いま日本は著しい人口減少が進んでいます。
総務省が発表した令和4年の人口動態統計速報によると、令和4年の出生数は799,728人です。
対する令和3年の動態調査による死亡者数は1,439,809人で、毎年64万人が減少している計算となります。
人口60万人台の都市といえば静岡市や千葉県の船橋市などです。
地域の中核となっている都市が100年でも10年でもなく、1年で無くなっている計算になり、強い衝撃を覚えます。
この著しい人口減少は、国や自治体の空き家対策においても大きく影響しています。
01人口減少ならば空き家が増えるのは必然か
空き家を誰も居住していない家屋と仮に考えると、1年に人口が約60万人減るならば空き家が増えるのは必然です。詳細は後述しますが、空き家は賃貸市場の変化によっても、相続によっても発生します。
人口減少の波によって賃貸アパート用途としても、売買用の中古住宅用としても、流通が鈍ることは間違いないでしょう。
また居住用ではなく、賃貸用途とならない建物は管理が後回しとされるため、国が自治体が懸念する空き家となる可能性も高くなります。
うちの土地のなかにあるけれど誰も住んでいない、という家屋が該当します。
02空き家対策特措法では外観重視
急増する空き家への特効措置として、2014年(平成26年)に空き家対策特措法が制定されました。空き家に対する行政措置を許可する内容です。
空き家所有者の情報取得や適性助言の勧告、いずれも不発に終わった場合は行政権限により建物を解体できる行政代執行の権利が付与されました。
現行の空き家対策特措法はいわば外観重視です。
治安的・衛生的に問題がある場合、所有者へのコンタクトが開始され空き家としての対策が進みます。
一方で空き家にせざるを得ない所有者の都合もあります。
今後は外観重視ではなく、所有者や周囲の縁者から空き家である理由をレクチャーし、空き家にならないようにするフォローも一段と大切になります。
では空き家となってしまう理由には、どのようなものがあるのでしょうか。
ほかに居住用住宅がある
自宅を建てたけれど会社から異動を命じられた。セカンドハウスとして夏休みなど特定のあいだ使っている場合は、空き家となります。
定期的に来宅し清掃できていればいいのですが、昨今のコロナによる遠方への外出自粛などで定期訪問が滞ると、空き家として行政に認定されるケースも増えているようです。
別荘はあるけれど、赴く地域の反発を留意して数年通っていなかったという方も多いでしょう。
今後、コロナ禍が明けるにあたって頻度を上げて訪問しましょう。
固定資産税の削減回避のため
空き家が増える原因に税金の減免措置があります。所有地に上物(建物)を建築していることで、固定資産税が1/6、都市計画税が1/3削減されます。
既に建物としての利用価値を満たしていないにも関わらず、税金軽減を持続するために建物を維持しているケースも数多くあります。
なお前述した空き家対策措置法により、空き家として認定(特定空き家)となった場合は、これらの減免措置の対象外となります。
相続の問題で空き家となっている
もうひとつの大きな理由が相続です。親が亡くなったとき、相続資産に不動産があれば承継の対象となります。
兄弟間で不動産を分割する例も多いのですが、専門家の視点ではこの分割承継は相続トラブルの温床になるという指摘が根強いです。
複数の兄弟で分けた不動産は、改修や売却の折に意見がまとまらないことがあります。
意見が相違した結果、双方棚ざらしになった状態で不動産が放置され、空き家になってしまう可能性があります。
法定相続人(不動産を承継する権利のある相続人)が2人や3人の場合ならばいいですが、築年数を重ねた建物のなかには相続人が10人を超え、それぞれが不動産の所有権限を持っているケースもあります。
この場合、当該土地や建物における相続トラブルの解決はとても難しいものです。
03所有者の悩みを解決する空き家対策が必要
相続トラブルによる空き家問題を解決するには、所有者が向き合うトラブルの解決が不可欠です。国や自治体は税理士や不動産の専門家と連携しながら、相談者が亡くなることによって空き家が発生するリスクを摘み取ることが重要です。
また人口減少のなかでは、ニーズを得ない賃貸物件の拡大建築にも警鐘を鳴らすべきと考えられます。
1日の乗降客数が100人にも満たない駅の近くに大型の賃貸アパートを建てたとしても、ニーズはあまり見込めません(便宜上自動車の必要性は除きます)。
全国行脚して営業する建築会社やハウスメーカーによる非現実的な案で親族が検討している場合は、デメリットをしっかりと可視化し、判断することが大切です。
建設会社側の出してくる税理士や、または金融機関さえもあらかじめ話が出来ていることさえ有り得ます。
人口減少が急伸する国だからこそ、根拠なき楽観論で不動産を購入・建築すべきではなく、綿密な計画を立てることこそが、資産のなかに空き家を増やさないための有効性のある方法といえます。
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