空き家を所有していると「あと何年もつのだろうか」「いつまで所有しておいたほうが良いのか」と悩まれるのではないでしょうか。
空き家を物置として使用していたり、将来的に活用したりする予定があるのであれば、長持ちさせたいところでしょう。
そこで今回は、空き家を所有している方に向けて、空き家の寿命や長持ちさせる方法、空き家の寿命を延ばした事例についてご紹介します。
ぜひ、最後までご覧ください。
空き家の寿命は何年?日本の住宅寿命が短い理由
実家の相続などで築年数の古い空き家を所有することになったときは、家の耐久性や老朽化が気になるところでしょう。
一般的に、日本の一戸建ては築30年~50年ほどで解体されることが多く、欧米諸国が築80年~100年住み続けるのに比べるととても短い傾向にあります。
しかし、欧米諸国よりも短い期間で解体するのは、決して日本の家屋の耐久性が劣るからではありません。
では、実際の日本の住宅寿命は何年になるのでしょうか。
家の構造ごとの寿命
家の寿命は、その建物の構造ごとに異なります。
構造ごとの平均寿命は以下のとおりです。
●木造:30年~80年
●鉄骨造:30年~60年
●鉄筋コンクリート造:40年~90年
上記の結果を見ると、最大で90年はもつことがわかりますね。
ちなみに、上記の年数は税務上の基準である法定耐用年数とは異なり、国土交通省の平成25年の調査を参考にした「期待耐用年数」になります。
期待耐用年数とは、とくに異常気象などがない環境で、通常範囲内で建物を維持・管理した場合の耐用年数になります。
日本の住宅寿命が短い理由
日本の住宅寿命(期待耐用年数)は、欧米に劣らず長いにも関わらず、なぜ築30年~50年ほどで解体されるのか気になるところでしょう。
その理由は、自然災害が多いことや新築の家が好まれることにあります。
日本は、海外と比べて地震が多いです。
そこで地震による家屋倒壊を避けるために、住宅の耐震基準が昭和56年に見直され、それ以前に建てられた建物は建て替えや解体がされるようになりました。
また、日本人は新築を好む方が多く、築20年以降の中古住宅は売れにくい現状にあります。
そのため、築30年~50年で家を建て替えたり、解体したりする方が多いのです。
ちなみに、空き家については、築40年を超える昭和55年までに建てられた家屋が69.1%の割合を占めます。
築年数の古い空き家が多い理由は「物置として使用しているから」「解体するのに費用がかかるから」などが挙げられます。
空き家の寿命を延ばすための3つの対策とは?
空き家を解体するとなると費用がかかるため、所有者としてはなるべく長持ちさせたいところでしょう。
空き家の寿命を長持ちさせるには、下記の3つの対策が必要です。
定期的に点検・管理をする
空き家は、定期的に点検・管理をしないとすぐに老朽化してしまいます。
もしも点検・管理を怠って放置をしていると、湿気によってカビが増殖したり、シロアリなどの害虫によって柱や壁が腐食したりします。
そのため、定期的に空き家に足を運んで、シロアリ被害がないか、雨漏りがないかなどの点検や掃除といった管理をする必要があります。
また、空き家を掃除する際は、排水管の劣化を防ぐために通水もおこなうようにしましょう。
このように、定期的にメンテナンスをおこなうことで空き家の老朽化を防ぎ、寿命を延ばすことができます。
とはいえ、空き家が遠方にあるなどの事情で「定期的な管理がむずかしい」という方もいらっしゃることでしょう。
管理することがむずかしい場合は、空き家管理サービスを利用する方法もありますよ。
関連記事|空き家管理サービスってなに?サービスのメリットや費用相場などをご紹介!
リフォームをおこなう
空き家の点検をおこなった際に、修繕が必要な箇所が見つかった場合は、リフォームをすることで、空き家の寿命を延ばすことができます。
とくに、雨漏りや窓ガラスが割れているなどの欠陥が見つかった場合は、放置していると老朽化が進むため、すぐに修繕するようにしましょう。
リフォーム費用の目安は以下のとおりです。
●外壁:50~400万円
●屋根:50~350万円
●フローリング:15~50万円
ちなみに、自治体によっては、空き家のリフォーム費用を一部補助するところもありますので、確認してみると良いでしょう。
関連記事|知っているとお得にリフォームできる!?空き家のための補助金制度
火災保険に加入する
万が一、火災や台風などの災害によって空き家が被害を受けた場合は、高額な修繕費がかかるでしょう。
そんなときには、火災保険に加入しておくと安心です。
空き家であっても火災保険に加入しておくことで、火災だけでなく水漏れや浸水などの水災の被害も補償してもらえます。
火災保険で修繕費をまかなうことで、結果的に空き家の寿命も延ばすことができるでしょう。
空き家の寿命を延ばした事例とは?
日本の家の寿命や長持ちさせる方法がわかったところで、実際に空き家を長寿命化した事例があるかどうかも気になるところでしょう。
最後に、空き家の長寿命化に取り組んでいる「ヤドカリプロジェクト」をご紹介します。
ヤドカリプロジェクトとは?
ヤドカリプロジェクトとは、浜松市の建築事務所が取り組んでいる、空き家を改修して長寿命化し、ヤドカリのように転々と空き家を住み替えていくプロジェクトのことです。
空き家を購入してリフォームをおこない、自宅兼事務所として住んだのちに、売却してまた新しい空き家を購入するヤドカリのような生活を繰り返すことで、複数の空き家を再生させる取り組みをおこなっています。
このような取り組みをおこなうことで、中古住宅の資産価値を取り戻し、空き家の長寿命化と利活用を図っています。
長寿命化するための取り組み
ヤドカリプロジェクトでは、長寿命化するために以下の流れで空き家再生をおこなっています。
●比較的健全な空き家を仕入れる
●スケルトンリフォームをおこなう
●公的な根拠に基づく評価額で売却
まず初めに、専門家による住宅診断をおこなって、リフォームによる再生が可能な空き家を購入します。
次に、スケルトンリフォーム(全面的なリフォーム)をおこない、耐震性能や断熱性能を高め、空き家の資産価値を高めます。
最後に、住宅性能評価を取得して公的な根拠に基づく評価額で売却します。
このような流れで空き家を購入し再生することで、空き家の流通が促進され、長寿命化が実現できるのです。
再生した空き家が地域の核に
ヤドカリプロジェクトでは、ただ空き家を再生するだけではなく、料理教室などのワークショップやヨガ教室など、地域の交流が図れるような活動もおこなっています。
このように、空き家を長寿命化するだけではなく、地域の活性化にもつながるような取り組みをおこなうことで、地方創生にも貢献しているプロジェクトです。
実際に、1軒の空き家の再生に成功しており、現在は2軒の空き家の再生に取り組んでいます。
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まとめ
今回は、空き家を所有している方に向けて、空き家の寿命や長持ちさせる方法、空き家を長寿命化した事例についてご紹介いたしました。
日本の家の寿命は、木造だと最大80年、鉄筋コンクリート造だと最大90年となっています。
空き家の寿命を延ばすには、定期的な点検・管理や、リフォームが欠かせません。
また、万が一の災害に備えて火災保険に加入しておくことをおすすめします。
ぜひ、この記事を参考に、空き家を適切に管理し、利活用をご検討ください。
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