空き家をなぜ壊さない? 解体すると困る理由を解説

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空き家を相続した場合、思い出のある家屋を壊したくないとためらう場合があるかもしれません。

しかし、空き家は維持管理にコストがかかり続け、老朽化して近隣に迷惑をかけると損害賠償を請求される恐れもあります。

今回は、空き家を壊さない理由と対策について解説します。

01空き家が抱えるリスク

空き家が抱える大きなリスクは、金銭的な負担が増えることです。
空家等対策の推進に関する特別措置法(空き家特措法)によって空き家が特定空き家や管理不全空き家に認定されると、固定資産税が約6倍になるだけでなく危険な空き家の取り壊し費用を負担しなければならない場合があります。

また、税負担以外でも、空き家が周囲へ悪影響を与えると管理責任を問われることもあるでしょう。
雑草が伸びて景観が悪化したり、老朽化した建物が倒壊したり、不法投棄や犯罪の温床となったりすると、地域で大きな問題となります。

また、住宅としての資産価値も低下するので、活用しないままだと維持管理費用だけが膨らんでいくことになるのです。
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02空き家を壊さない6つの理由

空き家にはリスクがあるのに、壊さないのにはいくつか理由があります。
それぞれが根深い問題を抱えているので順に解説していきます。


1.解体費用がかかる

空き家を解体する費用の相場は、立地条件などにより異なりますが、構造によって概ね次のとおりです。

坪単価 30坪の場合
木造 3~5万円 90~150万円
鉄骨造 5~7万円 150~210万円
RC(鉄筋コンクリート)造 6~8万円 180~240万円

解体工事の際には、砂ぼこりなどの飛散防止や防音対策、廃材や家具を廃棄する費用などがかかる場合があります。


参考:相続会議 実家の解体費用はいくらかかる? 費用の相場と安く抑えるポイントを解説


2.解体すると固定資産税が上がる

空き家を壊すと、軽減措置が無くなるので固定資産税が上がります。

本来、空き家などの建物や土地を所有していると、固定資産税を支払う必要があります。
ただし、次のように宅地に建物が建っている場合には減額される制度があるのです。

区分 固定資産税 都市計画税
小規模住宅用地
(200平方メートルm2以下の部分)
評価額の1/6 評価額の1/3
一般住宅用地
(200平方メートルを超える部分)
評価額の1/3 評価額の2/3

この減額制度は建物が空き家の場合にも適用されます。
従って、空き家を解体して更地にするとこの制度の対象外になり、固定資産税の負担額が約6倍になってしまうのです。

また、空き家が市街化区域内にある場合は、都市計画税も課税されているのでさらに負担が増えます。


参考:東京都主税局 固定資産税・都市計画税(土地・家屋)


3.再建築が認められない場合がある

空き家が古いと、取り壊した後再び建築ができない場合があります。

再建築不可とされてしまう代表例は、建築基準法上の接道義務を満たしていない場合です。
建築基準法では、建物を建築する際には幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければならないという接道義務があります。

昭和25年11月以前に建築された建物を建て替える際には、建築当時は無かった接道義務が適用されます。
十分な道路幅を確保できないなどの場合には再建築できないので注意しましょう。


4.思い出のある自宅を解体したくない

相続した空き家は、無くなった親など親族との思い出が詰まっている場合もあるでしょう。
実家を手放したくないと思うのも無理はありません。

また、先祖代々引き継いできた家であれば、自分の代で処分することをためらうこともあります。
そのため、空き家を壊したくないという心理が働くのも自然なことです。


5.中古より新築の方が人気が高い

日本では新築住宅への人気が高く、中古住宅を購入するのはまだまだ少ない傾向があります。

国土交通省と総務省が行った2018年の調査では、持ち家住宅70万戸のうち新築住宅は77%、中古住宅は23%となっています。
その後も、全体のうち新築住宅が占める割合は8割弱で推移する傾向は変わりません。

多くの住宅が流通しているにもかかわらず多くの人が新築住宅を選ぶ理由は、日本人の新築好きの嗜好が背景にあります。


参考:ニッセイ基礎研究所 住宅を購入する人は中古住宅について知るべきである-国内住宅市場を簡単に説明する


6.相続で揉める

親族が亡くなると、通常相続人が話し合って財産を引き継ぐことになります。

現金や預貯金・株式等の現金化が容易なものは相続割合で分配しやすいです。
しかし、土地や家屋などの不動産は現金化するのに時間と費用がかかるため、取扱いが難しい傾向があります。

相続人同士で共有物件として相続してしまうと、将来物件を売却する際に他の共有者の同意が必要となるため、相続登記をためらう場合もあります。
このため、空き家は登記されず放置されてしまうこともあるでしょう。
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03空き家を壊すメリット

空き家を壊すことにより、維持管理のコストや管理責任から解放されるとともに、固定資産税の負担からも逃れられるメリットがあります。

空き家は放置しておくと物件の維持管理に費用や手間がかかり、近隣に対する管理責任が発生するリスクがあります。
倒壊などで周辺住民に迷惑をかけてしまったり、管理が行き届かず空き家特措法に基づいて管理責任を問われたりすることもあるでしょう。
「管理不全空き家」や「特定空き家等」に認定されると、撤去費用を求められたり固定資産税の軽減措置が適用されなかったりすることも考えられます。

故人との思い出が残る空き家であっても今後活用する予定がなければ、解体や売却によりきちんと整理することで残された相続人の負担がなくなります。
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04まとめ

全国的に空き家が増えていますが、これまで説明したとおり壊さない理由には次の6つがありました。

 1.解体費用がかかる
 2.解体すると固定資産税が上がる
 3.再建築が認められない場合
 4.思い出のある自宅を解体したくない
 5.中古より新築の方が人気が高い
 6.相続で揉める


これらの理由により空き家の処分をためらうこともありますが、ただ放置するのではなく敷地を活用したり売却したりして、必要な人に利用してもらうことが大切です。

地方自治体では空き家の解体撤去に関する相談や補助制度を設けているところが増えています。
また、昨今は空き家問題についてアドバイスする専門家もいます。
実家の処分で悩んでいる方は、自治体や専門家のアドバイスを受けるのもよいでしょう。


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