住宅弱者を空き家で救える?空き家を活用した取り組みをご紹介

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空き家の管理方法
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住宅弱者を空き家で救える?空き家を活用した取り組みをご紹介

近年は、空き家の増加が問題視される一方で、少子高齢化による「住宅弱者」の問題も深刻です。
住宅弱者とは、さまざまな事情により住宅を確保することが困難な方々のことを言います。
そこで、政府は2017年に空き家を活用して住宅弱者の支援をおこなう制度を設けました。
今回は、空き家の活用が住宅弱者の支援につながる可能性や、取り組み事例をご紹介します。
ぜひ、空き家の利活用を検討中の方は、参考にご覧ください。

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空き家で支援ができる?「住宅弱者」とは?

住宅弱者とは、以下のような事情により、賃貸物件の入居を断られたり、家を買えなかったりする方々のことを言います。

●低所得者
●高齢者
●障がい者
●生活保護受給者


上記のような事情を抱えた住宅弱者は、経済的に不安定な傾向にあるため、大家さんや売主から契約を避けられることが多いです。
経済的に不安定な方と契約を結ぶことは、貸主や売主にとって収入が得られない可能性があり、リスクが大きいからです。
また、単身の高齢者の場合、孤独死のリスクもあります。
たとえば、孤独死に気づかずに数か月経過した場合は、事故物件扱いとなる可能性があり、次の入居者が決まりにくくなってしまいます。
そのほかにも、同性愛者や外国籍などの理由で差別や偏見を受け、住宅の確保が困難となる方々もいます。

住宅弱者が生まれる背景

空き家は年々増加しているのにもかかわらず、なぜ住宅弱者と呼ばれる方々がいるのか疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
その背景には以下の3つの問題があります。

●公営住宅が足りない
●高齢者や一人親世帯の増加
●不動産会社やオーナーの理解不足


住宅弱者と呼ばれる方々は、これまで公営住宅を利用することで住宅を確保してきました。
しかし、少子高齢化による財政難で、近年は公営住宅を増やすことが難しく、足りない現状にあります。
また、住宅弱者となりやすい単身高齢者世帯や一人親世帯も増えています。
そして、不動産会社やオーナーによっては「トラブルを起こすのではないか」「家賃を滞納するのではないか」などの住宅弱者に対する理解不足もあります。

空き家活用で支援できる

このような住宅弱者は、余っている空き家を活用することで支援することができます。
政府の制度を利用して空き家を住宅弱者に提供することで、社会的支援に貢献でき、空き家の放置を防ぐこともできます。
住宅弱者の問題は決して他人事ではありません。
住宅弱者が増えれば、社会保障費や税金が膨らむ一方です。
そこで空き家を活用すれば、住宅弱者の心身の健康にも寄与でき、貧困問題の解決や空き家問題の解決につながるでしょう。

空き家を活用した「住宅弱者」支援とは?

国土交通省は、住宅弱者の増加と公営住宅不足の問題に空き家を活用すべく、2017年に「住宅セーフティネット制度」を設けました。

住宅セーフティネット制度とは

住宅セーフティネット制度とは、空き家を活用して住宅弱者を支援する制度となります。
これまで政府は、住宅弱者と呼ばれる方々には、低家賃で借りることができる公営住宅を提供してきました。
しかし近年は、高齢者が増えたことによる公営住宅の応募の増加や、それに伴って公営住宅を増やすことができない現状から、その補完として空き家を活用した制度が新たに設けられることとなりました。
この制度では、主に以下の3つに取り組んでいます。

●住宅弱者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度
●登録住宅の改修や入居者への経済的な支援
●住宅弱者に対する居住支援


