空き家問題その根本的な原因とは?社会的問題と所有者の問題から解説

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「空き家問題」という言葉がすっかり定着してしまいました。
確かに市街地を眺めると、この家は空き家だな、と思われる家も散見されます。

この空き家問題、いったい何が原因なのでしょうか。
空き家問題がクローズアップされる前から、根本的な原因はあったはずです。

ここでは空き家問題の原因を、社会的な問題と所有者の問題に分けて考えていきます。
こうすることで日本の抱える空き家問題がより深く理解することが可能です。

01日本全体が抱える社会的な問題

まずは社会的な問題です。
日本の構造的な問題といってもよいでしょう。
その中で人口減少問題はよく知られた問題。にもかかわらず住宅数は増えていることは矛盾ともいえます。

こうした日本が抱える問題を空き家からみていきましょう。


日本の人口が減少している

日本の人口が減少局面に入ったことはよく知られています。
この事実は総務省統計局が発表している「人口推計(令和4年(2022年)10月確定値、令和5年(2023年)3月概算値)」でも裏付けられています。

総人口
2003年 127,694,000人
2008年 128,084,000人
2013年 127,414,000人
2018年 126,443,000人
2023年 124,490,000人
(概算値)


人口が減少している状態では、家屋は余ってくるのは当然のことです。
一方で核家族化も進んでいます。
家屋一軒当たりの居住者は減っているため、人口減だけでは空き家問題を語ることはできません。
こうした事情はあるものの、大きな流れとして人口減は根本的な原因とされています。


世帯数の増加以上に住宅数が増加している

人口が減少している一方で、住宅の数が増えている。
日本はそんな矛盾を抱えた状態です。
総務省統計局が発表している「平成30年住宅・土地統計調査」では総住宅数は次のようになっています。

年度 総住宅数
2003年 5,389万戸
2008年 5,759万戸
2013年 6,063万戸
2018年 6,242万戸


先ほど日本の人口が減少していることをお話ししました。
日本は人が減っているのに家が増える、おかしな状態なのです。

この原因のひとつは不動産業界のビジネスモデルに起因します。
分譲住宅の会社やマンションデベロッパーは家を新築し、販売し続けなければ倒産してしまうのです。

いわば自転車操業。
この自転車操業のために住宅数は増加しています。
これには日本人の気質も追い風です。
日本人には新築住宅を欲しがる傾向があります。
新築信仰といってもよいでしょう。
こうした気質があることから販売会社は新築住宅やマンションを作り続けているのです。


固定資産税対策のため

税制が空き家問題を助長している側面もあります。
固定資産税のことです。
固定資産税は土地上に居住用の建物が建っている場合には、土地の税額が6分の1となります。
一方で空き家の建物部分に対する税金は非常に安価です。

このため、建物を取り壊すと税金が6倍近くになってしまいます。
使っていない不動産の税金はなるべく払いたくないもの。皮肉にも固定資産税の制度が空き家問題を助長しているのです。


所有者不明不動産の問題

空き家問題とともに今後大きな問題となってくるのが所有者不明不動産の問題。
所有者が不明の物件では、そもそも空き家をどうにかする以前の問題です。

空き家問題に所有者不明問題が絡むと、多くの場合そこから状態を好転させることが難しくなります。
意思表示もできませんし、費用の出どころもないからです。


このまま放置しておけば、こうしたどうにもできない物件が増えていくおそれがあります。
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02いつかは自分も?所有者の問題

続いて所有者の問題です。
空き家所有は管理や活用の面で多くの問題を抱えています。
空き家の問題を抱えている人は多くいますが、自分がある日その仲間入りする可能性もあります。
誰にでも降りかかってくる空き家の問題を、空き家の所有者が親の場合と子どもの場合でそれぞれ考えていきましょう。


親が自宅を所有している

親が自宅を所有している場合は自分たちで居住しているケースがほとんどです。

問題はさまざまな理由で住めなくなった場合。
具体的には入院や介護施設などへの入所です。

こうした場合、いつか自宅へ帰りたいと考えていたり、最期は自宅で迎えたいと考えていたりするものです。
あるいはもう住まないことはわかっているのに、思い出が詰まっている家を売りたくないと考えることもあります。

こうした、いわば感情的な原因で空き家となっている家も少なくありません。

また、認知症になっているなど利活用の判断ができない場合も。
親の年齢や健康状態によっては、今居住している自宅も簡単に空き家になってしまうのです。


子どもが実家を所有している

次に子どもが実家を所有している場合です。

親と同居している場合などは大きな問題とはなりません。

そのまま住み続ければよいからです。
問題は実家が空き家となっている場合。
実家が空き家になっている主な原因は子どもが独立していて実家に住む予定がない、どこに相談すればよいか分からない、相続などで兄弟同士が揉めていることなどが考えられます。

また、実家の活用に強い罪悪感があることもあります。
子どもが実家から離れている場合は、どうしても手続きやアクションが遅れてしまうものです。
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03まとめ

空き家問題の原因を考えてきました。

日本の構造的な問題から所有者の感情的な問題まで多岐にわたります。
家というものはきちんと管理していかないと短期間で状態が悪くなってしまうもの。
近い将来、日本の家屋の何割もが空き家となる試算もあります。

今回まとめた原因を短期間で解決することは困難ですが、空き家を少しでも減らしたいものです。

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