空き家の活用法といえば、賃貸物件として貸し出したり、売りに出したりすることを想像しますよね。
ところが近年は、地域の人々に使ってもらうための施設としてリノベーションする機会も増えました。
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とくに注目されている活用法として「空き家を保育園にリノベーション」する方法があります。
そこで今回は、空き家を保育園にリノベーションするメリットと、実際に活用するまでの方法についてご紹介します。
ぜひご参考までにご覧ください。
空き家を保育園にリノベーション!メリットとは?
現在、都市圏を中心として待機児童問題が社会的に深刻な問題としてニュースなどで取り上げられることが多いですよね。
東京都の発表によると、2021年4月時点において、都内の保育サービスを利用している児童は前年の2020年より3,145人多い32万3,703人、就学前児童人口に対する利用児童数の割合(利用率)は52.3%になっています。
国や自治体が待機児童問題の対策として「認定こども園」の増加や、保育関連の業務に就くための資格の整備などをおこなったことにより、保育所などの待機児童は前年より1,374人少ない969人となっていますが、待機児童数はまだまだ多いのが現状です。
実際に、就学前児童の保育所などの利用申し込み率は年々上昇しており、現在はおよそ2人に1人の児童が利用申し込みをしているため、保育サービスへの需要は高いといえます。
そして、2019年10月からは幼児教育無償化政策が全面的に実施されたため、経済的に保育サービスを利用することができなかった家庭でも利用することができるようになりました。
さらに、共働き世帯が増えているため、今後も保育サービスの利用申し込みは増加していくことでしょう。
このように保育園は需要が高いため、空き家の活用法としておすすめです。
また、保育園として活用すると以下の3つのメリットが得られます。
●利益率や安定性が高い
●初期投資金額がほかの施設と比較して少ない
●各種補助金や税制面での優遇措置を打ち出している自治体が多い
保育園はよほど大きなトラブルがない限り、入園した児童が数年間にわたって利用します。
そのため、賃貸住宅よりも利益率や安定性が高いといえます。
また、基本的に大型設備が必要ないため、初期費用をあまりかけずにリフォームをおこなうことができます。
地域によっては、固定資産税の減税措置を受けることができたり、施設の建設や整備に関する費用の補助金を受け取れる場合がありますよ。
国からの補助金については、詳しくは第3章で解説します。
空き家を保育園にリノベーション!活用事例とチェックポイント
空き家を保育園として活用するメリットがわかったところで、続いて気になるのは活用事例でしょう。
この章では、空き家を使った保育園の活用事例と、リノベーションする前にチェックしておきたいポイントについてご紹介します。
事例①古民家の古き良き雰囲気を活かした保育園
神奈川県鎌倉市にある築58年の古民家をリノベーションして、住居の一室を保育室とした例があります。
この物件は10年ほど空き家でかなり荒れていた古民家でしたが、日本家屋ならではの雰囲気を活かした保育園へリノベーションすることに成功しました。
家屋の中でも日当たりが良い場所に保育室を設け、夫妻のうち保育士をしていた妻が独立して、小さな保育所を運営しています。
専用の玄関と子ども用の水道やトイレを完備し、畑やプレハブのアトリエ小屋もある広い庭では、子どもたちが元気に遊んでいます。
事例②木造2階建てを全面リノベーション
静岡県富士市にある「富士こでまり保育園」は、木造2階建てを全面リノベーションした保育園です。
外観は戸建て住宅の雰囲気を残しつつ、給食室の設置や耐震補強などをおこないました。
ここは富士駅の南にある地域のなかでも、もともと保育サービスの需要が高かった地域で、0~2歳児がすでに10人以上入園しています。
事例③空き家を「おうち保育園」に
空き家をはじめとしたさまざまな空き物件を「おうち保育園」に作り替える事業を展開しているNPO法人もあります。
おうち保育園とは、0~2歳児の子どもたちのための小規模な保育園のことを指します。
おうち保育園の特徴は、少人数だからこそできる手厚い保育や第2のおうちを目指した家庭的な保育が実現できる点です。
また、空き物件を活用して開園しているため、待機児童問題と空き家問題を同時に解決できる事業として、注目を浴びている保育園です。
空き家所有者がご自分で保育園の運営をしなくても、物件の管理者としてこのような保育事業者に貸し出すという活用方法もありますよ。
保育事業をするための3つのチェックポイント
小規模保育所であれば、一般的な保育園に比べて建造物の条件が厳しくなく、住宅からの転用がしやすくなっています。
しかし、とくに放置されている古い空き家の場合、全面的に建て替えなければ保育園として利用できないケースも少なくありません。
空き家を保育園としてリノベーションする場合、確認しておきたいチェックポイントがあります。
まず1つ目のポイントは、家を支えるための構造部分です。
ほかの部分に白アリなどがいても、構造部分が無事であれば住宅そのものを解体するような大掛かりな修繕は必要ありません。
2つ目のポイントは、保育事業をおこなうための設置基準を満たさなければならない点です。
具体的にはトイレ・火災報知器などの設備の充実度や、採光・換気設備などが建築基準法および消防法に適合しているか否かです。
3つ目のポイントは、家庭的保育事業であれば、9.9㎡以上の間取りが条件として定められている点です。
乳幼児が3名を超える場合は、1名あたり3.3㎡の間取りが必要となります。
場合によっては、複数の部屋を統合するなどの間取り変更が必要になる可能性もあるため、一度部屋の広さを確認しておきましょう。
空き家を保育園にリノベーション!どのような補助金がある?
前章でも述べたとおり、空き家を保育園として活用すると、国や自治体から補助金が受け取れる場合があります。
この章では、具体的にどのような補助金を受け取ることができるのか解説します。
空き家などを活用する「東京スマート保育」とは?
東京都では、2013年度に空き家や空き店舗などを活用して小規模保育事業を運用する市区町村への財政的サポート制度「東京スマート保育」を打ち出しています。
6~19人の小規模保育施設の開設準備費を都が1,500万円まで全額負担、賃借料や子ども1人あたりの運営費についても市区町村と折半して一定額を補助する大規模な制度です。
この制度を利用して豊島区に保育所が開園され、その後も杉並区や板橋区が積極的に導入しています。
国からの補助金「保育所等整備交付金」とは?
国土交通省は、保育所などの新設や修理などにかかる費用について「保育所等整備交付金」を交付し、待機児童問題の解消に向けた支援をおこなっています。
具体的には、保育所などの新設や整備、防音対策や防犯対策にかかる費用の2分の1、新子育て安心プランに参加する場合は3分の2を国が負担してくれます。
また、認可保育園は運営費も補助金の対象となり、地域によっては固定資産税・都市計画税の免除や一部助成が受けられます。
補助金の申請は各自治体で受け付けています。
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まとめ
今回は、空き家を保育園にリノベーションするメリットと、実際に活用するまでの方法についてご紹介しました。
空き家を保育園にすることで、待機児童問題と空き家問題を同時に解決することができ、社会的に見てもメリットの大きい活用方法です。
また、補助金や税制面での優遇などのメリットも得られます。
ぜひこの記事を参考に、保育園としての活用を検討してみてください。
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