2017年3月、東京都と神奈川県を結ぶ私鉄を運営する京浜急行電鉄株式会社(以下:京急)より、ある画期的な事業参入が発表されました。
その事業とは、京急が資金0円で沿線にある空き家物件を借り受けて、それをリノベーションした上でサブリース物件として貸し出すというもので、その名も『カリアゲ
京急沿線』です。
『カリアゲ 京急沿線』の仕組みとポイント
『カリアゲ 京急沿線』の仕組みは、以下の通りです。
①京急沿線にある空き家物件を、京急電鉄がオーナー様より借り上げてリノベーションを行い、施工完了後にサブリース物件として貸し出す。
施工は株式会社京急リブコ(以下:京急リブコ)及び、株式会社ルーヴィス(以下:ルーヴィス)が担当。
②リノベーション後、サブリース物件のオーナー様募集と建物管理を京急不動産株式会社(以下:京急不動産)が、新規入居者募集をルーヴィスグループがそれぞれ担当。
この事業のポイントは、リノベーションの費用負担を京急が負担することと、物件のオーナー様はサブリース中の6年間、物件の稼働状況に関わらず賃料の1割を京急から受け取れることです。(賃料は京急の査定結果に基づきます。)
通常、空き家物件のリノベーションを行う場合、その費用はオーナー様が負担することが一般的です。
また、リノベーションをしてもすぐに空き物件が成約済になるとは限らず、空室が埋まらなければ、当然オーナー様の減収は避けられません。
しかし『カリアゲ 京急沿線』では、入居者募集や建物管理の他、リノベーション費用の負担削減と固定の報酬支払いをオーナー様に対して行うため、安定した空き家活用ができるのです。
リノベーションにかかる費用と、空室が埋まらない場合の減収は、空き家のオーナー様にとっては大きな負担となりやすい部分です。
『カリアゲ 京急沿線』では、そうしたオーナー様の負担を軽減し、より有効的に空き家を利用できるように考えられた策と言えるかもしれません。
『カリアゲ 京急沿線』では、一戸建て・アパート・マンションなどの居住用物件の他、店舗・ビル・倉庫などのリノベーションも可能だそうですよ。
空き家の管理にお困りのオーナー様や、空き家の再利用法を模索中のオーナー様は、検討してみる価値がありそうですね。
(カリアゲ 一戸建てのリフォーム例)
『カリアゲ 京急沿線』を立ち上げた経緯
東京都心部から羽田空港・横浜・三浦半島を結ぶ路線を運行する京急では、以前から一部地域の空き家増加を懸念していました。
空き家の増加は街の景観を崩して魅力をなくしてしまうだけでなく、防犯面でも悪い影響を地域に与えかねません。
そこで京急は、築古物件のリノベーションとサブリースを行うルーヴィスと共に、空き家再利用の開発を行うこととなりました。
2005年に創業したルーヴィスは、リノベーションやメンテナンス・賃貸管理などを行う会社で、築古物件のリノベーションもこれまでに700件を超える実績を持っています。
一方、京急は沿線の土地を分譲しているため、地元のオーナー様とのつながりが深い点が強みです。
そこに、ルーヴィスの空き家リノベーションとサブリースのノウハウが加わることで双方の強みを活かし、より魅力的な空き家の再利用と地域活性化につながると考え、共同事業を行うことに至ったそうです。
(カリアゲ 賃貸マンションの例)
まとめ
『カリアゲ 京急沿線』は、2017年4月より本格的に事業がスタートしたばかりですが、既にテレビ番組にて取り上げていただいたことで、反響が増えているようです。
地元のことをよく知る鉄道会社と、空き家管理・再利用のプロがタッグを組んで行う『カリアゲ 京急沿線』の今後の展開に注目です。