空き家の所有者は、セーフティネット住宅の登録をすることで、住宅弱者に空き家を貸し出すことができます。
セーフティネット住宅の登録は、都道府県・政令市・中核市の登録窓口に申請書を提出する形でおこないます。
また、登録する空き家の改修工事が必要な場合は、申請することで改修費用につき一部補助金が出ます。
入居者の家賃補助もあるため、貸主も借主も双方安心して賃貸借契約が結べるというメリットもあります。
さらに、住宅弱者の住まいに関する相談や家賃債務保証に関する相談も、居住支援法人や居住支援協議会が支援をおこなっています。
このような相談先があると、住宅弱者にとっても、大家さんにとっても安心ですね。

制度の対象者と対象物件とは

住宅セーフティネット制度では、住宅弱者のことを「住宅確保要配慮者」と呼びます。
住宅確保要配慮者とは、主に以下に該当する方々を指します。

●低所得者
●被災者
●高齢者
●障がい者
●子育て世帯


低所得者とは、おおむねの月収(政令月収)が15万8千円以下の方を言います。
被災者については災害が発生してから3年以内の方が対象となります。
上記の方々にくわえて、外国人や地方公共団体が地域の実情に応じて定める方も対象となります。
また、セーフティネット住宅は、耐震性があり居住面積が25平米以上など、入居者が安心して住めるように、一定基準を満たす物件が対象となります。

空き家を活用した住宅弱者の支援事例と課題とは

空き家を活用して住宅弱者の支援ができることがわかったところで、では実際にどのような事例があるのか気になるところでしょう。
最後に、空き家を活用した住宅弱者への支援事例と、これからの課題についてご紹介します。

空き家を活用した支援事例

東京都豊島区では、「としま・まちごと福祉支援プロジェクト」による、空き家の利活用と貧困の解決に取り組んでいます。
このプロジェクトでは、空き家をセーフティネット住宅として整備したり、空き店舗を活用したコミュニティ拠点を作ったりしています。
住宅弱者に住む場所をただ提供するだけではなく、地域の方々も利用できるようなコミュニティ拠点を作ることで、住宅弱者の孤立を防いでいます。
また、佐賀県においても、休眠預金等活用事業を利用した空き家の利活用と住宅弱者支援をおこなっているところがあります。
休眠預金等活用とは、休眠預金等活用法に基づき、2009年1月1日以降の取引から10年以上取引のない預金等を社会課題の解決や民間公益活動の促進のために活用する制度のことです。
休眠預金等活用事業は、2020年度には佐賀県で空き家の利活用と住宅弱者支援をおこなっているNPO法人が採択されました。
そして助成された資金を活用して、空き家をリフォームし、住宅弱者の支援をおこなっています。
具体的には、空き家を活用して、住宅弱者が24時間いつでも利用できる食料品や日用品が保管されるスペース「佐賀コミュニティフリッジ」をオープンしました。
このように空き家を活用することで、住宅弱者の居住支援だけでなく、生活支援までおこなえるのは素晴らしいですね。

住宅弱者支援における課題

空き家を住宅弱者支援に活用するのは、社会的貢献度が高く、素晴らしい取り組みと言えますが、課題もいくつかあります。
1つ目は空き家の改修費の問題です。
住宅セーフティネット制度によって改修費の補助金はありますが、支給額は上限が決まっており、大幅に改修工事をする場合は資金が足りないでしょう。
2つ目は、家賃の問題です。
セーフティネット住宅の家賃は相場よりも安く設定しなければならず、入居者の家賃補助はあるものの、収益性を考えると貸主にとってはリスクが高い点が課題です。
しかし、家賃についてはシェアハウスにすることで、一人に貸すよりもまとまった金額が得やすいでしょう。

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まとめ

今回は、空き家の活用が住宅弱者の支援につながる可能性や、取り組み事例をご紹介いたしました。
住宅弱者とは、高齢者や低額所得者など、さまざまな理由で住宅を探すのが難しい方々のことです。
空き家をセーフティネット住宅として登録すると、住宅弱者の支援につながります。
ぜひ、この記事を参考に、空き家の利活用をご検討ください。
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