以前、空き家を解体して更地にすると固定資産税が最大で6倍になるという話をしました。
関連記事:固定資産税6倍の恐れも!空き家の固定資産税について3大NG
更地にすると固定資産税が高くなりますが、このまま誰も住む予定がない空き家を放置し続けると、特定空き家に認定されて高い税金を納めることになる可能性があります。
しかし、空き家を解体しても、その更地を農地に転用すれば、税金が高くならずに済むのです。
今回は、空き家解体後の更地を農地として転用することについてご紹介します。
01空き家解体後の更地を農地に転用することができる!?
一般的に農地というと、野菜や果物などの農作物を作るための畑をイメージする人が多いでしょう。実際、農地法という法律でも「農地とは耕作の目的に供される土地」と定義づけられています。
簡単に説明すると、畑を耕して肥料を与え作物を育てている土地は農地とみなされます。
一方、空き家が建っている土地は農地ではありません。
しかし、きちんとした手続きを行えば空き家解体後の更地を農地に転用することができるケースがあるのです。
02空き家解体後の更地を農地に転用するメリット
ここからは、空き家を解体した後の更地を農地に転用する場合のメリットについてご紹介しましょう。そのメリットの一つとして、農地は更地より固定資産税が安くなるケースが多い点が挙げられます。
更地の固定資産税は土地の評価額×税率1.4%となりますが、農地に転用すれば農地の条件によって税の優遇措置が受けられますので、税額が安くなることが多いのです。
農地に課税される固定資産税は、農地の条件に応じて税額の計算方法が異なります。
農地の分類区域とそれぞれの固定資産税の計算方法について見ていきましょう。
まず、農地は大きく分けて、一般農地と市街化区域農地に分類できます。
市街化区域農地は都市計画法が定めた市街化区域内の農地を指し、固定資産税の優遇措置を受けることができます。
市街化区域内の農地はさらに、特定の区域内にある特定市街化区域農地とそれ以外の市街化区域農地に分けられます。
なお、自治体指定の保全農地は一般農地となります。
それでは、それぞれの固定資産税の計算方法について見ていきましょう。
一般農地・生産緑地地区内農地
(1)土地の評価額×1.4%(2)前年度の課税標準額×負担調整率×1.4%
※(1)と(2)のうち、金額が少ない方を固定資産税とする。
一般市街化区域農地
(1)土地の評価額×1/3×1.4%(2)前年度の課税標準額×負担調整率×1.4%
※(1)と(2)のうち、金額が少ない方を固定資産税とする。
特定市街化区域農地
(1)土地の評価額×1/3×軽減率×1.4%(2)(前年度の課税標準額+今年度の評価額×1/3×5%)×1.4%
※(1)と(2)のうち、金額が少ない方を固定資産税とする。
上記の式に登場する負担調整率ですが、固定資産税の急な上昇を回避するために税額計算には調整措置が設けられており、その調整率は負担水準の区分に応じて決まります。
それぞれの負担水準は次のような式により導くことができます。
一般農地の負担水準=前年度の課税標準額÷地価
市街化区域農地の負担水準=前年度の課税標準額÷地価×1/3
負担調整率は負担水準に応じて決まり、負担水準が0.7未満ですと調整率は1.10、負担水準が0.7~0.8ですと調整率は1.075、負担水準が0.8~0.9ですと1.05、負担水準が0.9以上の場合には調整率は1.025となります。
空き家解体後の更地を農地に転用することで、高い税金を払わずに済むのは嬉しいですね。
03空き家解体後の更地を農地転用する場合の手順とは?
空き家解体後の更地を農地に変更して固定資産税の軽減措置を受けるには、その土地が農地であると公的な承認を得る必要があります。そこでここからは、空き家を解体した後の更地を農地転用する際の手順についてご紹介しましょう。
現況農地として活用する
農地と認めてもらうには、その土地を誰が見ても農地だと判断できるようにしておかなければいけません。農地と判断されるためには、更地を耕して農業が行える状態(現況農地)にすることが重要です。
ただし、耕すといっても家庭菜園程度のサイズだったり、木を植えただけだったりする状態は現況農地と見なされません。
また、空き家の一部を残して解体し更地の大部分を耕したとしても、同じ敷地に家と畑があれば現況農地と認められない可能性があります。
そうならないためにも、空き家を農地に転用する場合は敷地全体を農地に転用しましょう。
地目変更をおこなう
固定資産税の軽減措置を受けるなど、公的に農地として認めてもらうためには、更地を現況農地としたら地目の変更をおこなう必要があります。毎年の固定資産税は同年1月1日の土地の状況をもとに課税されますが、現況地目を反映した課税地目に応じて課税されます。
そのため、固定資産税に反映される課税地目を農地とするためには、「現況地目変更届」の申請により、その土地を現況農地として承認してもらう必要があります。
こちらの申請には農業委員会による証明書の発行も求められますので、各自治体に確認するとよいでしょう。
また、課税地目だけでなく、登記簿に記載された登記地目の変更も忘れずにおこないましょう。
不動産登記法により、宅地を農地転用した場合、1か月以内に登記地目を変更することが義務付けられており、これに違反すれば、10万円以下の罰金を求められる可能性があります。
空き家を農地へと転用する際には、現況農地として活用し、現況地目を変更するだけでなく、必ず登記地目を変更するようにしましょう。
04空き家解体後の更地を農地に転用する際の注意点は?
固定資産税が安く済む点が嬉しい空き家解体後の更地の農地転用ですが、その手続き方法以外にも注意すべき点があります。それは地域の農家さんたちと協力する、という点です。
空き家解体後の更地を農地にするということは、これからそこで農業を行うことを意味します。
その際、既に同じ地域で農業を営んでいる農家さんたちがいると、共同の農業用水路が引かれていたり作業場が造られていることがありますが、それを無断で使うことはできません。
他にも、地域の農家さんたちで決めたルールなどもありますので、それを知らずに勝手に農業を始めてしまうとトラブルになる可能性もあります。
農業は地域全体が協力して行う産業なので、無用なトラブルを避けるためには、農業を始める前に必ず地域の農家さんたちの理解と協力を得ましょう。
この記事も読まれています|固定資産税6倍の恐れも!空き家の固定資産税について3大NG
05まとめ
空き家解体後の更地を農地にすることは、固定資産税の負担が減るメリットがあるものの、個人で手続きを行うにはなかなか難しいものです。その点、不動産会社に相談すると農地転用に関する疑問点を解決しやすく、手続きもスムーズに行うことができます。
全国空き家管理ナビでは、空き家解体後の更地を農地に転用したいと考える人の相談を受け付けている不動産会社を検索することができますよ。
現在空き家を所有していて、解体後に農地へ転用することを検討している人は、ぜひ全国空き家管理ナビで不動産会社を検索してご相談ください!
住まいをお探しの方はこちらをクリック↓