近年よく耳にするESG投資ですが、空き家再生にも関係があることをご存じですか?
ESG投資で空き家の再生が活発化すれば、環境だけでなく地域活性化にもつながります。
そこで今回は、ESG投資とはなにか、メリット・デメリットや空き家再生に取り組んでいる事例をご紹介します。
ぜひ、参考にご覧ください。
ESG投資とは?空き家再生との関係
そもそもESG投資という言葉は知っていても、詳しい内容は知らない方もいらっしゃるでしょう。
ESG投資とは、投資対象の企業について、財務状況だけでなく環境や社会問題に配慮し、積極的に情報開示をして公正に取引しているかどうかを基準に投資先を選定する投資のことを言います。
環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字をとってESGと言い、ESG投資は欧米諸国をはじめ世界的に広がりを見せています。
近年は日本でも注目されており、とくに不動産投資の分野において社会的寄与への期待が高まっています。
実際に、国土交通省でもESG投資の普及促進に向けた取り組みをおこなっており「ESG不動産投資・環境不動産ポータルサイト」にて勉強会の資料や調査内容が公表されています。
不動産のESG投資とは?
では、不動産のESG投資ではどのような不動産に投資をしているのでしょうか。
国土交通省の「ESG不動産投資のあり方検討会 中間とりまとめ」によると、ESG投資の対象となる個別不動産の開発・運用の取り組み例は以下のとおりです。
●健康性・快適性の向上
●災害への対応
●地域社会・経済への寄与
●超少子高齢化への対応
●省エネルギー性能の向上と再生可能エネルギーの活用
また、個別不動産の取り組みを支える企業やファンドについては、透明性のある情報開示や内部統制の確保、ダイバーシティの実現を求めています。
つまり不動産のESG投資では、人と環境への配慮がされていてかつ信頼性のある組織が運用・開発している不動産へ投資をするということになります。
ESG投資と空き家再生
ESG投資では、投資家から集めた資金を空き家・空き店舗などの改修工事費用に充ててカフェや民泊などに再生し、投資家に収益を分配するという選択肢もあります。
空き家を再生するための改修工事は多額の費用がかかることもあるため、個人ですべて賄うとなると大変です。
そこでESG投資で多数の投資家から資金を集めることができれば、空き家所有者の負担が減り、利活用が促進されるでしょう。
また、空き家を地域活性化に役立つような場所に再生することで、地方創生にも貢献することができます。
このようにESG投資で放置された空き家を利活用することで、環境問題や地域社会・経済への寄与が実現できるのです。
空き家再生に貢献!ESG投資のメリット・デメリット
ESG投資で空き家再生が促進できる可能性がわかったところで、メリット・デメリットも気になるところでしょう。
ESG投資で空き家再生に投資するメリット・デメリットは以下のとおりです。
ESG投資のメリット
主なメリットは以下の3つです。
●環境に優しい
●長期的に資産運用ができる
●地域活性化に貢献できる
放置された空き家は、家屋の老朽化による崩壊リスクや害虫・害獣が住み着くことによる衛生環境の悪化が問題視されています。
そこでESG投資で空き家再生が促進されると、上記の問題を解決することができ、環境に優しいというメリットがあります。
また、投資家にとっても空き家再生事業をおこなう組織に投資することで、長期的に安定した資産運用をおこなうことができます。
それは、空き家再生は社会的意義のある事業のため今後も需要が見込めるうえに、企業への信頼性が担保されるからです。
さらに、ESG投資をすることで地域活性化に貢献することができ、周辺環境だけでなく社会的利益にもつながります。
ESG投資のデメリット
反対に、主なデメリットは以下の3つです。
●投資対象を選ぶのに時間がかかる
●短期的リターンが少ない
●ノウハウが必要
ESG投資は、前述のとおり「人と環境への配慮がされていてかつ信頼性のある組織が取り組んでいる事業」へ投資をするため、専門知識がなければ投資先を選ぶのがむずかしい点がデメリットです。
ただし、国土交通省ではESG不動産投資を促進するために認証制度を設ける予定で、ESGの認証制度が普及すれば投資対象を選びやすくなるでしょう。
ESG投資で環境に配慮した空き家の改修工事をするとなるとコストがかかるため、投資家にとっては短期的リターンが少ない点もデメリットです。
そのため、ESG投資をする際は、中長期的な目線で投資をする必要があります。
また、空き家を再生して地域活性化と長期的な収益化を目指すには、専門的なノウハウも必要です。
もしも専門的なノウハウがない状態で空き家再生をおこなうと、うまく利活用されなかった場合にコストだけがかかり、プロジェクトが頓挫してしまう可能性もあります。
ESG投資で空き家再生を計画したり、投資したりする場合は、上記デメリットも考慮したうえで判断すると良いでしょう。
ESG投資で空き家再生に取り組んでいる事例とは?
ESG投資のメリット・デメリットがわかったところで、具体的にESG投資でどのように空き家が再生されているのかも気になるところでしょう。
実際に、空き家再生に取り組んでいる事例をご紹介します。
不動産投資型クラウドファンディング
不動産投資型クラウドファンディングとは、インターネットを活用して投資家から資金提供を受け、その資金をもとに物件を購入したり運営をするクラウドファンディングのことです。
投資家は物件の売却益や家賃収入などの利益に応じて分配金を得ることができます。
空き家再生の改修費用においても、不動産投資型クラウドファンディングで資金調達をおこなうことができます。
実際に、不動産投資型クラウドファンディングの仕組みを利用した空き家再生ファンドは増えており、ESG投資先として投資家から注目を集めています。
空き家再生ファンド
空き家再生ファンドと聞いても、どのような仕組みで運用されているのか気になるところでしょう。
空き家再生ファンドは、まず初めに運用会社が空き家再生のプロジェクトを立ち上げ、オンライン上で投資家を募集します。
投資家は、運用会社と匿名組合契約を結ぶ形で、空き家再生のプロジェクトに出資をします。
一般的には、1口1万円から出資することができます。
募集期間が終了すると、運用会社は集まった資金で空き家再生のプロジェクトを実行し、空き家の利活用で得た収益を投資家に分配します。
空き家の利活用とは、たとえば古民家をリフォームして賃貸物件として貸し出したり、売却したり、地域のコミュニティ拠点として運用したりなどです。
このように、ESGに配慮した不動産投資型クラウドファンディングで空き家再生の資金を持続的に調達することができれば、空き家問題の解決だけでなく、魅力的なまちづくりも実現することができますね。
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まとめ
今回は、近年話題のESG投資とはなにか、メリット・デメリットや空き家再生に取り組んでいる事例をご紹介いたしました。
ESG投資先として空き家再生ファンドも続々と立ち上がっており、投資家から注目を集めています。
ぜひ、この記事を参考に空き家の利活用をご検討ください。
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