空き家特別措置法が注目される背景からも、空き家管理は行政と連携するべきという先入観があります。
行政と連携した空き家の活性化は有効な方法ですが、一方で補助金や法律との兼ね合いになってしまう行政に対し、民間と組んで空き家再生に取り組む方法もあります。
民間と連携することは柔軟な発想も許容されることから、空き家の活性化に最適です。
民間業者と組んで空き家再生に取り組む際は、どのようなポイントがあるのでしょうか。
01民間と組む空き家は利益を生む
建物・不動産に対し、日本は長らく新築信仰が強いといわれてきました。築年数の経過した建物は価値が上がり、空き家率も上がるという流れです。
ところが最近は欧米のように、築年数の経過した建物も再評価され、空き家に居住する方も目立つようになっています。
この時に建物をリノベーションして、建物の再生を目指す方法があります。
所有者にとってもリノベーションは空き家の価値を高め、入居して貰うことで利益を生むメリットがあります。
02空き家の活用を促したコロナ禍
空き家と民間にて連携したケースを考えたとき、2020年から世界を覆った新型コロナ禍の影響が欠かせません。それまで当然だった都会への人口流入や人と人の密接した生活環境が大きく変革しました。
空き家の活性化における周辺環境も変化しています。
仕事環境においては、ワーケーションという言葉が流行しました。
ワーケーションとは、地方の空き家などをオフィス用に解放し、リモートワークを推奨するというものです。
インターネットにより、どこでも仕事できる環境が広がっています。
自然豊かで食生活に恵まれた地方に人を呼び込む過程では、やはり空き家を居住用に格安で貸し出す動きも広がっています。
2023年に入りコロナ禍はいよいよ落ち着きを見せていますが、定着したワーケーションは今後も評価され、継続していくことでしょう。
東京や大阪などの都市圏から通勤1,2時間の都市に生活拠点を置き、週1のオフライン以外はワーケーションを基本型とするハイブリッド型も増加しています。
03民間業者と組んで空き家を活性化するときの注意点
では所有者は民間事業者と組んで空き家の再生に取り組むとき、どのようなことに気をつければいいのでしょうか。収入に繋がるニーズが本当にあるか
空き家の民間活用を検討するときに気をつけたいのは、本当に収入に繋がるニーズがあるのかという点です。たとえば空き家活用で補助金を受け取るときには、リノベーションしての収入は問われず、補助金の要件にもとづいて改修しているか、活用しているかが問われます。
誤解を恐れずに書けば、民間活用の際は行政指定の要件などはどうでもよく、そのリノベーションが収入が得られるものでなければ、費用の持ち出しになってしまいます。
不動産業者など、専門的な知識を持つ方との連携は必須といえるでしょう。
ただ、数年前にあった民泊ブームのように、必ずしも既存の商流に限定する必要がないのも大きな特徴といえるでしょう。
用途地域や建築条件などを軽視しない
建物を建てるときは用途地域など、遵守しなければならないルールがあります。これから土地を購入したり、自己所有の更地に建築物を建てるときは留意するのですが、空き家をリノベーションするときは見逃されることも多いため、注意が必要です。
また現状の建築物に回収するときに、様々な条件が課される場合もあります。
注意不足で余計な確認費用や建築費用がかかる可能性もありますので、空き家の再生を検討する際は注意しましょう。
前項にて不動産業者が不要な旨を示唆していますが、このようなリスクを回避するには終始専門家に相談することで安心することができます。
04空き家のリノベーション工事にも住宅ローン減税が使える
新築住宅を購入したときに活用できる住宅ローン減税ですが、リノベーション工事にも適用することができます。ここ数年で関連制度が変わっているため、空き家の活性化を検討している方は注意するようにしましょう。
特に注意したいのが新耐震性基準です。
1982年1月以前の建築物は耐震性が保証できないとして、改修の場合に住宅ローン減税を原則使うことができません。
一方で1982年以前の建築物も、空き家の所有者が自ら耐震証明をすることによって、減税対象になる可能性もあります。
このあたりもリノベーションの条件と同様、専門家との連携をお勧めします。
空き家の改修を実行してから減税条件に該当しなかったという事態は避けたいものです。
民間業者と組んで空き家を活性化するポイントをお伝えしました。
大筋は民間との連携だけに十分な収益が期待できるかと、何かしらの理由でリノベーション工事が中断するなどのリスクが介在しないかという点です。
両視点をしっかりと吟味し、所有する空き家にメリットを生み出すようにしていきましょう。
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