2018年3月現在、915万人以上の方が暮らす神奈川県。
横浜中華街やみなとみらい、湘南・箱根など、観光スポットとしても人気の場所が多く、神奈川県=都会というイメージを持っている人もいるのではないでしょうか。
しかし、そんな神奈川県も、実は空き家の増加に悩む自治体の一つなのです!
人口が1,000万人に到達しそうなほどたくさんの人が暮らしている神奈川県なのに、どうして空き家が増えているのでしょうか?
神奈川県の空き家数は全国3位!
5年に1回調査が行われる住宅・土地統計調査によると、2013年の神奈川県の空き家数は約49万戸あったそうですが、実はこの数、全国で3番目に多い数字だそうです!
ちなみに、その年の住宅ストック数は約376万戸なので、全ての住宅のうち約13%が空き家だった計算となります。
(※住宅ストック数は、戸建て+集合住宅の数)
都心部を見れば豪華なタワーマンションがあり、ニュータウンを見れば素敵な新築一戸建てが多く建てられているのに、10軒に1軒以上の割合で空き家があるなんてかなり驚きですね。
ちなみに、神奈川県の空き家率は、1988年が7.2%だったのに対し、2013年は11.2%にまで上昇しています。
もちろん、この間も住宅ストック数は増えていますが、それに比例するかのように空き家率も増加しているのです。
神奈川県の空き家率が高くなった理由って?
東京都に隣接し、日本で唯一3つの政令指定都市(横浜市・川崎市・相模原市)を持つほど栄えているはずの神奈川県なのに、どうして空き家率が高くなっているのでしょうか?
その答えの一つとして考えられるのが、人口の減少です。
以前、『地域別で空き家推移率が高いのはどこ?その理由を考えてみた』という記事でもお話しましたが、人口の減少は空き家数を増やし、空き家率を高くする要因につながります。
「でもさっき、神奈川県の人口は1,000万人に到達しそうって言ったよね?」と思う人もいるでしょう。
確かに人口数で見ると、首都の東京に次いで全国で2番目に多いのが神奈川県です。
しかし、これを県内のエリア別で見てみると、人口が増加しているのは川崎・横浜地域圏、県央地域圏、湘南地域圏の3つのエリアのみで、それ以外のエリアでは既に減少しているところもあります。
しかも、人口が増加している川崎・横浜地域圏、県央地域圏、湘南地域圏も2020年にピークを迎え、その後は徐々に減少に転じると予測されています。
ちなみに神奈川県全体では、2018年に人口が913万人に到達するものの、それを境に減少する見込みだそうですよ。
そうなると、ますます空き家増加が加速するかもしれません。
そして、人口に関してもう一つ心配な点が、高齢者の人口増加です。
神奈川県では、2000年時点の65歳以上の人口が13.8%、75歳以上の人口が5.2%となっていました。
それが2015年には、65歳以上の人口が24.1%、75歳以上の人口が11.1%にまで上昇していたそうです!
これは、5年に1回行われる国勢調査を基にした結果ですが、そこから推測した2040年の65歳以上の人口は35.0%、75歳以上の人口は19.1%となっています。
高齢者が増えるということは、入院や介護施設への入所などで家を適切に管理できる人が少なくなり、やがては空き家になってしまう可能性もあるのです。
参考資料:神奈川県における住生活の現状と課題及び基本的な方針
神奈川県が行っている空き家対策の取り組みは?
神奈川県では、こうした深刻な状態を解消するため、様々な空き家対策の取り組みを行ってきました。
たとえば、横浜市では2016年に「横浜市空家等対策計画」を策定し、総合的な空き家対策に取り組んできましたが、少子高齢化の進行に伴い、今後も空き家の増加が想定されるため、2019年には「第2期横浜市空き家対策計画」を策定しました。
「第2期横浜市空き家対策計画」では、空き家の流通・活用促進に向けて相談体制を強化する、管理不全の空き家への指導を強化するなどのアップデートをおこなっています。
横浜市の空き家対策方針では、空き家を保育施設や福祉施設として利用する方法を採用しています。
参考資料:横浜市空家等対策計画
この方法は、空き家を適切に管理できるようになるだけでなく、待機児童解消にも一役買うことができます。
また、横浜市で暮らすことを希望する子育て世帯や若い人の定住を支援するため、横浜市内にある空き家を活用する事例もあるそうです。
子育て世帯が空き家に住む場合、それが『子育てりぶいん事業』認定の空き家なら、世帯の収入に応じて家賃の一部を助成してもらえます。
もちろん条件は色々ありますが、当てはまる場合はちょっとお得に住むことができるので嬉しいですよね!
「多少古くても良いから、安い家を探している」という子育て世帯には、必見の制度ではないでしょうか。
これ以外にも、横浜市では「空家所有者のための活用スタートアップ支援事業補助金」や「空き家の発生を抑制するための特例措置」などの空き家対策に取り組んでいます。
「空家所有者のための活用スタートアップ支援事業補助金」は地域の活動団体に空き家を貸し出す所有者を支援する制度です。
地域の活動団体が空き家を活用する際、空き家を活用できる状態とするには、清掃や家財処分などに手間や費用がかかります。
「空家所有者のための活用スタートアップ支援事業補助金」は所有者がこうむるこれらの負担を減らし、空き家の利活用を促進するため、横浜市がこれらにかかる費用を補助する制度です。
補助の対象となるのは空き家の所有者で、対象となる建造物は横浜市内にある一戸建て住宅の空き家となります。
空き家の所有者がこのような建造物を活動団体に継続して1年以上、地域活用を目的として貸し出す際、上限を20万円として家財処分や樹木の剪定に関わる費用の1/2の補助を受けることができます。
一方、「空き家の発生を抑制するための特例措置」は相続により発生した横浜市内の空き家に対する譲渡所得の特別控除制度です。
この制度は、相続日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人が居住していた家屋を相続した者が、その家屋や家屋取り壊し後の土地を譲渡した場合、その家屋や土地の譲渡所得から3000万円を特別控除する措置です。
制度の適用を受けるためには、2016年4月1日から2023年12月31日の間の譲渡であること、被相続人が相続直前まで対象となる家屋に居住していたことなど、いくつかの要件を満たすことが求められます。
これらの条件を満たした上で、家屋所在地の市町村にて「被相続人居住用家屋等確認書」の交付を受け、確定申告をおこなう必要があります
横浜市以外では、県で初めて特定空き家の行政代執行を実施した例(横須賀市)や、移住希望者向けに物件情報を提供する例(湯河原町)などがあります。
最近は都心から離れて郊外で暮らすことを望む人も増えているので、そうした人達が住むための家を安く提供できるのは良いですね。
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まとめ
オシャレで多くの人で賑わっているイメージが強い神奈川県。
そんな都会的な街でも行政が積極的に対策に取り組むほど、空き家問題は深刻なんですね。
神奈川県在住で空き家を持て余している人や、県外在住だけど神奈川県内に実家があって空き家になってしまっているという方は、ぜひ各自治体の対策と取り組みをチェックしましょう。
もしかすると、意外な活用法が見つかるかもしれませんよ。
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