日本で空き家が増え続けている理由は色々ありますが、その中には「なかなか流通しない」ということもありますよね。
これまで空き家管理ナビで紹介してきたように、そのまま賃貸にしたり売却したり、はたまた取り壊して新しくアパートを建てて経営したりと、活用方法は色々あるんです。
また、移住者やUターンする人の中で「多少古くてもいいから、安く住めるところってないかな?」と探している人向けに空き家情報を提供する空き家バンクもありますよね。
ところでこの空き家バンクですが、これまでは都道府県や市区町村単位など、地域別で取り組んでいるところが多いものでした。
ですが、実は今以上に空き家を流通させるために、全国版の空き家バンクができたんですよ!
空き家流通に欠かせない空き家バンクはどのくらいある?
全国版空き家バンクの話をする前に、まずは各地域にはどれくらい空き家バンクがあるのか見ていきましょう。
国土交通省の調査によると、2017年時点で空き家バンクを実施している自治体の割合は、約4割でした。
また、この時に未実施だったものの、空き家バンクを準備中だったり、今後設置予定と回答した自治体も2割ほどありました。
ということは、実施済み・準備中・設置予定の数字を合わせると、全国の半分以上の自治体が空き家の流通に対して積極的に取り組んでいるんですね。
(参考資料:全国の空き家・空き地情報がワンストップで検索可能となります!)
ただ、一方で各地域版の空き家バンクはサイトの構成がバラバラで統一性がなく、公開している情報の項目にもバラつきがありました。
そのため、物件情報を探している人にとっては「A市はここまで細かく情報が載っているけど、B市はざっくりした情報だけしかないから比較しづらい」というような不満もありました。
また、公開されている情報がバラバラ=知りたい情報にマッチする物件を探しづらく、そうした点も空き家が流通しづらい理由の一つでした。
そこで国土交通省は、そうした問題を解決してもっと空き家を流通しやすくするための取り組みとして、全国版空き家バンクの設立を決めたのです!
全国の空き家を流通させるために国土交通省がおこなう取り組み
全国版空き家バンクは、国土交通省が公募して決定した民間事業者に運用してもらうものです。
この取り組みには、先ほど挙げた地域別の空き家バンクが抱えていた問題を解決して、もっと物件を探しやすく、そして流通しやすくする目的があります。
全国各地にある空き家情報を一つにまとめて、掲載する物件情報の項目も同じにすることで、物件を探している人がよりスムーズに条件に合う物件を見つけることができますよ。
また、空き家流通を促進するために欠かせない存在が、不動産会社(宅建事業者)です。
空き家を貸す・売る・管理するといった業務は、やはり専門知識がある不動産事業者の協力がないとできません。
そのため国土交通省は、全国版空き家バンクの設立と同時に、各地域の不動産事業団体が連携して地元にある空き家の流通を促進できるように支援することも決めました。
不動産のプロが、空き家を所有していて活用方法に困っている人と空き家を探している人の間に入ってマッチングをすることで、ミスマッチを防ぐことを目的としています。
物件を任せる人も、物件探しをお願いする人も、プロが間を取り持ってくれる方が安心ですよね!
(参考資料:国土交通省 空き家・空き地等の流通の活性化の推進)
2018年の空き家流通への取り組みは?
2017年は、全国版空き家バンクの設立や地域の空き家流通モデルの構築などがおこなわれましたが、この取り組みは2018年も引き続きおこなわれます。
特に地域の空き家流通モデルの構築では、地方公共団体と連携して地元にある空き家の流通や活用を積極的に取り組む不動産事業団体に対して支援をおこないます。
支援をおこなう事例としては、移住希望者に向けたリフォームの提案や物件の内覧会の実施、空き家所有者に対する相談会の実施などがあります。
また、設立初年度は試行運用だった全国版空き家バンクも、今年度から本格的に運用が始まりました。
試行運用開始当時は約200の自治体が参加していましたが、本格運用開始直前の2018年3月末日時点では、なんと492もの自治体が参加を表明したそうですよ!
一番参加表明をしている自治体の割合が高いのが富山県で、87.5%にも上っています。
こうしたところを見ると、やはり空き家をどうにかして減らしたいという悩みは全国共通なんだということが分かりますね。
空き家の流通促進に向けた取り組みに関する情報共有
また、最近の取り組みとしては、国土交通省が2020年3月に発表した「地域の空き家等の流通モデルの構築に関する調査検討業務」があります。
この事業では、全国の空き家の流通促進を目的として、全国各地の地方公共団体と宅建業者などの連携による地域の空き家等の利活用の取り組みをピックアップし、その事例を分析・紹介されています。
最後に、この「地域の空き家等の流通モデルの構築に関する調査検討業務」の事業内容をご紹介しましょう。
地域の空き家等の活用に取り組む団体の募集・選定
この事業では、地域の空き家や空き地の利活用に向けて、宅建業者と地方公共団体が連携して取り組んでいるケースについて、2019年5月から6月にかけてインターネット上で募集をおこないました。
そして、事業の主旨への適性、実現や継続の可能性、先進性や独自性、具体性などの基準を基に、寄せられた取り組みを評価し、モデル事業者を選出しました。
40の団体の応募のうち、20団体が選ばれています。
これらの団体の取り組みの一部をご紹介しますと、たとえば、東京都西東京市の「ウェスト東京空き家ラボ」の取り組みでは、地域の空き家に看板を設置して、空き家の利活用に対する意識を高め、利活用に関する相談数や利活用の機会の拡大を目指した事業展開をおこないました。
さらに、ホームページ上での物件所有者と利用希望者のマッチング、シンポジウムの開催などを通じ、空き家の利活用を促進する取り組みをおこなっています。
愛知県名古屋市などに拠点を置く「空き地実家相談センター」は、高齢者向け住宅を運営する企業や地域の企業と連携して、空き家所有者、所有予備軍向けのセミナー集客を図っています。
取り組み内容の分析
これらの20団体の取り組みについて、国土交通省はそれぞれの概要を紹介したうえで、それぞれの取り組みを「情報発信・意識改革」「利活用の需要・用途の創出」「人材育成・事業体制の確立」などに分類し、評価しています。
成果や課題のまとめと情報提供
さらに、国土交通省はこれらの事業期間の終了後、各団体の取り組みの成果を報告書にまとめ、各団体に資料を送付し、それぞれの団体から他団体に質問があれば取り次ぐなど、情報共有をおこないました。
また、参加団体間の情報共有だけでなく、事業について広く周知するために、インターネット上に事業と各団体の取り組みを紹介するホームページを作成しています。
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まとめ
国土交通省は2017年、これまで地域それぞれで対策をおこなっていた空き家流通の問題を解決するため、全国共通の取り組みを開始しました。
その後、物件の流通をさらに進めるべく、仕組みが作り上げられるとともに、全国各地の団体の取り組みの調査・分析や情報共有もおこなわれています。
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