空き家所有者の責任とは?トラブル事例とリスクの回避方法を解説!

カテゴリ:
空き家の管理方法
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相続などで空き家を受け継いだ後は、維持していくための管理が大変ですよね。

しかし管理が面倒だからと放置していると、思わぬトラブルにあう可能性があります。

今回は、空き家所有者の責任と発生しやすいトラブルの事例、責任を負うリスクを回避する方法について解説いたします。
ぜひ、参考にご覧ください。

01空き家所有者が負う責任とは?

不動産を所有すると、私有財産としての権利が得られる反面、外部に与える影響についてさまざま法的義務や責任を負うことになります。
空き家については、主に以下のような責任や義務が発生するため、注意しておきましょう。


倒壊時の責任

老朽化した空き家は、そのまま対策せずに放置していると倒壊する恐れがあります。
もしも空き家が倒壊し、通行人や近隣住民に損害を与えてしまった場合、所有者は損害賠償責任を問われる可能性が高いです。

実際に、民法第717条「土地の工作物等の占有者及び所有者の責任」の法律に基づき、所有者が損害賠償請求されたケースもあります。

また、地震や台風などの自然災害による倒壊の場合でも、予測可能なレベルの災害であれば対策を怠っていたとして損害賠償責任が発生することもあります。
出典:民法第717条 土地の工作物等の占有者及び所有者の責任



空き家管理の責任

空き家所有者または管理者は、空き家対策特別措置法の第3条で、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないように空き家等を適切に管理するよう規定されています。
上記責任を果たさずに、放置したことで周辺に悪影響を及ぼす空き家になってしまった場合は「特定空家」と指定され、行政から改善指導を受けることになります。

改善指導を受けたにも関わらず何も対処しなかった場合は、最終的に行政代執行によって空き家の解体工事がおこなわれ、かかった費用を請求されるケースもあるので気を付けましょう。

出典:国土交通省 空家等対策の推進に関する特別措置法(平成 26 年法律第 127 号)の概要


相続登記の義務化

所有者不明土地問題を防ぐために、法改正によって令和6年4月から相続登記が義務化されることになりました。
この相続登記の義務化によって、不動産の相続人は相続を知ったときから3年以内に相続登記の申請をしないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。

令和6年4月以前に相続で譲り受けた不動産も対象となり、制度のスタートから3年以内に登記申請をしなければなりません。
現在相続によって空き家を承継してまだ相続登記をしていない方は、早めに申請しておきましょう。


関連記事:2024年から相続登記が義務化される?法改正の経緯や影響について解説
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02空き家所有者が責任を問われるトラブル事例とは?

では実際に、空き家を所有しているとどのようなトラブルによって責任を問われる可能性があるのか気になるところでしょう。
主に起こりうるトラブル事例は以下の3つです。


事例①破損・倒壊による事故

老朽化した空き家に起こりうるトラブル事例としては、家屋の破損・倒壊による事故です。
実際に、約30数年もの間管理がされていない借地上の空き家の屋根や外壁の一部が崩壊し、隣家の外壁の一部を損壊した事例がありました。

事故が起こった際は、近隣住民が自治体に苦情・相談をし、行政が空き家所有者(借地権者)や土地所有者を調べて、条例に基づく指導文を通知します。

最終的に空き家を解体・撤去することになり、借地権者の借地権放棄により土地所有者が責任を負って解体除去費用を負担することになりました。
出典:国土交通省「空き家対策における事例集」



事例②放火や火災による事故

空き家は、人の気配がないことから放火犯に狙われやすく、実際に2017年に千葉県にて木造の空き家が放火された事件も大きくニュースで取り上げられました。
放火の場合は、基本的に所有者が責任を問われることはありません。

ただし、空き家を放置していたことによって放火犯の不法侵入がしやすい状況だった場合は、所有者に重大な過失があったとして責任を問われる可能性があります。

漏電などによる火災の場合は、失火責任法や民法第717条による工作物責任に基づき、所有者にどのくらいの過失があったかで判断されることになります。
出典:失火責任法
出典:民法第717条 土地の工作物等の占有者及び所有者の責任



事例③空き家からの悪臭や植栽の越境

放置された空き家はゴミの不法投棄がされやすく、悪臭を放って近隣住民が迷惑を受けることがあります。

また、伸び放題となった植栽が隣家の敷地に越境するなどのトラブルもよくある事例です。

このような被害を受けた近隣住民からの苦情・相談を受けて行政が空き家所有者に改善指導をする場合もあれば、訴訟を起こされるケースも少なくありません。
悪臭を理由に損害賠償が認められる事例は少ないですが、あまりにひどい場合は慰謝料を請求される可能性があるため十分に気を付けましょう。
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03空き家所有者が責任を負うリスクを回避する方法とは?

では、空き家所有者がトラブルによって責任を負うリスクを回避するには、どのような方法があるでしょうか。
主なリスク回避方法は、以下の3つです。


①保険に入る

前章でも述べたとおり、空き家を所有していると倒壊や火災のリスクがあります。
もしも、空き家所有者に責任があると判断された場合は、高額な損害賠償費用を請求されかねません。

そんなときのために、空き家を対象とした火災保険や地震保険に加入することをおすすめします。

火災保険に加入すると、補償内容によっては火災だけでなく、風災・水災などによる被害もカバーしてくれますよ。


関連記事:空き家でも保険に入るべき?無保険のリスクと地震保険について!


②空き家の活用や売却

空き家を賃貸物件として活用するのもおすすめです。
空き家状態にしておくよりも誰かに貸し出すことで、衛生環境を保つことができるだけでなく、不審者の不法侵入を防ぐ効果も期待できるでしょう。

また、空き家が老朽化しているなどで活用がむずかしい場合は、売却する方法もあります。
古家付き土地として売り出せば、土地を探している方に売却できる可能性もありますよ。

自治体によっては空き家の解体費用に対して補助金を出しているところもあるため、更地にして売却したい場合は、空き家がある地域の自治体に問い合わせてみると良いでしょう。



③空き家管理サービスの利用

「空き家を物置として維持したいが、管理する時間がない」という方については、空き家管理サービスの利用をおすすめします。

空き家管理サービスとは、不動産管理会社やセキュリティー会社などが空き家所有者に代わって空き家を定期的に管理するサービスのことです。

プランによって管理内容はさまざまですが、一般的には月に1回の頻度で家屋と敷地内を巡回し、換気や通水、郵便ポストの投函物を確認してくれますよ。

ちなみに、空き家管理ナビでは、全国の不動産管理会社が検索いただけます。
空き家管理サービスを利用するためにお近くの不動産管理会社を探したい方は、ぜひ空き家管理ナビをご利用ください。


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04まとめ

空き家所有者には、民法や空き家対策特別措置法の規定により空き家を適切に管理する法的義務や責任があります。

もしも空き家を適切に管理せずに放置し、老朽化による倒壊や漏電による失火が発生した場合は、損害賠償責任を問われる可能性があります。
思わぬトラブルによって損害賠償責任を負わないためにも、保険の加入や日頃から空き家を管理・活用するなどの対策を取りましょう。


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