡所得税とは>

譲渡所得税とは、財産などを売ることにより、得た利益のことです。

つまり、財産を所持している間に、値上がりしたということになります。

贈与所得は、収入金額(売った価格)から、売った建物の購入代・建築代・手数料などと、売るときにかかった代金を差し引いた金額になります。

譲渡所得税は、空き家を法人に寄付した場合でも、発生することがあるのです。

空き家の寄付後に、税務署へ手続きをしなかった場合も、譲渡所得税の課税対象となります。

また、認可地縁団体ではない自治会や町内会も、法人と同じように扱われるため、譲渡所得税の課税対象になります。

空き地の寄付は、無償でやり取りを行うにもかかわらず、譲渡所得税が発生してしまう理由は、空き地や土地は、価値変動があるためです。

 

<みなし譲渡所得とは>

空き地となっている住宅を手に入れたときよりも、寄付したときのほうが価値が高くなっていると、時価による資産の譲渡が行われたものと、みなされてしまうのです。

このように、空き地を寄付するときには、お金のやり取りは発生していませんが、譲渡所得が発生しまうため、これを、みなし譲渡所得といいます。

みなし譲渡所得は、不動産の時価から、寄付(譲渡)に要した費用を引き、さらに不動産の取得費を引いた金額で、計算されます。

公益法人や自治体など、公益性の高い法人に空き家を寄付すると、その寄付額にあたる金額は、その年度の総所得から控除することが可能です。

公益法人への寄付の場合も、税務署へ手続きを行うことで、譲渡所得税が非課税になります。

寄付額にあたる金額とは、空き家を寄付した時点での時価ということになります。

譲渡所得の計算式に当てはめて計算してみると、取得金額がわからない土地を500万円の時価で寄付した場合、寄付額は、500万円です。

この場合、みなし譲渡所得は、500万円 - 500万円 × 5 475万円となります。

しかし、非課税となった譲渡所得は、寄付額から差し引きされるため、500万円から、475万円がマイナスされ、25万円となります。

だいたい、この金額は、不明な土地の取得費である5%と同じくらいです。

つまり、土地の時価ではなく、寄付(譲渡)時に要した費用と、空き家の取得費の合計金額が、寄付額として計算されることになります。

また、寄付金の控除金額は、年間の寄付額+年間総所得×40%少ない金額から、2000円引かれたものになります。

 

▼まとめ

空き家の寄付は、受け入れている団体があまりなく、現状では難しいことが多いです。

しかし、国土交通省では、空き家の寄付の推進への取り組みをはじめており、今後は空き家の寄付の受け入れが進むのではないかと考えられます。

今後、空き家の寄付の仕組みが、どう変わるのかに期待しましょう。

 

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