六甲山や姫路城など多くの名所がある兵庫県には、2018年12月時点で550万人近くの人が暮らしています。
そんな兵庫県でも空き家は増加傾向にあり、空き家が原因でさまざまなトラブルが発生し、社会問題となっているんですよ!
今回は、兵庫県でおこなわれている具体的な空き家対策や、空き家を管理するにはどうしたら良いのかご紹介します。
兵庫県における空き家の現状
まずは、兵庫県内の空き家の現状に関するデータから見ていきましょう。
総務省統計局が5年ごとに実施する「住宅・土地統計調査」ですが、その最新の統計である「平成30年住宅・土地統計調査」では、兵庫県の空き家数はおよそ36万戸、13.4%でした。
同年の全国での空き家率は13.6%でしたので、兵庫県の空き家率は全国平均を少し下回っていることになります。
さらにさかのぼって兵庫県の空き家数と空き家率を見てみますと2008年は空き家数がおよそ33万戸で空き家率13.3%、2013年は空き家数がおよそ35万戸で空き家率13.0%でした。
空き家率について全国平均との比較してみると、2008年は13.1%、2013年は13.5%でしたので、兵庫県の空き家率は全国平均とほぼ変わらないということになります。
一方で、兵庫県内の空き家数および空き家率の推移については、空き家率はほぼ変動していないものの、空き家数は増加傾向にあることがわかります。
また、空き家の種類別のデータを見てみますと、賃貸や売却といった用途が定まらない「その他」に分類される空き家の増加が著しく、2003年から2018年までの15年間のうちにおよそ5万戸近くも増加しています。
特定の用途がない空き家は、放置される可能性が高いと言われており、周辺地域の環境に悪影響を及ぼす「特定空き家」予備軍が増加傾向にあることを意味します。
次に、2013年から2018年にかけての兵庫県内の地域別の空き家率とその推移にも目を向けてみましょう。
こちらのデータでは、同じ兵庫県内でも地域によって空き家率に大幅な乖離が見られることがわかります。(()内の数値は2013年時点)
●神戸地域13.3%(13.1%)
●阪神地域11.8%(11.8%)
●東播磨地域12.7%(12.4%)
●西播磨地域15.3%(14.2%)
●但馬地域17.4%(16.8%)
●丹波地域16.4%(16.2%)
●淡路地域23.2%(21.4%)
まず、地域ごとの比較でみてみますと、西播磨・但馬・丹波・淡路の空き家率がかなり高くなっており、いずれも15%を超しています。
なかでも、但馬・丹波・淡路の3地域は2003年の空き家率がそれぞれ、13.2%、10.6%,17.4%で、この15年間で5%近くかそれ以上空き家率が上昇しており、今後空き家の増加にさらに拍車がかかることが懸念されています。
さらに、2018年の調査結果より県内各地域における住宅の所有関係や建て方についてのデータも見てみましょう。
兵庫県全体の持ち家率は64.8%と全国平均の61.2%とほぼ同じでした。
一方で、地域別の持ち家率は、神戸地域58.2%、阪神地域60.2%、東播磨地域73.8%、西播磨地域71.7%、但馬地域79.0%、丹波地域83.8%、淡路地域77.9%でした。
空き家率の高い播磨・但馬・丹波・淡路の持ち家率は、空き家率の低い神戸・阪神地域よりも高くなっていることがわかります。
また、地域別の住宅の建て方では、神戸地域が一戸建て50.4%、共同住宅46.6%、阪神地域が一戸建て41.0%、共同住宅54.9%でした。
一方、東播磨地域では一戸建て66.1%、共同住宅31.4%、西播磨地域では一戸建て70.0%、共同住宅27.2%、但馬地域では一戸建て81.6%、共同住宅15.1%、丹波地域では一戸建て86.5%、共同住宅11.7%、淡路地域では一戸建て81.2%、共同住宅15.8%という統計が出ています。
空き家率の低い地域では、他の地域よりも共同住宅が多く、一戸建て住宅と半々くらいの割合ですが、空き家率の高い地域では一戸建ての割合が70%を越し、圧倒的に一戸建てが多いことがわかるでしょう。
このように、兵庫県全体の空き家率はさほど変動していませんが、県内の地域別の住宅および空き家に関するデータを見てみますと、地域ごとの住宅事情に偏りが見られ、一部の地域では空き家が著しく増加しているのです。
(参考資料: 参考資料1 兵庫県の住まいに関する資料集-2 (hyogo.lg.jp))
また、兵庫県は2005年から人口の減少が始まり、今後世帯数も減少していくと見込まれているため、それに伴い空き家も増加することが懸念されているのです。
空き家問題に対する兵庫県の取り組みと自分でもできるリスク解消法
平成25年住宅・土地統計調査においても、兵庫県の空き家は戸数・割合ともに増加傾向という結果でした。
この結果を見て、兵庫県は少しでも空き家の数を減らすためガイドラインをまとめたり、空き家対策フォーラムや無料相談会の実施などをおこなっています。
また、空き家を売ったり貸したりすることも、問題解決に有効な活用方法となりますよ。
深刻化する空き家問題をうけて、空き家の売却や賃貸をおこなう不動産会社も増えているので、そうしたところに相談してみましょう。
都市部から地方へ移住したくて安い物件を探している人に、あなたが所有している空き家を気に入ってもらえるかもしれません。
誰かに住んでもらえば、風通しや家の中の掃除・庭の手入れなどもお任せできるので、家が傷みにくくなりますよ。
ただし、賃貸・売買のどちらにしても、最低限人が住める状態でないと借りたい人や買いたい人が見つからない可能性があります。
そんなときは、兵庫県や県内の各自治体がおこなっている空き家活用支援事業をチェックしてください。
この事業は、空き家を住居・事業所・地域交流拠点の利用する際の改修費用の助成を受けられる制度なので、金銭的負担を軽減することができますよ!
助成対象の要件や助成金額は申請先の自治体によって異なりますので、賃貸や売買の仲介を依頼する際は、所有物件が対象となるのか不動産会社にも相談してみてください。
「今は別の場所に住んでいるけど、いずれは所有する空き家に引越して暮らすつもりだ」という人には、管理会社に管理を依頼する方法をおすすめします。
管理会社は、空き家の定期的な巡回とチェックをおこなってくれるので、ご自分ではなかなか管理できなくても安心です。
「でも、管理会社にお願いするとお金がかかるし…」と、思う方もいるかもしれません。
しかし、空き家を適切に管理せずに放置していると、いつか特定空き家と判定されて多額のお金をペナルティとして支払わなければいけません。
おそらくその金額は、管理会社に依頼して1年間払う金額よりかなり高いです。
実際に、2016年3月に明石市が行政代執行した老朽化した空き家の解体費用は、約100万円かかりました。
また、2017年9月に丹波市が略式代執行として取り壊した空き家の解体費用は、約200万円もかかったとのことです。
行政代執行や略式代執行によって空き家の解体がおこなわれた場合、所有者が不明なら費用は自治体負担となりますが、所有者が判明している場合は当然その人に請求されます。
もしあなたがこれだけの金額を請求されることになれば、管理会社に任せておけば、と後悔するかもしれません。
そう考えると、管理会社に任せる方がずっと楽ではないでしょうか。
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